断腸亭料理日記2021
3878号
6月14日(月)〜
さて、昨日。
雷門[松喜]でステーキ肉を買って、隣のスーパーオオゼキで
じゅんさい、谷中を買ったのだが、同時にはすいも、
というものを買った。
ここ、おもしろい野菜を置いている。
先日は、東京ではあまり見かけない、例の
青い山椒の実、実山椒も見かけた。
ともあれ、はすいも。
見た目には、生の芋茎(ずいき)、里芋の茎。
いわゆる芋がら。
芋がらは、乾燥したものもあるが、生も食べる。
乾燥すると縮んでいるが、煮ものなどが馴染深い。
生の芋茎は太く、長い。
生の芋茎というのは、私自身はあまり馴染はなかった。
大人になってから割烹料理店で初めて食べたと思う。
薄味で出汁を含ませてあり、乙なものであった。
いかにも、京風というような。
だが、はすいも。
こんなもの。
高知産である。
調べるとこれは、いわゆる芋茎とは若干種類が
違うようで芋を食べるのではなく、この茎を
食べるために育てられる、高知の伝統野菜とのこと。
調理法は皮をむいて、湯がき、煮含める、
でよいよう。
皮をむく。
どのくらいむけばよいのか、わからぬが、
とりあえず、むく。
青い部分がまだ多少残るが、こんなものでよいか。
鍋に湯をわかし、ゆでる。
火が通ればよいか。
あまりゆですぎも、いけなかろう。
冷水で冷やし、あげる。
出汁を取る。水は1L程度。
例のすえひろ通りの、安藤鰹節店のもの。
このくらいの色が出ればよいか。
全部は多いので、1/3程度。
味付けは、しょうゆ、酒、みりん、砂糖。
私としては、薄めにしてみる。
煮立てて、ゆでたはすいもを入れる。
このはすいもは、どうもやはり知っている里芋の茎、
芋茎とは違っている。
なにかというと、細かい空洞がある、のである。
ちょっと、スカスカした感じ?。
つまり、煮汁に沈まない、のである。
皿を落としぶたにし、沈める。
軽く煮て、冷ます。
一つ、ここで食べてみる。
あー、なるほど。
これ、やはり、普通のものではない。
一般の芋茎は、生からゆでたものは、ちょっと
ゼラチン質というのか、プニュっとした感じ?。
このはすいもは、まったく違う食感。
シャキシャキ、いや、ザクザク?。
中の管が意外にしっかりしており、こういう食感を
出しているよう。
ほう、こういうものか。
冷蔵庫へ入れて、翌日。
今日は、浅草ロックスの西友で鰹を一サク買ってきた。
冷蔵庫から、はすいもを出してみる。
だいぶ染みている感じ。
また、つまんでみる。
ん!。
味は染みてはいるが、食感は昨日の
ザクザクのまま。
まあ、こういうもの、なのであろう。
鰹は血合いを完全に取って、刺身に切る。
鰹は今日は、和辛子。
鮮度が申し分ない、とまではいかないが、
まあ、よし。
高知産、はすいも。
普通の芋茎を想像していただけに、ちょっと
肩透かし、というのか、なんとなく釈然としない。
まあ、はすいもには罪はないのだが。
そもそも、芋茎というものには、ほぼ味はない。
食感だけの野菜であろう。
それで、出汁を十分に含ませる。
そこに、ザクザクの食感が加わったもの。
酢の物にもするよう。この食感には合っているのかも。
こういうもの、なのであろうが、ちょっと不思議
体験である。
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