断腸亭料理日記2022

上野そば翁庵/新ごぼう軍鶏鍋

今日は二本。

4074号

4月19日(火)第一食

上野そば[翁庵]

夕方から、そばやで一杯。

こんな時に最もよいのが、ここではなかろうか。
上野の[翁庵]。

上野警察前。
木造の和建築の二階家。
戦後の建築だとは思うが、そばや然とした佇まい。
街のそばやだが、歴とした老舗。
1899年(明治32年)創業で、

かつそばが看板の神楽坂下の[翁庵

の暖簾分けという。

つまり、敷居も高すぎないのがよい。
ちゃんとしていながら、親しみやすい。
また、通しでやっているのもよい。

16時、硝子格子を開けて入る。
昼は食券制だが、この時刻は座ればよい。

いらっしゃい〜〜、
お好きなところへ〜〜、とお姐さん。

開いている奥のテーブルに掛けて、お酒ぬる燗と
看板のねぎせいろ。

ねぎせいろは、そばつゆに小さなかき揚げが
入ったもの。

酒がきた。

お姐さんは、そばはもうお作りしてもよろしいですか?
と聞いてくれる。
酒とそば、同時に頼んでも、タイミングをみてくれる
のである。
以前のそばやは皆、こういう気の使い方をするのが
あたり前であった。

はい、お願いします。

枝豆で一杯、二杯。

ねぎせいろもきた。

小さいかき揚げには、ねぎといかが入っている。

このかき揚げをつまみ、残りの酒を呑む。
かき揚げは入っているを、そばをつけずらい
というのもある。
呑み終わったら、そばを手繰る。

ここのそばは、年中ほんのり緑がかっている。
本来は、緑がかっているのは新そばなのだが、
あえて色を付けているのであろう。
以前、藪系はこうであったと聞いたことがある。

ともあれ。
うまかった。勘定をして出る。
ご馳走様です。
よいそばや、で、ある。


台東区東上野3-39-8
03-3831-2660


4月16日(土)夜

新ごぼう軍鶏鍋

秋葉原のハナマサで、新ごぼう、と、書かれていたものを
見つけた。

新ごぼう、といえば、鬼平の軍鶏鍋である。

なん度もなん度も、数え切れぬほど書いているので
もはや説明の必要もないだろう。
池波正太郎先生の「鬼平犯科帳」に登場する軍鶏鍋には
新ごぼうの笹がきが入る。

東京下町に残っている軍鶏鍋やはいくつかあるが
ごぼうの笹がきを入れるところは、知らない。
池波先生は、どこからこれを持ってきたのか。
以前はあったのかもしれぬ。
軍鶏鍋というのは、以前は夏食べるものであった。
夏に元気を付けるための食い物。

今、新ごぼうといって売られているものを
あまり見たことがないと思うのだが、どうであろうか。

ごぼうの本来の旬は春植えて秋収穫であるが、調べると
秋に植えて春から初夏に収穫するのを新ごぼうと
いうよう。
今は、ごぼうも年がら年中売っているので、もはや
なにが新なのか、いつが旬なのか、わからないのだが。

ともあれ、若く柔らかいのが新ごぼうでよいのだろう。
軍鶏鍋を食べる時期とも重なる。

鶏肉は安いこま切れといって売っているものと、
鶏レバーを購入。脂を出すために皮もあればよいのだが、
まあ、今日は簡略でよいか。
青みは、芹、春菊などがよいのだが、妙に高い。
安い小松菜に。

帰宅、これが新ごぼう。

熊本産「菊池水田ごぼう」と書いてある。
水田で育てる冬ごぼう、とのこと。

笹がきにして、水に浸しておく。
包丁で切っても、かなり柔らかいのがわかる。

皿へ。

しょうゆに酒、砂糖を入れて割り下を作っておく。
カセットコンロに鉄鍋。

鍋へ。

こま切れから先に投入。レバーはすぐに食べられる。
笹がきごぼうも、先、割り下も投入。
そして、レバー、小松菜の順。
煮る。

ビールを開ける。
煮えたら食う。

正しい新ごぼう笹がきの軍鶏鍋、
やはり、うまいもんである。

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、簡単な自己紹介をお願いいたしております。
匿名はお控えください。

 

 

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |

2018 5月 | 2018 6月| 2018 7月| 2018 8月| 2018 9月| 2018 10月| 2018 11月| 2018 12月|

2019 1月| 2019 2月| 2019 3月 | 2019 4月| 2019 5月 | 2019 6月 | 2019 7月| 2019 8月

2019 9月 | 2019 10月 | 2019 11月 | 2019 12月 | 2020 1月 | 2020 2月 | 2020 3月 |

2020 4月 | 2020 5月 | 2020 6月 | 2020 7月 | 2020 8月 | 2020 9月 | 2020 10月 | 2020 11月 |

2020 12月 | 2021 1月 | 2021 2月 | 2021 3月 | 2021 4月 | 2021 5月 | 2021 6月 | 2021 7月

2021 8月 | 2021 9月 | 2021 10月 | 2021 11月 | 2021 12月 | 2022 1月 | 2022 2月 | 2022 3月 |

2022 4月 |

BACK | NEXT

(C)DANCHOUTEI 2022