断腸亭料理日記2017

讃岐うどん・つゆ

1月15日(日)第一食

土曜日、深夜。

讃岐うどんを作ろうと思い立つ。

きっかけは、ご覧になった方もあるかもしれぬが
NHKの「ブラタモリ」。
今週のテーマは香川県の金毘羅様。
讃岐うどんの発祥の地、なるところが出てきて
これが金毘羅様、金毘羅参りと関連していた、
というような話であった。

讃岐うどんといっても番組に出てきたのはどじょうの入る
味噌で煮込んだものであったが、今日作ろうと思ったのは、
讃岐うどんでもうどん本体ではなく、つゆ。

讃岐うどんのつゆが飲みたくなったのである。

讃岐に限らず、大阪も然り、関西の澄んだうどんつゆ
というのも、うまいもの、で、ある。

讃岐うどんのつゆというと、特徴はなにか。

一般にいわれているのは、いりこ、関東風にいうと
煮干しを使うことが共通しているようである。
(いりこと煮干しは同じものなのか、という議論もあるが
今日のところはそれはひとまず置いておいて、煮干しという
ことにしておこう。)

同じ関西でも大阪は、鰹、鯖などの削り節と昆布で
ごく濃厚に(4%以上?)、というのがポイントであった。

煮干しを使うというのは同じ関西風の澄んだつゆで、
微妙な違いのようであるが、味わいは随分と違ってくる。

まずは煮干し。
使うのは大きなもの。

煮干しをだしにする場合、苦くなるので頭と腹を
取ることにしている。

3〜4cmの小さなものの頭と腹をいちいち取るのも
たいへんであるし、また取ってしまうと、残りの身は
わずかなもの、で、ある。
それで大きいものを使っている。

最近は東京のラーメンやでも煮干しは大トレンド。
しかしあれは苦味があって、私自身は今一つ贔屓にはなれないのだが、
おそらく腹は取っていない。
大量の煮干しを使うのに一つ一つ腹を取る手間はかけられまい。
讃岐うどんのだしでも、これは同様で、腹を取らないのが
おおかたのやり方だと思われる。

そういう意味では讃岐オリジナルの味とは違ってくる
かもしれぬが、苦手なものは仕方がない。

頭と腹を取って、両手のひらにのるくらいの量。
軽く水洗い。

1分ほどレンジにかける。

これはなにかおまじないのようであるが、
だしが出やすかろうとしている。
もともとは、煮干しでだしを取る場合、乾煎り(からいり)をする
のだが、これをレンジでしたのがきっかけであった。
乾煎りをすること自体、意図は今一つはっきりしないのだが
今は、水洗いをした後、レンジをかけると熱で煮干しがふやけ、
だしが出るのが早くなる、と思ってやっている。

大きな鍋に、水を張って煮干しと昆布を入れる。
今、家に昆布は、高級な真昆布と日高のものとあるが
今日は日高の方。ただ、量は2枚半で少し多め。

これで数時間置くのだが、一度、温めてから火を止めて置く、
を二回ほど。
昆布を入れているので、むろん沸騰はさせないが、これも
早くだしが出るであろうとの目論見(もくろみ)、で、ある。

3時間弱たって、水に色がついてきた。
いいかな。
もう一度点火し、沸騰直前まで温度を上げて、昆布を引き上げる。

ここに、鯖などの混合厚削り、一にぎりほど。
一度煮立てて、すぐに止めておく。
やはり一時間ほど置く。

最後にもう一度点火し、沸騰直前まで上げて、
ノーマルな鰹削り節を二にぎり。
弱火で3分ほどキープし、消火し、夜はここまでて終了。

点火、加熱、消火、放置を繰り返しているが、
こんなことはほんとはセオリー外だとは思う。
煮立てたり、高温で煮出している間は、あくをすくう、
のであるが、これが面倒なので、高温は短時間にし、
火を止めて長く置くことでだしを出そうという意図である。

さて、翌朝。

放置してあったものを濾す。

なかなか濃いだしが出ていそうである。

さすがにつゆが飲みたいとはいえ、うどんにしよう。
乾麺の讃岐うどん。

つゆはだしからうどん一杯分だけ分けて味付けする。

味付けは薄口しょうゆ。

白だしというレシピもあるようだが、これは避けた方がよろしかろう。
私自身白だしはあまり好きではないのが理由の一つ。
それで、家にも置いていない。
白だしというのは、早い話がつゆの素で、これに味が引っ張られてしまう。
できれば使いたくないものである。

薄口しょうゆと酒を少々入れて、一度沸騰させて味見。

OK。

具は冷蔵庫にあったなにもしていない油揚げと、
水炊きにした骨付きの鶏ぶつ切り、とろとろに
柔らかくなっているもの。

出来た。

多めの昆布、厚削り、ノーマルな削り節とかなり大量の
だしを使っている。
なんとなく煮干しが負けているような、、。
煮干しをメインにするのであれば、もっと入れても
よかった。煮干しの味はするが、若干弱め。

ともあれ。
これはこれで、上々の讃岐うどんつゆができた。





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