断腸亭料理日記2020
10月14日(水)第一食
さて。
もう少し続くfrom「東京とんかつ会議」。
今日は表題の[河金・千束店]。
ここ、ご存知の方はある程度いらっしゃるのでは
なかろうか。
かつカレーの発祥、元祖の一つ、浅草[河金・本店]の
流れを汲む店。
かつカレーの元祖といえば、私も先日行ったが、
銀座[スイス]
というのが一つ。1948年(昭和23年)戦後すぐ。
巨人軍の千葉茂選手の希望でできたというもの。
だが、これより前に他に二つの元祖候補がある。
大正10年(1921年)創業の新宿[王ろじ]。
ここに今も名物としてあるとん丼。
これは丼のカレーライスの上に丸い切ったかつがのったもの。
そして、さらに大正7年(1918年)創業の浅草[河金・本店]の
河金丼。
それぞれ創業とメニューが生まれたのが同じかどうか、
よくわからず、断定はできないのであろうが、
浅草[河金・本店]が、最も古そう。
銀座[スイス]のものは、創業自体が戦後で、明らかに最も新しい。
だが、今、ロースのカツレツを平皿のカレーライスにのせた
かつカレーといわれているものはここのものが元祖といってよい、
のであろう。
浅草[河金・本店]は、今は浅草ビューホテルになっている
戦前戦後、浅草の一時代を風靡した松竹歌劇団、の国際劇場の
そばにあったという。
名物店で、国際劇場に出演した芸能人なども訪れていたという。
匁(もんめ)かつ、といって、大きいものが売りであったよう。
創業当時[河金]は屋台であったという。
上野で今も元気に営業中の[蓬莱屋]も大正元年創業時、
最初はやはり屋台であったと聞く。
大正期、屋台のとんかつは一般的なものであったのであろう。
[河金本店]は戦前戦後、70年の歴史に幕、昭和62年(1987年)
閉店している。
当時私は大学を卒業し、就職したところ。
浅草にはまだ縁ができる前。
従って、存在も知らなかったし行ったこともない。
今、[河金・本店]の初代の次男の方が[河金・下谷店]、
さらにその次男の方が[河金・千束店]として
暖簾を受け継いでいる。(dancyu)
https://dancyu.jp/read/2020_00002825.html
ここにも、元祖かつカレーの、河金丼はあって
一度食べている。
これ。
ご飯の上にキャベツ千切り、もも肉の一口かつ、
そしてカレー。
千束ももちろん知っていたが、行ったことはなかった。
場所は、ちょいと説明がしにくい。
千束通り商店街から吉原、花園通りに向かう路地。
現代の地図。
ついでに、江戸の地図。
このあたり、あまり書いていなかったと思うのだが、
一度書いておきたい。
明治25年も出しておこう。
昔のことは、後(次回)で触れるとして、今日は[河金・千束店]
に集中しよう。
ここは1983年(昭和58年)開店とのこと。
本店閉店の少し前である。
昼すぎ、自転車で到着。
小さな店。父と子、お二人でやられている。
メインで作られている若い方が、初代のひ孫にあたられるよう。
河金丼は、もも肉のかつで、入谷同様の丼なのだが、
頼んだのはロースのお重入り。ランチ限定で鶏から付き。
アップ。
やはり、懐かしいノーマルなカレー。
カレーにはとろけた豚肉。
ロースかつは薄め。
キャベツ千切りが入るのも同じ。
そういえば、銀座[スイス]のかつカレーにも入る。
今の感覚では、キャベツの千切りをカレーに添えるのは
取って付けたような感じがするが、以前は定番であった
といってよいのだろう。
もちろん、今もとんかつ、フライもの、ハンバーグあたりでも
千切りキャベツを添える。これが日本の洋食の一般的な姿で、
我々は特に疑問に思うことはないだろう。
特に、とんかつなど揚げ物には必要不可欠とすら思っている。
これ、外国人、特にグルメなフランス人には不評と聞く。
もちろん、我々はとんかつのキャベツには、とんかつソース
を掛けて食べるのがスタイル。だが、よく考えると確かに、
メインとの相性もよくわからないなにも料理をしていない
生の葉っぱを皿に添えるのは、意味がわからなかろう。
想像であるが、キャベツ千切りは戦前なのか、洋食らしさ、
を演出するためのものであったのでは、なかろう。
なにかハイカラな感じがした?。それでなんにでも付けた。
ともあれ。
うまかった。
ご馳走様でした。
浅草の味、是非続けていただきたい。
03-3872-0794
台東区浅草5-16-11
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