断腸亭料理日記2017
7月1日(土)
土曜日。
やっと一週間が終わった。
ビッグサイトの展示会で随分と疲れた。
今日は、呑んだくれに決める。
第一食は、そばを喰おう。
乾麺を茹でて、冷蔵庫にあった天かすと、生玉子。
桃屋のつゆ原液をちょっと水で薄めたもの。
ねぎを散らす。
冷やしたぬき、に生玉子を入れたもの、ということになろうか。
これはこれでうまいのではあるが。
つゆの問題であろうか、
ちょっと引っ掛かる。
冷たいそばの場合、ざるとぶっかけがあるが、
どちらがうまいのか。
東京のそばというのは、元来は冷たいぶっかけ
というものは存在しなかった(?!)。
今も、三藪などには、存在しなかったと思われる。
いつ頃からであろうか、ぶっかけが出始めたのは。
冷やしたぬき、なんという名前のものが、嚆矢であろう。
私が中高生ぐらいであろうか、一人でそばやに行くようになった
頃にはもう既にあったように、思うのだが、いずれ子供のこと、
定かではないが。
ざるの方が先にあって、冷たいそばとすれば、
これしかなかった?。
まあ、ぶっかけのようなものがあったとしても、
東京のそばやの定番ではなかったのは間違いなかろう。
ぶっかけというのは、かけの丼にそばを入れて、
つゆをぶっかければよいので、別段難しいものではない。
容易に考え付くし、出すのも容易である。
だが、一般に定着したメニューになっていなかったのは、
なぜであろうか。
それはおそらく、ざるの方がうまかったから、であろう。
東京のざるのそばつゆというのは、とにかく濃い。
それも濃い甘辛。
しょうゆの濃い辛さだけでなく、実は甘味も強いのである。
実は、今日ちょっと引っ掛かった理由はここなのである。
ぶっかけにした場合、この甘味が引っ掛かるのである。
ざるの場合、そばにはべっとりと漬けないのが
東京のそばの食い方。
この場合は、しょうゆだけでなく、甘味も立った方がよい。
これに対して、ぶっかけの場合は、どっぷりと
つゆに浸る。
この場合は、甘味を多少抑えて、キレのある味にした方が、
よいのではないか、と思うのである。
私が愛用している桃屋のつゆは、おそらく東京下町の
ざるそばのつゆにかなり近い。
それで麺つゆは、桃屋一本を私は贔屓にしている。
この本体は、しょうゆも濃いが、甘味も濃い。
これに対して、ミツカンだったり、ヤマキだったり、
関西系メーカーのつゆは私は薄い、と感じる。
これはしょうゆではなく、甘味が、桃屋のものに比べると、
抑えてあるのではなかろうかと思われる。
ぶっかけの場合、むしろこれら関西系メーカーのつゆの方が
合っているのかもしれない。
東京のそばやで長年、ぶっかけがなかったのは、こういう理由
だったのかもしれない。
つまり、東京のそばつゆはざるに特化したつゆだったから。
さて、午後。
鶏肉をハナマサに買い出し。
焼鳥が食べたくなった、のである。
むろん、呑むため。
焼鳥と書いたが、最も簡単に
焼鳥風のものを作る場合、で、ある。
もも肉を一口に切って、フライパンで焦げ目をつける感覚で
強火で焼く。
焼けたら一度肉をあげて、フライパンに残った脂と肉汁に
酒、しょうゆに、砂糖をたっぷり加えて煮詰める。
とろみのある、焼鳥のたれ状になるまでである。
たれができたら肉を戻し、からめれば出来上がり。
もも二枚分なので、随分と出来てしまった。
ビールを抜いて、七味をふりながら、食べる。
こんなものでも、十分焼鳥らしい。
このポイントは以下2点ほどであろうか。
煮物ではないので、最後はからめるだけ。
また、煮詰めるところもポイントで、しびれを切らして、
テキトウなところで煮詰めるのをやめてしまうと、
薄味のイマイチなものになってしまう。
焦がしてもいけないが、我慢をして煮詰めること。
とろみが出てくるまでには、思ったよりも時間が掛かる。
ビールから氷結レモンにかえて、
ひっくり返って、ごろ寝。
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