断腸亭料理日記2015

マグロのこと〜金目・頭の煮付け

7月22日(水)夜

さて。

前配信号で書いたが[ぽん多本家]で
蛤のバタヤキを食べて、店を出た。

8時少し前。

なにか物足りない。

蛤バタヤキはうまかったのだが、いかんせん6つ。

ご飯と味噌汁をもらってもよかったのだが、
やはり炭水化物はひかえようと最近はあまり
食べないようにしている。

が、やっぱり物足りない。

吉池に寄ってなにか魚がないか、みてみようか。
1階の魚売り場は8時半までであったか。
のぞいてみよう。

対面販売のコーナーはもう片付け終わっているが
パックもののコーナー。

マグロなどもたくさん安くなっているが
今さら、刺身でもない。

しかし、ここだけではないが、マグロの刺身ばかり
どうしてこんなに置いているのであろうか。
今さらのようだが、このことである。

もちろん、売れるから置いているのであろう。

マグロばかり食べる人がたくさんいる、
と、いうことである。

マグロだけのショーケースがここには通年あるし、
やはり他の魚と比べて、偏りすぎであろう。

これを見ても、日本人のマグロの食べすぎが裏付けられる。

海にいる魚の割合とのかけ離れ方は考えるまでもない。

皆さんはどう思われようか。

私もむろんマグロは大好きである。
中トロも大トロも、赤身も。

近海ものの生マグロのうまさは筆舌に尽くせない。

冷凍ものでも、最近の養殖(畜養)ものでも十分にうまい。

ただ、私はマグロばかり食べることはない。

それは他にも安くてうまい魚が、山ほどあるからである。

日本人がマグロを盛んに食べるようになったのは
ご存知の通り、そう古いことではない。

脂の多いトロなどは下魚とされていたが
日本橋[吉野鮨]で大正の頃からにぎり鮨として
握られるようになった。

うなぎもそうであるが、日本人はやはりマグロを
食べすぎである。

うまいものだし、金さえ出せばいいじゃないか、では
すまされない。
資源が枯渇し、絶滅危機に瀕しているのもご承知の通り。

結局、自分達の首を絞めているだけであろう。

欧米では持続可能な漁業をしている魚であることを
認証する制度があり、消費者もそういうものを買うべきである、
という考え方が一般化していると思われる。

このような思想が我が国には乏しすぎる。

こういう考え方は、一時的には獲っている漁師の方、
あるいは魚の流通、鮨やさん、うなぎやさんその他、
うなぎやマグロに関係する仕事を一時的には
減らすことにはなるかもしれぬ。
しかし、持続できないほどに減ってからでは遅い。
いやもう、その時期を越えているのかもしれぬ。

国なども考えているのであろうが、漁師さん、流通、
鮨やさんうなぎやさん、そして我々消費者も含めて
本気で考える必要があるように思うのである。

うなぎ蒲焼やにぎり鮨は私も大好物であるし、東京の、
我が国のとても重要な食文化であるからこそ、である。

ということで、見つけた、金目の頭。

銚子産。半額で200円。

刺身などもあり、今日の目玉の一つであったのよう。

これは甘辛の煮付け、で、ある。
まさに、絶品であろう。

帰宅。

熱湯を沸かし、そっと湯をかけて、湯引き。
冷水できれいに洗い、鍋に入れる。

酒、しょうゆ、砂糖、水、ヒタヒタよりも少し少ないくらい。
味は甘辛のかなり濃いめを目指す。

煮立てて、ここで一応味見、OK。
アルミホイルで落としぶた。
弱火。

味を少しいつもより濃くし、煮る時間は今日は
短めの5分にしてみた。


いい色に煮えた。

つゆとともに皿に移す。


内儀(かみ)さんも帰っていたので、
二人でつまむ。

プリプリで身のうまみも濃い。

煮魚は濃い味で短時間。
しゅうゆだけでなく、甘味みも強め。
これが、うまい。

短時間であるから、プリプリ。

知っていれば、さほど難しいことはないし、
手間、というほどのこともない。

金目は高級魚だが今日は安く買った。
むろん、安い魚は他にもたくさんある。

四方を海に囲まれた私達日本人は
安い旬の魚をうまく食べる工夫を本来
してきたはずである。

こうしたことが、漁業資源の保護にも
大切なのではなかろうか。

最初は多少のハードルもあろうが、
魚をうまく料理する術(すべ)を私たちそれぞれが
身に着ける努力が大切ではなかろうか。





断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2013 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 |? 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 |




BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2015