断腸亭料理日記2014
6月21日(土)夜
さて。
今日は昨日の続き。
アメ横で鰯を買ってきた。
開けて数えてみると13〜14匹あった。
大きさはまあ、普通か。
まずは刺身。
頭を落とし、三枚におろす。
おろすといっても、ご存知のように鰯の身は柔らかいので
きれいにおろそうとすると
難しい。
柔らかいので、鰯の手開き、といって、手でも開けるが、
手開きは、まかり間違うと、ぐちゃぐちゃになる。
それで一応、型通り出刃包丁でおろす。
それでも、柔らかいため、力を入れると身がつぶれそうになるし、
骨が折れそうになる。
なかなかむずしい、のである。
が、なんとかおろし、皮を引く。
この時にも、身が崩れそうになったりする。
三匹分おろした。
柳刃包丁で切り、皿にのせる。(のりきらないので二匹半)
そして、もう一つ。
これは、なめろうにする。
やはり二匹。
これは叩くので、崩れてもなんら問題はない。
叩いて、ねぎのみじん切りと、信州味噌を混ぜ込む。
できた。
ビールを開けて、食べる。
刺身の方はおろし生姜。
刺身の味は、上々。
鰯というのは、ことによると鯵よりもうまいのではなかろうか。
と、いうのもヘンなのだが、平均値が高いというのであろうか。
あたりはずれが少ないというのか。
どうも経験上そんな気がするのである。
脂がほとんどない鰯というのもぶつかったことはある。
しかし、それも、一回あったかどうか。
鰯というのは鮮度がすぐに落ちるので、
わるいものは、ひょっとすると売らないのか。
さて、なめろう。
これはこれで、うまいのだが、実は、半端な時刻に大勝軒のつけ麺を
食べていたので、刺身で腹が一杯になってしまった、のであった。
それで、深夜にアルミホイルにのせて、オーブントースターで
焼いて、さんが焼きにした。
焼いたら焼いたで、また、酒の肴には持ってこい。
うまいもんである。
さて。
まだ、10匹弱、残っている。
どうしようか。
内儀(かみ)さんにいうと、あんたの好きな
フライにしたら、という。
なるほど。
そうであった、
イワシフライ。
これである。
白身のフライは出るが、イワシフライは老舗洋食やには、ない。
定食やのものであろう。
まさしく、大衆、庶民の味。
鰯という魚は刺身やにぎりの鮨も好きなのだが、
フライはまた、格別。
鰯の食べ方としては一、二を争うのではなかろうか。
フライの場合は鯵でも鰯でもよい。
青魚をフライにしたものにケチャップとソースと
マヨネーズを合わせたオーロラソースを
かける。堪らない。
最近の課題、衣二度付けの件もある。
よし、決まり。
だが、残った10匹弱開かなくてはならない。
たいへんである。
今夜のうちに、やってしまおう。
意を決して、さばき始める。
三枚ではなく開くというのはちょっと違うことになる。
頭を落とし、腹を裂きはらわたを出し、きれいに洗う。
裂いた腹の尻尾寄りから出刃包丁の刃先を入れ、
中骨の上側を切り、尻尾まで開く。
むろん開きなので、切り離してはいけない。皮一枚を残す。
次に刃を反対向きにし、同じく中骨の上に刃を入れ、
腹骨切りながら頭まで開く。
頭側から素直に包丁を入れてもよいのだが、柔らかいので
この方がやりやすいように思う。
これで中骨は付いているが、開いた状態になる。
あとは、中骨の下に刃を入れ、尻尾まで刃を動かし
身から切り離し、最後に尻尾の手前で中骨を切り落とす。
と、まあ、段取りはこんな感じなのだが、
実際には、これも簡単ではない。
例によって身も骨も柔らかいので、崩れやすい
のである。
(これこそ、手開きの方が合っているのかも知れぬが、
やはり自信がない。)
終わった。
つづく
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