断腸亭料理日記2013
4月6日(土)
今日も昨日のつづき。
細巻、で、ある。
干瓢巻を二本巻いて、切った。
次に、トロの鉄火巻。
切り落としのマグロトロ。(ちょっと筋っぽいところ。)
巻きやすいように細長く切る。
干瓢巻同様、海苔を半裁、酢飯をのせて、
マグロをのせ、わさびは干瓢よりも多めに入れる。
巻いて、切る。
干瓢巻以外は、六つ切り。
二本。
皿にのせる。
干瓢巻ではさほどのことはなかったが、
マグロは太めに切っているので、片側に片寄っているのが
目立つ。
具をのせるところを凹ませてからのせる、ということを
しなければいけないような気もするが、プロはそんなことは
していないように見えるが、どうであろうか。
さて。
白魚。
まずは、軍艦。
軍艦巻きというのは、ご存知の、うにやいくらを
のせるのに使っているあの形。
(調べたら、軍艦巻を始めたのは銀座の久兵衛という。
なぜか年までわかっており、戦前の昭和16年という。
ほんとであろうか。)
にぎりの酢飯を作り、わさびを塗り、これを海苔の帯で巻く。
海苔の帯はにぎりの高さよりも長くし、ここに
白魚を入れればよい。
海苔を縦に置いて、横向きに帯に切る。
この帯をさらに半分の長さに切ってもよさそうだが、
このままで余らせて出す鮨やもあったと記憶している。
海苔はたくさんあるので、このままにしよう。
火を通した白魚は数匹でにぎり、海苔で鉢巻をする。
生と火を通したものと、それぞれ二個ずつ作ってみる。
皿にのせる。
マグロは、赤身も買っておいたのだが、これだけで十分。
一先ず、終了。
食べる。
形はともかく、干瓢巻もトロの鉄火巻も味はよい。
また、白魚のにぎり。
生と火を通したものと、どちらがうまいかといえば、
やはり、生の軍艦巻き。
ただ、火を通したものも、とても淡泊、上品といってもよい。
春らしい味。
江戸前伝統の白魚のにぎり、というのは、どんなものであったのか。
生で軍艦巻では間違いなく、ない。
随分前に滅んでしまったのか。あまり人気もなかったのか。
情報はあまりない。
大騒ぎをするほどのものではないが、今の東京の鮨やでも
加熱したものをもっと使ってもよいように、思われる。
さてさて。
今回のテーマは、海苔であった。
海苔は、どうであったか。
問題はなかった。
さすがに、日本橋山本山の1袋10枚入り1050円のもの、
で、ある。
ただし、うまい、というよりは、問題はない、あるいは、
まずくない、という表現が、当たっているであろう。
昨年、スーパーで買ったものがそうとうにまずかった、
と、いうことかもしれないが。
そう考えると、鮨やの巻物の海苔はむろん問題ないし、
町の持ち帰り寿司、の巻きずしもまずくない。
さらに、コンビニのおにぎり。
この海苔も、まずい、と、感じたことはない。
これらは、そこそこ以上の海苔を使っているのかもしれない。
じゃあ、まずくない、ではなく、うまい海苔というのは
どういうものか。
一般的には、海苔は新もの。
新海苔といわれるもの。
これが、うまいといわれている。
新海苔というのは、以前によくいっていた合羽橋の鮨やで
聞いたことがあった。
この店では、初夏の祭シーズン、近隣の三社や鳥越等々の
いくつもの町の神酒所(みきしょ)に鮨を寄進ていたのだが、
この時、海苔だけはいいものを、というので、新海苔を使っている
といっていた。
こんなこともあって、私は新海苔というのは、お茶やなにかと同じように、
初夏のものかと思っていたが、左にあらず。
なんでも、秋に種をつけて、海水温が下がった、12月頃のものを
いうらしい。(以前には旧暦でその年の初めに摘んだものということ
だったのかもしれない。)
(ただし、新海苔という名前で、この4月にも、ネット上で
あるいは、店頭でも売っているところはあるよう。)
新海苔がうまい、というのも、実際に先の合羽橋の鮨やで食べているが、
やはり、味がよいという表現よりは、香りがよい、というものである。
そう。
やはり、最初の疑問に戻るのだが、海苔ってなに?、で、ある。
海苔そのものは香りはあっても、ほぼ、味はない。
(香りも味の一部とみなすことはできるが。)
板状の今いう板海苔というものは、江戸生まれ。
以前は浅草海苔といわれていたくらいで、紙のように薄く
広げて干したものは江戸、それも、浅草で生まれた。
それこそ、戦前までは、東京みやげの代表であった。
我々の子供の頃は贈答用にもされたくらいで
希少、高価な必需品と、いってもよかったはずである。
味がないのに。
だだ、消費量なども多少は落ちているようだが、日本人には、
まだまだやっぱり鮨にもおにぎりにもなくてはならない必需品で
あることは変わっていない。
味がないのに。
やっぱり、海苔って、不思議、で、ある。
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