断腸亭料理日記2017

上野・とんかつ・蓬莱屋

11月13日(月)夜

月曜日、夜。

ここのところ、なん回かいきたいと思って
ふられていた洋食やであり上野とんかつ御三家の
[ぽん多本家]

今日こそは、と、思って、またたいして考えずに、
店前まできてしまった。

が、月曜であった。
定休。

かなりのうかつ、で、あった。
最近、疲れ気味、か。

こうなると[井泉本店]か[蓬莱屋]だが、今日は[蓬莱屋]にしてみるか。

一応確認。
ここは、水曜休み。([井泉本店]もだが。)
OK。

松坂屋裏、駐輪場の脇を抜けて、店前。

暖簾を分けて、入る。

一人、まだ大丈夫ですか?。
よさそう。

しまいまぎわ、カウンターにはお客はない。

どちらでも、というので、コートを脱ぎ、手前奥の壁際に座る。

お姐さんがお茶と品書きを持ってくる。

まずは、ビール、瓶。
そして、ここは基本、ヒレカツしかないので、
ヒレカツ。
ご飯付きにしてみる。

[井泉本店]でも[ぽん多本家]でもいつもご飯なしなのだが、
なんだか、今日はそんな気分。

ビールがきた。

エビス。
定食のお新香も持ってきてくれた。

ここのお通しはいつもこの枝豆、
ひたし豆。

とんかつやのお通しというのはおもしろい。

いつも気の利いた割烹風の違うものを出す[ぽん多本家]。
塩辛だが有料の[井泉本店]。
浅草寿の名店[すぎ田]は代替わりをしたが、
先代から梅味のくらげから変わっていない。
目黒[とんき]はうまいバタピーと決まっている。

お通しに対する店の考え方、センスのようなものが
違っているのであろう。

ひたし豆でエビスを呑む。

なにか、この組み合わせ、よい。
店内は静か。
この静かさもよい。

カウンターの向こうの調理場は二人。
私のカツは揚げ始めているのであろうが、
そろそろ仕舞仕度。

きた。

特徴のある、濃い揚げ色のヒレカツ。
肉の中心にはうっすらと赤味。

高温と低温の二度揚げ。

持ってきたお姐さんは、ご飯は少しお待ちしますか?、
と、声をかけてくれる。
老舗であれば、あたり前のことであろう。

とんかつやに限らず、こういう呑んでいる人間に対する
気遣いをしなくなっているのはどういうことであろうか。

ソースをかけて、

食べる。

衣は薄いがかなりしっかりしている。
ヒレ肉はしっとり。噛むと肉の深いうま味が十分に感じられる。

ソースはとろみの少ないウスターのようだが、
このソースがなかなかうまい。
なにかとんがっているものがあるわけではないのだが、
くせになる味。

ビールを呑み終わり、ご飯を頼む。

なぜだかここの味噌汁はお椀ではなく、瀬戸物の
カップ。
ちょっと甘めで濃厚。

うまかった。

ご馳走様でした。

勘定をして、出る。

しかし、上野とんかつ御三家、違いがおもしろい。

洋食やを名乗る[ぽん多本家]を一緒にしてしまうのは
店からすると不本意かもしれぬが、それも[ぽん多]の
個性としてみてもよいだろう。
カツレツ意外にも、イカフライなどの揚げ物はもちろん、
バタ焼き、洋食やの定番ビーフシチューなども、うまく、
選択肢は広い。
先にも書いたが[蓬莱屋]はストイックなくらい
ほぼヒレ一本。

[ぽん多本家]は低温で揚げて、揚げ色は薄い。
[井泉本店]はノーマルだが、衣がかなり特徴的な味でうまい。

価格帯は[蓬莱屋][ぽん多本家]が3,000円弱で
高価格だが、[井泉本店]は特ロースでも1,600円。

価格差からか[井泉本店]はカジュアルで
心地よい活気がありこれもよい。
対して[蓬莱屋][ぽん多本家]はどちらも静かな落ち着きだが、
[ぽん多本家]の一階のカウンターはアンダーな照明で
より落ち着くか。

定休も本来ずれているのだが。

ともあれ、三者三様。
だから、選びがいがある。
うれしい選択肢のある街、で、ある。





蓬莱屋


台東区上野3-28-5
03-3831-5783


 


    

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