断腸亭料理日記2019
さて。
モルディブ編も終わり、今日は、最近思うことを少し
書いてみたい。
「料理日記」なのに落語ばかりで、食い物のことを書かないのか?!
というコメントをいただく。
昨年12月、長く勤めた仕事を辞めて、断腸亭として生きる、
というようなことを書いたように思う。
実際に、そう考えているのではあるが、あれから10か月ほど
たった。
基本、断腸亭として、といってもこの日記を書いている
わけであるが、12月から、京都で一度ちゃんと行ってみたかった
庭のことを書いた。
その後、以前と同じ食い物バージョンを少し続け、その後、落語。
これは、須田努先生の「悪党の世紀」という史学からの
円朝師研究のアプローチがきっかけ。
私、断腸亭にとって、落語というものは、大きな柱の一つ。
今まで、ここまで丁寧に書いてはこなかった。この機会に
じっくり考えてみるというのは私がしなくてはいけない
ことであると思い、書き始めた。
その間、ハワイ島の日系人の街ホノカア、ネイティブ・ハワイアンに
関係の深いワイピオへ行き、書いてきた。どちらも私の興味。
ホノカアは日本人はあまり知らない日本人の歴史。
ワイピオは私の学んだ民俗学、文化人類学的興味である。
読んでいただいている方々の要望と、自分のしたいことは
一致しないものである。
私の主なテーマは、江戸であり、東京である。
それは今までも、これからも変わらないだろう。
そこに食い物がある。
この日記はサラリーマンをしながら、つまり中年の男が
ごく普通の生活をしながら、外で食べるもの、自分で料理を
するものを書く、ということから始めた。
そもそもは、このページにもたくさんあるが、池波正太郎
先生の食い物のエッセイのようなものが書けないか、というような
ことが動機であった。
それが、30代半ばの頃。
そこから、TV、雑誌などの取材のようなものを受けたり、
NHK文化センターさんから「池波正太郎と下町歩き」という
タイトルで講座を数年やらせていただいたり、ということも
あった。
今年、56歳になった。
食い物も江戸、東京の構成要素ではあるが、構成要素
である。
では「料理日記」というタイトルを変えるか。
面倒なので、今はそのまま書き続けているのだが、
それも考えてもよいとは思っている。
ただやはり、落語といえば、そうはいっても、興味のある
人々は限られる。食い物にくらべると圧倒的に少ない。
大方は読んでいただけないのであろう。
(まあ、承知で書いているのだが。)
では、どうせ時間があるのだから、両方書け!、という声が
聞こえてきそうだが、なかなかそうもいかない。
一回分、横書きで150行、ブログ形式というのか、
日記形式というのか、その日(実際には前日までに)書いた
ものをアップするという書き方をしてきた。
これは仕事をしながら書いてきたリズムなのだが、
仕事を辞めても、変わらないのである。
ではどうなっているかというと、読んでくださる方はわからない
かもしれぬが、一回分の下調べや、推敲の時間が長くなるだけ
なのである。
一日一本という、長年作ったリズムはなかなか変わらないのである。
なんだか、言い訳じみてきてしまった。
本当の本音を書くと、落語ばかり書いてきたのは、少し食い物からも
離れてみたい、という気持ちもあった。
サラリーマンをしながら食い物の日記を書くというのは、
まあ、毎日の仕事と暮らしの中で書く、というリズムが出来上がり、
地方出張、あるいは外出先での食い物というのも自然に書くことが
できた。
だが、そればかりでは毎日は書けない。
正直のところ、無理やりネタのために作る、食べに行く、
ということも少なくなかった。
それで、風邪を引いて食べられなくなったりすると、
かなりきつい。
で、まあ、これをこの半年ばかりはしなかったのである。
ある種、自然にその日、食べたいものを作る、食べる、という。
内容といえば、まあ、書いて公表することはないので、
どうでもよい、書けない、書くほどのないものの方が多いだろう。
まあ、根本は老年に差し掛かりつつある、なまけ者ではある。
さて。
これからどうするか。
断腸亭はどこへ行くのか?。
誰かから報酬をいただいて断腸亭として、書いているわけではないので、
なにをしても、なにをしなくてもよいのではあるのだが、そうも
いかないと、多少反省もしている。
ご要望がある、ということはありがたいことだ、と。
食い物の日記というものを20年も続けてきたわけである。
まあ、そこから逃れることはできないのであろう。
また、なまけすぎもいけない、か。
少しネタ探しもしよう。
先月あたりからTwitterとFacebookに写真と短文で食い物を
アップするということをしてみている。
長文は読めない、読まない、という人もいる。
短い方が、目に触れる人が増える、ということも
あるのかもしれぬ、とは思ってはいる。
どちらがよいのか、どちらもありか。
書き分けるのか。
だが、そんなにネタはないが。
しばらく、試行錯誤になるかもしれぬ。
食い物のこと、落語も昭和の落語家の途中であるし、歌舞伎もあるか。
もちろん江戸、東京のこと、その他、色々。
気長にお付き合いいただければ、うれしく思う次第である。
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