断腸亭料理日記2013
7月14日(日)
関東地方の梅雨明けから2週間余り。
猛暑が続いているが、皆様お元気であろうか。
私の先週は書いている通り、ビッグサイトに
缶詰で、やっと終わった昨日は一日、エアコンのもとで
へばっていた。
三連休の中日(なかび)。
昼前、髪を切りに、出る。
行く先は今日は、買い物の都合もあり、吾妻橋のQB。
さすがに暑いでの徒歩はやめて、自転車。
白い短パンに白いポロシャツ、いつもの雪駄履き。
麦藁帽子でもかぶって行こうかと思ったのだが、
随分前に古くなって内儀(かみ)さんに
捨てられていたのであった。
なん年か前、買ったのは、ローソンの100円コンビニで
あったと思い出し、浅草通りの同じ店へ行ってみると、
置いていない。
昔からある、黒い帯の付いている、
案山子(かかし)でも被(かぶ)っていそうな
あれだが、けっこう気に入っていたのである。
今時、あんなものを買う人もいないか。
合羽橋の交差点を渡って、左に本願寺をみて、
田原町の交差点。
左折して、旧仁丹塔の交差点。
信号で止まると、上から下から、高温に焼かれる。
雷門通り。
暑いが浅草も随分と人が出ている。
大きな海老天が看板の尾張屋。
珍しく、行列である。
雷門前の信号を突っ切って、吾妻橋西詰、
東武浅草駅前の交差点。
渡って、吾妻橋へかかる。
車道を通って、橋を渡り、坂を下ると左側が
墨田区役所やら、アサヒビールのある
墨田リバーサイド。
QBはここにある。
すぐに切ってもらえて、出る。
髪を切ったら、蕎麦でも食べようと考えてきた。
ここへくれば、ひさ〜しぶりに、吾妻橋やぶ、
と、思ってきたのだが、店が、ない。
はて、休みか、と思い、浅草へ戻る。
(まったく、迂闊であった。帰ってきて調べて分かった。
吾妻橋やぶは、以前は、吾妻橋を渡ったこの通り沿いに
あったのだが、随分前に駒形橋の東詰に移転。
きれいになって、営業している。あまりにこないので
まったく知らなかった。)
蕎麦や、なのだが、その前に買い物。
買いにきたのは扇子(せんす)。
なん本も、色々なものを持って使っているのだが、
今、主として使っているのは、落語家が高座で使う、
高座扇(こうざせん)と呼ばれているもの。
買うのは、仲見世の脇路地にある[文扇堂]という扇子店。
雷門の向かって左側の路地を入って
二本目の角。
木造の小さな店。
歌舞伎役者や、落語家なども使い、
浅草では、いや東京でも名の知れた店といってよかろう。
硝子戸を開けて入る。
扇子だけでなく、踊りに使う扇、手書きの渋い団扇、
なども置いている。
入って、目に付く棚にあった、高座扇。
お内儀さんであろうか。
店番の女性に、高座扇を三本、
と、言って、包んでもらい、勘定を払う。
なぜ三本かといえば、毎日持ち歩くので、失くすし、
汚れるので、ひと夏分、三本である。
一本、千円ちょっと。
「毎度ありがとうございます」という声に
送られて、店を出る。
さて。
これが、その高座扇。
ご覧になってお気付きであろうか。
一般の扇子との違い。
絵もなにもない真っ白。
まあ、これは誰でも気が付かれよう。
大きな違いは、骨の数。
数本分少なく、骨同士の隙間が空いているのがお分かりになろう。
また、扇子を閉じたときに、普通のものは先端に向かって
細くなっているが、これは逆に太くなっている。
この形は"江戸扇子"などといわれることもあるが、
江戸(東京)だけではなく、扇子の本場京都などでもあり、
調べると、明治以前の扇子の古い形のようである。
今、普通に使われている扇子は、明治以降、
人々が洋装になり、洋装にあったスマートなもと
というので、考えられた形という。
従って、この古い形の扇子は実は、高座扇だけでなく、
数は多くはないが、様々なものが売られている。
扇子を持っている職業というと、
落語家以外にも、いろいろあるが、
お分かりになろうか。
囲碁や将棋の棋士、といわれる人々も
対局時に扇子をパチパチやっているのを
見たことがあるやに思う。
彼らの持っているのも実にこの形なのである。
ただ、落語家のものよりも、少し太くて長い。
(つまり、大きい。)
ともあれ。
この高座扇、千円ちょっとは安かろう。
今、コンビニで買ったら、安っぽい中国製が
このくらいの値段であろう。
そして、この文扇堂の高座扇は、造りが
しっかりしているのか、他の店のものと比べて、
パチパチと実に気落ちのよい音がする。
皆さんも一本いかがであろうか。
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