断腸亭料理日記2022
4207号
11月12日(土)夜
さて。
今日は、内儀(かみ)さんの希望で赤坂[四川飯店]。
真夏に行っていた。
今日、内儀さんは、担々麺が食べたい、と。
日本の担々麺の元祖は、やはりここであった。
陳建民氏は、偉大であった。
日本四川料理はすべて、陳建民に通づ、か。
当初は四川流で、汁なしであったとも。
今はさておき、ラーメンがスタンダードの当時の日本では
汁なし麺はもう一つで、日本人向けに建民氏がアレンジし、
汁麺にした、という。
一応、TEL予約。
17時。
赤坂、永田町というのは拙亭からは、なかなか遠い。
さすがにタクシーでは行けぬ。
大江戸線、南北線で永田町。
しっかし、赤坂、永田町駅というのは、まったく
よくわからぬ。なん度もきているが、ぼんやりしていると
迷ってしまう。
旅行会館ビル到着。
上にあがる。
名乗って、テーブルに案内。
いや、ほんとにここのサービスというのは、
ちゃんとしている。
ホテルレベルといってよいだろう。
ビールを頼み。
さて。
担々麺というのは、ここにはなん種類かある。
元祖の汁あり担々麺と、汁なし。
そして、今は、黒酢の汁なし担々麺というのがある。
最も基本の、元祖汁あり担々麺は頼むとして、
ウエイトレス氏に、元祖の汁なし、というと、
それは、元祖の汁ありに味が近いので、黒酢の方が
お勧めです、とのこと。
こういうサジェスションもありがたい。
それから、陳麻婆豆腐は、ここへきたら欠かせない。
青菜炒めももらおうか。
ウエイトレス氏に聞くと、チンゲンサイとターサイが
あるとのこと。ズバリメニューには載っていないが、
こういう基本的なこともやはり、ちゃーんとしてる。
チンゲンサイを。
青菜炒めから。
ちゃーんと、取り分けてくれる。
チンゲンサイ以外に、たけのこ、椎茸。
それからねぎ、みじん切りのにんにく。
たかが青菜炒めと思うことなかれ。
これは、流石である。
なにかというと、ねぎ。
少し焦げ目が入るくらいよく炒められている。
にんにく同様に香りを出すため、で、あろう。
このねぎの香りが、全体に広がっている。
チンゲンサイの火の通りも流石。
次は、汁なしの黒酢版。
これも取り分け。
うーん。これもすごい。
現代的といってよいのではなかろうか。
盛り付けも含めてまるでパスタのよう。
黒酢というのは、わかるのだが、それだけではない
かなり複雑なソース。胡麻、黒胡麻?。
わからぬが、知っている中華の味でもないように感じる
端倪すべからざる味の設計力の方が作られた味。
二代目か、当代三代目か、あるいは他の方か。
次が陳麻婆豆腐。
もう一品が、元祖汁あり担々麺なのだが、間に
麻婆を入れる気の使い方。むろん、順番を指定した
わけではない。麺を続けるよりも間に挟む方がよいに
決まっている。こんなヘンな頼み方をしても配慮して
くれる。行き届いたもの、で、ある。
毎回ここで食べているので慣れた味ではある。
辛味はそこそこ強く、豆チであろうか、独特の
香りと強めの塩味。
花椒が控えめなのも元祖陳麻婆豆腐の特徴かもしれぬ。
いよいよ、トリの、元祖汁あり担々麺。
これは既に取り分けたものが出た。
ちょっと驚き。
辛さは控え目で、なにより、かなりこってり。
芝麻醤としょうゆスープが[はしご]にしても
[寿限無]にしても日本の担々麺の基本であると
思うのだが、しょうゆのスープよりも芝麻醤が遥かに
優っている。
これが元祖とすると、後から出てきた他のものは、
さらにアレンジした結果ということになるのか。
うまかった。
そして、新鮮であった。
また、ここのサービスのレベルの高さをくるたびに
感じられる。
マニュアルだけではなく臨機応変に相手、お客の身に
なって気付き、考えて対応する、ということ
なのであろうが、これがサービスというものの
本質の一つであろう。日本のおもてなし?。
が、残念なことに、今、どんどん忘れられている。
おそらく高級な店だから、ということでもないのであろう。
安い町中華のおばあちゃん、町のそばやのお姐さんでも
こういう気の使い方をする人はいたと思う。
これがその店の居心地のよさにつながり、
またきたいと思わせるのである。
街のラーメンやでどんなにうまくとも有名でも
態度がわるければやはり二度と行きたくない。
ともあれ。
会計は二人で11000円也。ご馳走様でした。
いつもよい時間をありがとうございます。
千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館5F・6F
03-3263-9371
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