断腸亭料理日記2014

サーモンのクリームパスタ その2

11月9日(日)

さて。

引き続き、サーモンのクリームパスタ。

鮭(しゃけ)とサーモンの件。

結局、甘塩の「アラスカ産キングサーモン」の切り身を
1パック2切れと、「ノルウェーサーモン」生、解凍もの鮨用の
サクを1パック、¥300程度のものを買ってみた。

「ノルウェーサーモン」の方は、サクなので骨なども
なくきれいに切られているもの。

さて。

後で調べてみて、昨日の「鮭(しゃけ)」と「サーモン」
の違いなど、いろいろなことがわかった。

ちょっと長くなるが、鮭とサーモンの事情、書いてみる。

そもそも今回買った「ノルウェーサーモン」など、サーモンといっている
ものは、おそらく「大西洋鮭」という種で、別名「アトランティックサーモン」。
彼らは大西洋を回遊して欧州、カナダなどにあがる。養殖も盛ん。

そしてノルウェーなどはこれを鮨用にきれいに加工、ブランド化して
日本を含め世界に出している。(スモークサーモンなどにも同様であろう。)

こいつらは、サケ目タイセイヨウサケ属の類。

一方、日本で昔から食べられているのは、サケ目タイヘイヨウサケ属で
主としてシロザケ(白鮭)というやつ。

これがお馴染みの「鮭(しゃけ」である。

私が学んだ日本民俗学では、鮭というのは東日本では儀礼の魚である。
西日本が鰤であるのに対して、東日本は鮭。

正月のおせち料理などに焼いた鮭は欠かせぬものになっていたのは
そういうことである。

それに使うのが塩漬けの鮭である、荒巻鮭。
お歳暮としては豪気なもので、定番でもあった。

私も東日本の人間であるので、冬の塩鮭はとても馴染み深く、
正月に限らず、弁当のおかず、おにぎりの具その他、
毎日の食卓にも欠かせぬものであった。
おそらく、東日本の同世代以上の方はそうであろう。

つまり、伝統的な食い物としての塩鮭である。

しかし、このところ、荒巻鮭など滅多に見なくなっている。

では、現代のシャケ事情、どういうことになっているのか。

まず、今の国内サケ・マスの供給量。合計で12年の数字で、61万トン。
うち10万トン程度が国産で、30万トンが輸入。(残りは期首在庫)
(マルハニチロHP)

輸入30万トンの内訳は、チリがダントツのNo.1でなんと20万トン。

店頭でみる安い塩鮭のほとんどはチリ産であるが、さもありなん。

続いて、ノルウェー、ロシアなど。

ノルウェーなどはさっき買ったサーモンこと、
生や冷凍のタイセイヨウサケなのであろう。

しかし、おもしろいのは、吉池で見てもアラスカ(米国)、カナダ、
そしてチリも、サーモンではなく、アラスカのキングサーモンでも、
さっき買った、切り身の甘塩の塩鮭で売られている(加工は国内かもしれぬが。)
ものが多いようであるということ。

まあ、解き明かすとこんなことのようである。

半分推測も入るが、日本の魚商社がチリなどで養殖を教え、
これが安い塩鮭になり、荒巻鮭に取って代わった。

これに対して、ノルウェーなどの漁業は日本以上に
近代化というのか、ビジネス化が進展しており、養殖の
アトランティックサーモンを、刺身、鮨など用のフィレ(サク)に
開発加工して、ブランド化、盛んに世界に輸出している。
(ノルウェーのサーモンの輸出先では日本は10番目で
彼らの中ではさほど多くはないよう。)

それで、我々に馴染み深い鮭(しゃけ)ではなく、
サーモンなのである、と。
(ノルウェーのアトランティックサーモンでもむろん塩鮭はできる
のであろうが。)

ともあれ。

鮭鱒の類は、太平洋、大西洋、種類も多く出回っており、脂ののり、
色その他、違うといえば違う。
しかし、国産の白鮭でも、銀鮭、紅鮭でも、あるいは鱒(カラフトマス)でも、
アラスカのキングサーモンでもノルウェーのアトランティックサーモンでも
皆、鮭の仲間で、天地の差があるとはいえない。
今回の燻製にして火を通しクリームソースにするのであれば、おそらくいける。

実際のところ、塩鮭になっていても甘塩のものであれば「サーモン」
でなくとも、どこのものでもOKであろう。
(ノルウェーのブランド化された「サーモン」に乗らずともよい。)

さてさて。

甘塩鮭切り身とノルウェーサーモンサクを買い、
ついでに、せっかくなので他の魚も物色。

吉池では、秋刀魚がまだ安いが、さすがにもう秋刀魚でもない。
先日、買ったが真鱈の子が安いので、これを購入。

さて。もう一つの課題。

スモーク用の桜チップ。
(だいたい、チップとウッドと違うようなのだが、面倒なので
それは置いておこう。)

吉池の隣、松坂屋の駐車場のビルにアウトドアショップが
入っていた。

ここでまずは、探してみよう。

山登りにしても、アウトドアにしても、まったく縁がない。
(スポーツとしては、スクーバダイビングしかしない。)

二階がキャンプ用品のよう。

一通り自分で探してみるが、見つからぬ。

自分の場違いさを確認しつつ、聞いてみると、
聞くまでもないと、案内してくれた。

なるほど、あったあった。桜のチップを一袋購入。

やっぱり、こういうところにあるのね。

 


つづく



 


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