断腸亭料理日記2019

断腸亭落語案内 その20 志ん生・らくだ

引き続き、志ん生師「らくだ」。

丁の目の半次に脅かされて、屑や、戦利品の酒を呑む。
「やさしく言ってるうちに呑めよー!」で、駆けつけ三杯。

屑や、出来上がってきた。

屑「あっしゃぁねえ、おまはん偉いと思うよ。
  兄弟分ってところで世話ぁしようって。
  ねえ。
  銭があって、やるんじゃない。銭がなくってやるんだから。
  なかなあ、できるこっちゃない。

〜〜〜〜〜〜

円生師、談志師は、ここでどれだけらくだに苦しめられたか、
金を取られたかを怪しいロレツで屑やが語る。

狸の皮があるから買わねえか、といわれる。本物であればそれなりに
儲かるので、了承すると、手付を出せというので半分の五百文出す。
すると表へ飛び出して行って、酒を買って一人で呑み始める。

どうしたんです、というと、畳をあげて、根太(板)を剥がして、
ここにある、というのでのぞき込むと蹴飛ばされて屑やは床下へ
落とされる。そして、すぐにらくだは畳を載せてその上に大あぐら
をかいてしまう。
皮なんぞないじゃないですか、というと、もう少し先に、年降る狸が
いるから、それを捕まえてもってけ、と。
冗談じゃない、生きたのじゃいやだ。とにかくここを開けてくれ、と。
開けるには後金(あとがね)出せ。とうとう一貫(千文)取られた。

談志師は他にもいくつかエピソードを酔った屑やに、涙とともに語らせる。
聞かせどころ、聞きどころであろう。

〜〜〜〜〜〜

  う?!

屑やの茶碗が空になった、、、、、
茶碗をひっくり返す仕草。

  おう、おうおう。注がねえか。」
半「もう、お前(めえ)よしねえな。随分呑んでるぜ。
  商売があんだろ。釜のふた開かねえって。」
屑「なんでえ、なんでえ。釜のふたが開かねえ?
  なにいってやんでぇ。
  これっぱかりの酒で。
〜〜〜〜〜〜

  雨降り、風間、病み患(わずら)い、その他色々あるよ。
  そのたびに、嬶(かか)ぁやガキにピーピーいわれるような
  屑やじゃねえんだ、、。

なんというフレーズも入る。

〜〜〜〜〜〜
  注げよ!、注げよ!
  やさしく言ってるうちに注げよー!」

立場が入れ替わる。

屑「こんな煮しめなんかで、酒が呑めるかよー。
  表の魚やいって、まぐろのブツ持ってこい」
半「よこすかなー」
屑「よこすの、よこさねえの言ったら、かんかんのう、だよー」

と、一応ここ、落ちているので、前半だけの場合はここで切る。

ここから先、後半。

屑やが、らくだの頭を丸めさせる。
志ん生師はいきなり剃刀(かみそり)ナシで手で、引っ張って抜く。
これは、グロイ。

一般には、屑やが丁の目の半次に長屋の女所帯に剃刀を借りに
いかせる。
剃刀を借りてきて、らくだの頭を坊主にする。
ただ、酔っ払っているので、面倒になり、やっぱり途中から、
手で抜く。

仏教では、仏の弟子になるので、剃髪(ていはつ)、沐浴(もくよく)をする。
沐浴は、湯潅(ゆかん)というが、遺体を洗う。
この噺には湯潅は出てこないが「ちきり伊勢屋」で出てきた。
一般に、湯潅は江戸でも寺にその設備があって、身内の者が
するものであったようである。
ともあれ。

ここから、菜漬けの樽に入れ、二人差し担いで出かける。
行き先は、屑やの知り合いのいる、落合の焼き場(火葬場)。
志ん生師は焼き場は「火屋(ひや)」と昔は言ったと説明する。

らくだは身寄りがなく、寺などない(わからない)。
丁の目の半次は自らの寺は義理がわるく、行けない。
それで、屑やのツテを頼ることになった。

早稲田から姿見橋を渡る。
道が、穴だらけ、夜になっているという設定。

穴に足を突っ込んでしまって、よろける。
「なんだか、軽くなった、な。」

落合の焼き場に着く。
屑やの知り合いに、女郎買いの割り前を負けてやる代わりに
焼いてもらうことに。

と、樽をのぞくと、らくだの死骸がない。
よろけた時に、樽がズッコケて、落としたんだ。

二人で戻る。

淀橋へんには、昔は願人坊主(がんにんぼうず)がいたが、よく
ヘベレケになって寝ていた、と志ん生師は説明する。
願人坊主は「黄金餅」に出てきた。

あー、いたいた。それでもよく拾われなかったな。

屑「ん?少しあったかになったな。」
半「地息(じいき)で少しあったかになりゃがった」

(地息というのは、地面から出る水蒸気。)

樽はズッコケているので、横に突っ込む。
「苦しいよ」などといわせている。

担いで、再び焼き場に。

酔って寝ている願人坊主を火に入れる。

これはむろん、たまらねえ。
火の中から、飛び出してくる。

願「どこだ、ここは」
 「日本一の火屋だ」
願「冷(ひや)でもいいから、もう一杯」

で下げ。

 

つづく

 

 

 

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