断腸亭料理日記2015
4月23日(木)夜
雨が続いていたが、久しぶりのよい天気。
天気がよくなるとこの時期らしく気温もあがる。
そろそろ初夏という気候。
気持ちがよい。
こうなってくると、辛いもの、である。
帰り道、なにを食べようか考えて、
麻婆豆腐に行き着いた。
皆様は麻婆豆腐はどのように作られるであろうか。
素の類もたくさん出ているが、
使わなくとも調味料が常備してあれば意外に
短時間でできるのでこれからの季節は毎年よく作っている。
ハナマサに寄って豚挽き肉と豆腐を購入。
豆腐は今日は木綿。
これだけでOK。
これ以外の材料、調味料はすべてある。
帰宅し、作る。
材料は豚挽き肉と豆腐以外では、にんにく、生姜、長ねぎ。
調味料は豆板醤(とうばんじゃん)、甜麺醤(てぃんめんじゃん)、
沙茶醤(さあちゃあじゃん)、ラー油、レッドペッパー(粉)、
八丁味噌、しょうゆ、
紹興酒、胡麻油、片栗粉、味覇(ウェイパ、
中華の味の素)、花椒(ホワシャオ、中国山椒)。
こんなところ。
まずは鍋に湯をわかし、
豆腐を切って入れる。
豆腐を茹でるわけだがこれは崩れにくくするため。
ただ、豆腐を入れてからは煮立ててはいけない。
すが入ってしまう。弱火で10分程度。
なぜ、豆腐を茹でると崩れにくくなるかというと、
熱が入ると水分が豆腐から抜けるためであろう。
その間ににんにくと生姜をスライス。
長ねぎのみじん切りも用意。
使う調味料をすべて並べる。
中華の場合、段取りよく料理を進めるため、
これは必須である。
おっと!。
ここで問題発生。
豆板醤の瓶はあったのだが、中身は空。
まったく間抜けな話しである。
空き瓶をご丁寧に冷蔵庫で冷やしていた。
(犯人は誰だ?私か内儀(かみ)さんか。)
豆板醤なしで麻婆豆腐を作ったことはないが、
仕方ない、なしで決行だ。
中華鍋を用意し、形通り一度空焼き。
油をまわし、一度捨てて再度油を入れる。
まずはにんにく、生姜から。
香を出して、豚挽き肉。
挽き肉の炒めは念入りに。
本当であれば、ここで豆板醤を入れて炒める。
甜麺醤を大匙1弱。
水を適量。スープを作る。
味覇小匙1弱、八丁味噌大匙3程度。
紹興酒小匙2、しょうゆ小匙3、粉のレッドペッパーを大匙1強。
沙茶醤小匙1程度、ラー油大匙1。
煮立てて味見。
結局、豆板醤というのは唐辛子(と空豆など)を発酵させた
もので、味としては辛みと香りであろう。
沙茶醤は台湾の発酵調味料で、これを入れるだけで、ちょっと
クセのある中華っぽい味になるので、麻婆豆腐にいつも入れている。
それで、豆板醤がない替わりに沙茶醤を少し多め、
辛味はレッドペッパーとラー油に頼る。
味はよさそう。
しかし、なかなか辛いぞ。
豆腐を鍋からあげて、中華鍋へ。
ここから仕上げである。
ねぎみじん切り。
胡麻油。
OK。
最後に水溶き片栗粉を作って、全体に馴染ませる。
終了。
盛り付け。
花椒をすり鉢でつぶして、上からまぶして出来上がり。
豆板醤がなくとも、それなりの麻婆豆腐ができるものである。
同じ豆板醤を使う例えば、回鍋肉のように他に使う調味料が
多くないものでは、やはり豆板醤がなければ難しいのであろうが、
豆板醤以外にもたくさんの調味料を使う麻婆豆腐では
なんとかなるということであろう。
私の以前を思い出すと、麻婆豆腐もそうとうに苦労した。
なにかというと、味が決まらなかったのである。
麻婆豆腐というのは、よくお考えになるとお分かりかと思うが
日本では、実にいろいろな味のものがある。
元祖は、かの陳建民氏が広めたということだが、
この味が(赤坂四川飯店の)陳麻婆豆腐がスタンダード
かといえば、まったくそんなことはない。
例えば東京の四川料理店を名乗る店でも味は随分と違う。
町のラーメン屋にもほぼ麻婆豆腐はあると思うが、店毎にやはり違うと
いってよろしかろう。
また、私たち世代ではで小学校の給食でも出たし、やはり昔からある、
丸美屋のものもある意味スタンダードであろう。
そんなことで、自分が目指す麻婆豆腐がはっきりしていなかった。
それなりにみんなうまいし、四川本格と名乗っているものなどでは
むしろ、刺激が強すぎて食べられないものすらある。
こうなると、コレという目指す味がなく、ぼやっとしたものしか
できないのは当たり前である。
それがなん年もかかったが段々と、目指すところが決まってきた。
辛さ、香り、クセ、あまみ、その他のバランスである。
私の場合は、辛みは強いが、花椒の痺れる辛さはそこそこ。
あまみもそこそこ、クセもそこそこ。
その代り(味覇だが)スープの味に厚みをつけているというのであろうか。
まあそんなところを目指した麻婆豆腐である。
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