断腸亭料理日記2020

鰈のムニエル

9月23日(水)第一食

さて、谷昇シェフという方をご存知、で、あろうか。

市谷のフレンチ[Le Mange-Tout(ル・マンジュ・トゥー)]の
オーナーシェフ。長年ミシュラン星付き。

私は行ったことはないが、存在だけはよく知っていた。

先日、和知シェフのフレンチポークソテー

を作ってみた。

フレンチのレシピを見ながら、基本のものを
ちゃんと知るのも大事なことであると感じた。

やはり、フレンチの基本技術というのは、
独特なものがある。知っていてむろんのこと、損はなかろう。
今も広い意味での洋食料理の基本であることは
言うまでもなかろう。

そこで、今度は谷シェフ。

基本のレシピ集「ル・マンジュ・トゥー 谷昇シェフの
ビストロ流 ベーシック・レシピ」

があったので、好都合。

これをパラパラと見て、発見したのは、ムニエル(鰈)。

魚のムニエルというのは、例のカジバタも含めて
よく作るのだが、むろん、フレンチの基本は知らない。
ここに書いていない失敗も少なからずある。

まずは、鰈(かれい)。
吉池で探す。

鰈は、いろいろある。
切り身の煮付け用が多い。

中で、青森産真小がれい、ちょっと大き目なものだが
一枚もの。768円也。そこそこする。
吉池でこのくらいの値段を付けているのは、よいもの、
という自信があるのであろう。

帰宅。
こんなもの。

以前、日比谷の名店フレンチ[アビシウス]で
平目のムニエルというのを食べた記憶がある。

フレンチでは基本、定番の料理といってよいのであろう。

ソースもかなりのバリエーションがあると思うのだが、
レシピはレモンとパセリだけのかなりシンプルなもの。
素人とすれば作りやすそう。

パセリは生のものを使うのが本当であろうが、
余らせるのが目に見えているので、乾燥ですませる
ことにした。(スーパー各位、もっと小単位のパセリを希望する。)
レモンも必要だが、これもチューハイ用の濃縮レモン汁で。

他の用意はなし。
シンプル。

まずは、鱗を取る。

動画。

鰈をさばくのは初めてだと思う。
鱗があったのすら、知らなかった。
鰈は、細かいが鱗がある。

頭を出して、腹を出す。

平たいので、頭を落とすのも、ちと慣れないので
ちょっと、ずれてしまった。

腹を裂き、はらわたを出す。
洗って、両面に塩をすり込む。

ムニエルなので小麦粉なのだが、レシピは強力粉。
いつも薄力粉を使っていた。しっかりする、ということか。

そして、焼く。

バターではなく、オリーブオイルである。
アロゼをするので、たっぷり必要。
ちょっと、火が強かったか。
焼き上がりのポイントがやはり、わからない。
中央に包丁を刺してしまってもよかったようである。

裏も焼いて、レモン汁、黒胡椒、パセリ。

これで終了。
実にシンプル。

どんなものが出来たか。

ビールを開けて、食べる。

結論からいうと、そこそこ以上のものはできた
のでは、なかろうか。

問題の火の通り具合。

あまりきれいではないので、切り口は撮らなかった。
中骨にほんの少し赤味が残ったのだが、味には
ほぼ影響がないくらい。
もう気持ち、通したかったというところか。
この反省は火が強かったこと。

塩は、粉の前にしてあるだけで、少なくないか?
と思ったが、これで、十分。
魚の味がよくわかる、ということかもしれぬ。

また、レモン汁。
魚介類をレモン汁で食べる、というのは、イタリアン、
フレンチでは、とてもベーシックであろう。
生牡蠣や、生の魚介類にレモンだけ絞るのを思い出す。

日本人の感覚では、レモンなどは、風味付けである。
しかし、これ、ただの風味付けではない。
シンプルであるが、これがソース。

感覚的にちょっと、伝わりずらいかもしれぬ。

私を含めて、塩のみ、あるいは万能なしょうゆをかけて
すませている味覚文化の者には、次元というのか、
ディメンジョンが違う料理の考え方といってよろしかろう。
これが、この料理で腑に落ちる。

勉強、で、ある。

 

 

 

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