断腸亭料理日記2016

まぐろづけ〜トマト玉子炒め

4月23日(土)第二食〜第三食

引き続き、呑んだくれ、土曜日。

細かいものなので、二つ。

鯵煮びたしの後、冷蔵庫にマグロブツがあるのを
思い出した。

そのままでもよいのだが、煮びたしのつゆに漬けて
ヅケにしようと考えた。

ヅケ、というのはご存知の通り、マグロ赤身のしょうゆ漬けのこと。

以前は鮨やでは江戸前の代表のようなタネで、
これを置いていれば、正しい江戸前鮨やというような
看板にもなっていたと思う。

あたり前のものであったが、戦後冷蔵設備が発達し
生や冷凍が広く出回るようになって、赤身も漬けていないものを
出すようになり、いつしか普通の鮨やでは置かなくなっていった。

それで、ヅケではないマグロ赤身のこともヅケと
呼ぶ人もあったように思う。
おそらく私などが30代になって自腹で安い鮨やに行くようになった頃。

それがいつしか正しい江戸前鮨見直し、というのか、
そんなブームが起こり、皆、ヅケなるものがどんなものなのか
知るようになって、まあ、そんなにむずかしいものでもないので
どの店でも出すようになってきのであろう。

東京では普通の家庭でも、赤身が余れば
ヅケにすることは少なくなかったようである。

しょうゆ漬けと書いたが、やってみればお分かりになると思うが、
実際にはしょうゆのみだと塩辛すぎてしまう。

水で割ってもよいが、鮨やでは、例のニキリといっている
しょうゆを酒で割って、煮立てた(煮切った)ものに漬ける。

しかし、これでも、にぎり用に切った薄いものであれば、
数分漬けるだけで味は染みて、十分、ヅケになる。

昔からそうだったのかはわからぬが、
ヅケとしてこしらえているところでは、
赤身のサクの表面を熱湯で霜降りにし
(むろん、火を通すのは表面だけですぐに冷水で〆る。)
ニキリに漬ける。

この意図は、漬かりすぎを防ぐということも
あると思うが、赤身をそのまましょうゆに漬けると、
どす黒い色になってイマイチ。
表面が火が入ると、白っぽくなり、これが防げる。

ともあれ。
うまい鮨やであれば、生の赤身もよいが、
ヅケになると、あまみが増してまた格別なものになる。

と、いうことで、マグロブツを、鯵煮びたしの煮汁に
漬けてみたのである。
鯵煮びたしのつゆは、酒としょうゆのみ。
鯵の風味はついてはいるが。

ブツでもあり、自分で食べるので霜降りなどはしない。

こんな感じ。


ブツではあるが、こんな刺身に切った切れっ端もあった。
これは5〜6分。

しょうゆに漬けているのだが、甘くなるのはなぜであろう。
しょうゆのうまみが加わるからか。
わさびをちょいと付けると、ばかうま。

さて。

もう一つ、この深夜。

中華の定番というのか、家庭料理、なのかもしれぬ。

トマトと玉子の炒め物。
皆さんもご存知のメニューであろう。
中国語では西紅柿炒鶏蛋(しいほんしいちやおしいたん)とのこと。

冷蔵庫に随分前のトマトがあった。
BLTサンドを作った時に買ったものなのでもうヤバそう。

手に取ってみると意外に食べられそうなので、
思い付いたメニューである。

中華の定番、と書いたが、昔からのものではなく、
ここなん十年かであろう。
ただ、広東だの北京、上海、台湾など地域差のある
中国料理だが、中国全土でポピュラーなもののよう。

レシピを調べると、調味料などの細かい違いはあるが
共通するのは、一つ。
玉子を先に炒め、一度取り出すということ。
これでふんわり仕上がるという。

トマト一個であるが、玉子は二個にしてみる。

玉子を割りほぐし、中華だし(味覇)を少し溶かしておく。

油をまわした中華鍋に投入。
固まりはじめたら、一度皿に取っておく。

トマトは櫛形に切り、さらにその半分。

これを炒める。

温まって、表面の皮がはがれ始めたら、玉子をもどし、
塩胡椒、オイスターソースで味付けをして、出来上がり。

 

 

ちょっと、ベチャッとした仕上り。
まあ、あまりほめられた状態ではないのか。

だが、今日、初めて作ったが、どう作っても
食べられないものができることはないと思われる。

ただ、やっぱり玉子料理。
うまく仕上げるのは、そう簡単ではない。

一度玉子を取り出すのは、ふんわり仕上げるためという。

実は、今回ちょっとしたアクシデントがあって、
ちょっと、イマイチなことになっていた。

取り出した玉子を皿にのせて置いたのだが、
この皿が不安定なところに置いてあったため、ひっくり返して
しまったのである。下にはフライパンがあってここに落ちたので
戻すことはできたのではあるが。

今、トマト一つ¥200くらいはするか。
それもあって私自身、買うことは、実はあまりない。
皆さんは高いとは思われまいか。
トマト缶が¥100を切っているではないか。

このくらいであれば、もっとやってみる気には、
なるのだが。




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