断腸亭料理日記2021

柱わさび・柱かき揚げ

3880号

6月17日(木)第二食〜

午後、いつものように吉池に寄る。

特に目当てがあったわけではない。

一渡り見てまわると、小柱に目が留まった。

鮨、あるいは天ぷら用なのであろう、
白い網のトレーにのっていつも売られている。

ちょっと粒が大きなもの。
三重県産、800円ほど。
内地産にしてはデカイ。

小柱というのは、ご存知のように、
青柳、ばか貝の貝柱。

江戸前の種ではある。
鮨、天ぷらにする。
このところ吉池では見ないが、今も千葉県産も
出回っているのではなかろうか。

一番大きく、高級なものは、北海道産。
内地のものと比べて、数倍の大きさ。
種としては内地のものと同じらしいが、
エゾバカガイといって、別に扱われていたことも
あったよう。

東京の鮨や、天ぷらやなどで使われるのは
もっぱらこちら。

味は違わないとは思うのだが、とにかく
北海道のものは大きい。

今日の三重県産のものは、そこまではいかないが
千葉のものの倍はありそう。

刺身をわさびでつまむ、柱わさびに
しよう。

お気付きかもしれぬが、私は鮨でも貝類というのは、
食べられないこともないし、増してきらい
ではないのだが、順番としては下位になってしまう。
鮨やへ行っても頼まないこともある。

それでも、火を通した煮はま、などは別にして、
生で食べるのであれば、小柱、平貝が、
上位になる。
やはり、魚とは違う、貝独特の生ぐささが
この二つは少ないのではなかろうか。

めかぶも買って、帰宅。

柱わさびは、水洗いをして、
生わさびをおろすだけ。

だが、やはり海苔だけはあった方がよいだろう。

小皿へのせて、もみ海苔。

めかぶ、残っていたはすいもも出す。

貝の生ぐささというのは、磯くさい、などと
肯定的にいわれることもある。
小柱には、それがほぼない。
これが、うまさ、で、ある。

さて、翌日。

柱わさびで食べたのは、半分。

残りは、かき揚げ以外にはあるまい。

大根だけは買ってくる。

揚げ鍋を用意し、冷蔵庫に入れてある天ぷら油を
出し、鍋に入れる。
余熱をしておく。

ボールに全卵一個を割ほぐし、氷2個、冷水。

大根もおろし、皿、紙、天つゆ
(桃屋のつゆ)を用意。

お!、そうだ。
野菜室にあるアスパラも揚げよう。

半分に切る。

衣は余らせてもしかたない。
かき揚げ一つ分とアスパラ2本分の量。
が、いつも余らせてしまう。

鍋に点火。180℃に設定。

ボールに天ぷら粉を投入。
軽く合わせる。

小柱から。
お椀に小柱を入れ、天ぷら粉をまぶし、
ここにボールの衣を合わせ、お椀から油に投入。

小柱は揚げすぎはいけなかろう。
そこそこよい色まで、揚げる。

続けて、アスパラも揚げる。

皿へ。

ビールを開けて、食べる。

アップ。

天ぷら粉を使っているので、揚げあがりは
まったく問題はない。

この小柱かき揚げ、成功、で、ある。
うまい。

揚げあがりの問題ではなく、小柱の大きさ。
今まで、小さいものしか使ったことがなかった。
小さいとかき揚げにしても、どこにあるのか
わからぬほど。
やはり、このくらいの大きさはないといけなかった。

小柱、うまいものである。
一般的には、そこまでの存在感はない、のかもしれぬが
江戸前の鮨、天ぷらに欠かせない種、で、あろう。

この大きさ、この香り、食感、味。
貝の中でも最も“粋”な種ではないかと思っている。

 

 

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