断腸亭料理日記2014

上野・餃子・昇龍

8月24日(日)夜

日曜日の夜。

まだまだ暑い日が続いているが、
餃子が食べたくなった。

我が家で餃子といえば、上野アメ横ガード下の[昇龍]である。

焼いたものを買ってきて家で食べることもあるが、
今日は内儀(かみ)さんと食べに行くことにする。

内儀さんは、餃子だけなの?と聞く。

上野[昇龍]は、ほぼ餃子や、なのだが店の体裁というのか、
カテゴリー的にいうのであれば、いわゆる昔からあるラーメンやで、
餃子以外にラーメンもあれば、野菜炒めもある。

6時前、私は短パンに雪駄を突っ掛けて、内儀さんと徒歩で出る。

[昇龍]の餃子というのはなん度も書いているし、
ご存知の方も多かろうが、特徴は大きいということ。

餃子というのは嫌いな人はあまりいないであろう。
フリークというような人もいる。

宇都宮だ浜松だと、地方で存在感も高いところもある。

準国民食というような位置にあるといってもよいかもしれぬ。

前に参考にしたことがあるが、日本の定番料理の
起源を調べておられる澁谷氏もやはり、餃子のことを
調べておられた


やはり、戦後。
満州から引き揚げてきた人々が広めたという。

特に元祖といわれているのが、今は閉店しているようだが、
渋谷にあった「aa羊肉館」という店。
そこそこ有名な店であったという記憶がある。私も、そうとは知らず
誰かに連れられて入ったことがあると思う。

この「aa羊肉館」でご飯のおかずに、あるいは酒の肴に合うように、
中国東北部の焼餃子がアレンジされ、今のにらやにんにくその他の野菜が入る
ようになったという。
(中国東北部でもともと野菜が入る原形のようなものはあったようである。)
(また、宇都宮と浜松の餃子好きは、どちらも引き揚げ者が多かったから
とも書かれている。)

さて。

私は日本の焼餃子は、大好物というほどではないが
人並みに好きではある。(ただ自作する場合は、皮から作るが
野菜を入れない中国の点心に近い水餃子である。)

餃子というもののうまいまずい、というのは、
皆さんそれぞれ持論があるのだと思う。
そして、家庭毎に独特の工夫などもあろう。

私の場合は、こうだからうまい、というのは
よくよく考えると、あまりないように思う。
(唯一あるのは大きさ、で、ある。)

神田神保町だったり、蒲田だったり、うまいといわれる
有名店にいっても、実は、さほどびっくりはしない。

また、浜松はまだだが、宇都宮の餃子は食べてみたが、やはり同じ。
むろんまずくはないが、飛びっ切りうまいかといわれれば
そうでもない。

実は内心思っているのは、日本の焼餃子というのは
そういう食い物、つまりどう作っても、ソコソコの味で
ソコソコ以上ではない、ということなのである。

フリークではないので、こういう意見になってしまう
のかもしれぬ。

しかし、よく、TVのグルメレポーターなどの、誉め言葉に
ジューシーなどというのがあって、焼餃子にも使われていると思うが、
これは実際は嘘であろう。

小龍包などの密閉され、かつ、蒸した点心であれば
スープ分の多い、文字通りジュシーなものになる。
焦げ目をつけてお湯で蒸し焼きにする日本の焼餃子の
作り方では、スープ分は皮から染み出てしまっていると思うのである。
(また密閉していない焼餃子も少なからずあるのも
皆さんご存知であろう。)

餃子でもジューシーさを追求するならば、
せめて水餃子、本当は蒸餃子でなくてはならない
ように思うのである。

ということで上野[昇龍]。

日曜日のこの時刻でも、カウンターだけの店だが、
にぎわっている。
店の前でしばらく待って、カウンターに座り、
瓶ビールと餃子をもらう。

これはすぐくる。
この大きい、食べ応えがあるのが、よい。
サッポロラガーというのがまたよい。

ウイークデーの夜などにくると、餃子ライスという
注文がどんどんと入る。
今日も、ウイークデーほどではないが、そういう人もいる。
餃子ライスは、皆、一人できたお客さん。

このアメ横界隈で働く店員さんなのであろうと、
想像している。
安くてうまい、働く者の夕飯である。

内儀さんのリクエストで野菜炒め。


これはレバが入った、レバ野菜。

塩ではなく、しょうゆ味で味が絡みやすいようにか、
軽く片栗が入っているよう。

もう一品、焼きそば。


こちらはわかりやすい、あんかけ。
麺は焦げ目が入っているもの。

ただ、味も、入っている野菜なども、野菜炒めとほぼ同じ。

だが、むろん、どちらもうまい。

上品でもなければ、珍しくもない。
しかし、うまい。

お客とお店の人々、いつきても活気がある。

餃子も含めて、上野[昇龍]、希少な店である。

 


台東区上野6−10−14 
03-3832-0847




 


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