断腸亭料理日記2022
4223号
引き続き、浅草の弁天山[美家古寿司]。
昨日は、にぎり、白身、平目昆布〆、鯛、すみいか。
かんぱち、まで。
最初に白身はなにがあると若親方に聞いたのだが、
かんぱち、そして、ぶり、と。
かんぱち、ぶりを白身に入れるかどうかは、議論が
ありそうではあるが、ぶり!で、ある。
ここでぶりは珍しいのでは、なかろうか。
あまり記憶にない。
まあ、近年はともかく、ぶりといえば、西日本、
日本海の魚で、江戸前鮨にはあまり登場しなかった
のではなかろうか。
うにの軍艦を出さないこの店である。
どこのものか聞くと、富山氷見とのこと。
え?、氷見?。
早いものである。
寒ぶり?でよいのか、本場のものがもう出ているのか!?。
ぶり。
ん!。
これはすごい。立派な寒ぶり。脂はすごい。
そして、光物。
光物は、やっぱり小肌から。
毎度書いているが、江戸前光物の花形は、
誰がなんと言おうが、小肌である。
この点々の光ったグラデーションが美しいではないか。
半身でにぎっているので大きなものであろう。
浅いところもあるが、ここは比較的きっちり〆てある。
私はこのくらいの方が好きである。
うまい。
次は、鯵。
表面に細かい賽の目の切れ込み。
新鮮なものであろうが、気持ち酢洗いしてあるか。
そして、さよりがあった。
さよりは春かと思ったら、秋も旬と、若親方。
生であれば、透明だが、白くなっており〆てある。
ただ、小肌よりはずっと浅めであろう。
プリっとした食感と淡泊なうまみ。
内儀(かみ)さんの希望で北寄貝。
ゆでてあるのではなく、生に軽く酢が入っているか。
よい食感と、あまみと香り。
ガラスケースの中、私の目の前にさばの尻尾があったので、
にぎれるのか聞いてみた。
ギリギリですかねーと、にぎってくれた。
炙ってある。
バーナーではなく、ガスに網で。
私は、どうもあのバーナーが気に入らないのである。
鮨や以外でも、様々な料理で使われている。
適したものもあろうが、鮨や、魚はどうなのか。
魚を炙るのには焦げ目を入れるという意図と温める
という意図があろう。
鮨やの煮穴子などは、どちからといえば、後者であろう。
バーナーでは温まらない。簡易に焦げ目が付けばよい、
というのもなにか違うように思うのである。
また、煤が付かないのか、というのも心配。
ともあれ。
きちんと〆た、〆さばである。うまい。
海老。
小型の車海老、さいまき海老。
ゆでて、軽い甘酢に漬けるのが、江戸前仕事。
美しく、プリプリであまい。
あとでわかったが、おぼろがはさんであった。
嗚呼、気付かなかった。
蛤。
甘いたれ付き。
デカイ。
煮はま、で、ある。味が染みているが、ぷりぷり。
そろそろ、終盤。
まぐろ、ヅケ。
表面をほんの少し湯ぶり、熱湯を掛けて加熱し、
すぐに冷やす。
それをしょうゆのたれに漬ける。
普通、ヅケといえば赤身であるが、これは中とろ。
ここにはいつも両方ある。
そこそこしっかりした食感。
ふわっと、脂を感じる。
これが、もう堪えられぬほどのうまさ。
海苔巻。
二種類巻きますよ、といわれて、さび入り干瓢と、
鉄火をリクエスト。
鉄火のまぐろは中とろか。
一時期、海苔巻の凝って、珍しいものを探して食べていた。。
むろん、太巻きではなく、細巻で。
カリフォルニアロールのよう裏巻きだったり、
奇をてらったものではなく、東京で食べられてきたもの。
例えば、まあ、レアではないが、赤貝のヒモときゅうりを
巻いたひもきゅう。一時凝ってよく食べてみた。
鰯とガリを巻いた鰯巻。あるいは平目の縁側を
巻いた、縁側巻。こんなもの変わっているが、うまかった。
だがやっぱり、細巻は干瓢と鉄火にとどめを刺すであろう。
最後、内儀さんのリクエスト。
玉子とおぼろ。
なぜか、内儀さんはおぼろが大好きである。
以上。
勘定は二人で23,430円也。
いつもご馳走様です。
うまかった。
台東区浅草2-1-16
03-3844-0034
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