断腸亭料理日記2017
引き続き、やりいかとかじきあら。
アヒージョにやりいかを入れたものを作った。
昨日、書かなかったが、アヒージョにしても
やりいかは柔らかい。
他のいかならば、カチカチになったであろう。
あとのやりいかは、どうしようか。
いつものゆでて甘いたれがよいだろう。
やりいかというのはもちろん、鮮度がよければ、
刺身で食べられるのだと思うのだが、
私の場合、ゆでて甘いたれに決めてしまっている。
やりいかは、いかにしては珍しく、火を通しても
柔らかいので、ゆでたり、煮たりするのが基本の
調理法といってよいと思うのだが、今度生も食べてみるか。
さて、メカジキのあら。
洗ってボールに入れてしょうゆで和えて下ごしらえを
しておいた。
最近会得した、かじきのバタ焼き。
通称、カジバタ。
人形町の洋食や[小春軒]で好きでよく食べていた
のである。
なにがうまいのかというと、バタ焼き
(ムニエルでもなく、バター焼きでもなく、
古い洋食やでいう、バタ焼き、で、ある。)
というのは、東京下町でもどこの洋食やにもある
というものでもない。[小春軒]以外では
上野の[ぽん多本家]ぐらいではなかろうか。
だが、どちらにしても、バターしょうゆ味。
しょうゆとバターがちょっと焦げて香ばしくなっている。
焼いた表面は、カリカリ。
これもポイント。
これがうまい、のである。
この、バターしょうゆ味のバタ焼きなど簡単なようだが、
完全に再現できるまでなかなかの試行錯誤、で、あった。
まず、カリカリ。
このカリカリはムニエル式に小麦粉をふる。
これはまあ、ムニエルから考えれば容易に想像ができる。
次に、しょうゆ味をどこでつけるか。
後からフライパンに入れると、カリカリには仕上がらない。
そうすると、下味ということになるが、
この下味の付け方が問題。
軽くまぶすくらいからやってみたのだが、
このくらいでは、ほとんど味はつかない。
酒などで割らず、しょうゆのみで1時間。
このくらいは必要であった。
そして、小麦粉は表面くまなくまぶし、バターを
敷いたフライパンで焼く。
カリカリには表面くまなくがやはりポイントである。
ほぼこれで[小春軒]のカジバタになったのであった。
そんなことで、しょうゆをまぶして1時間置いた、
かじきあら。
あらであるが、同じように小麦粉をまぶす。
量が多いので、二回に分けるか。
半分は冷蔵庫へ。
フライパンにバターを落とし、溶けたところで
かじきあらを投入。
焼き方は別段むずかしいことはなかろう。
焦がしてもいけないし、火が通ってなくてもいけないが。
あらなので、形が不揃い。
小さいものから火が通るので、先にあげる。
出来上がり。
あらといっても、切り落としといった方がよいくらいの
ところ。
マグロであれば吉池などでは全部ではなかろうが、
一本で買って、自ら裁くこともあるのであろう。
しかし、かじきの場合、おそらく一本ではなく、
ある程度の塊で買って切り身への切り分けだけ、している
のではなかろうか。
おそらく、その切り落とし。
四角いのはハラスの部分、細長いのは文字通り
大きさ、形を揃えた後の切り落としであろう。
従って、味は、切り身とまったく変わらない。
うまい、カジバタ。
これは、吉池でもあまり見かけないものであったが
めっけもの、で、あった。
さて。
残りのやりいか、あと三杯。
はらわたとえんぺらを取って、下足もともに
ゆでるだけ。
甘いたれは、いつも冷蔵庫に常備のもの。
少し前にやりいかのゆで汁でも作ったこともあるが、
今日は、煮穴子の煮汁にさらに濃い味をつけて、
煮詰めたもの。
いわゆる鮨やでいう、ツメ、で、ある。
冷蔵庫から出して、レンジで温めて、かける。
やはり、これが一番うまいか。
よし。
今度これでにぎりの鮨も作ってみようか。
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