断腸亭料理日記2013

白魚かき揚げ

4月7日(日)第二食

さて。

日曜日。

昨日、鮨にした白魚。

生と火を通したものと二種、各二個作っただけなので、
使ったのはほんの少し。まだ大量に余っている。

白魚の他の使い道とすれば、池波先生が書かれていたのだが、
小鍋立て、なんというのがあった。
(豆腐と一緒に出汁で煮たもの。鬼平1「暗剣白梅香」)

乙なもの、で、あるが、やはりオーソドックスなのは、
かき揚げ、で、あろう。

昼下がり、作り始める。

かき揚げは2月に天丼にしようと思って、ちょいとしくじった。

あの時も書いたが、かき揚げというのは、むずかしい。

衣がゆるいと形にならず、堅いと厚くなり、火が通らず中が生、
というようなことが起こり、ちょうどよい塩梅という範囲が狭い。
難易度としては、普通の天ぷらよりも高い。

私の場合、どちらかといえば、堅めにしてしまう。
これはやはり、飛び散って形にならないことへの
おそれから、こうしがちなのだと思う。

プロの作るのを見ていても、小柱でも芝海老でもある程度、
1割くらいであろうか、形にならないものはある。

そうそう気にしなくてもよいのかもしれない。

天ぷらも段取り。
準備をすべて終えてから、作り始めた方がよい。

油を揚げ鍋に入れ、予熱。
ストックしてあった天ぷら油はちょっと量が少なくなっていたので、
胡麻油を足す。

玉子冷水。
プラスチック容器に玉子を割りほぐし、水と氷二個ほど入れておく。

粉。
いつもは、薄力粉と市販の天ぷら粉の半々なのだが、
今日は、どんなものか100%天ぷら粉でいってみようか。

市販の天ぷら粉というのはカラッと揚がる、というのが売りで、
重曹などが入っていると思われる。
カラッとしっかりめの衣に揚がるのはよいのだが、油温が高い場合か
どういうはずみかわからぬが、油が沸騰したように、泡だらけで
あふれてしまうことがある。

ともあれ。

今日は、粉は念を入れて、一度篩(ふるい)を通す。

お椀を用意。

揚げ箸、揚げたものを置く網。
こんなところを用意して、スタンバイOK。

油の予熱後、一度止めておいた火を再度点火。

白魚を冷蔵庫から取り出し、かき揚げ一つ分をお椀に取る。
ここに篩った天ぷら粉を入れ、白魚にまぶす。


別のお椀に玉子冷水を入れ、粉を合わせる。
今日は、前回の反省を生かし、少しゆるめ。
これはかき揚げ一つ分。

小麦粉をまぶした白魚をここに合わせる。


合わせたら、少し堅くなった。
水をちょいと加える。

よいかな。

油温を確認し、投入!。

多少、油の中で飛び散ったが、あまり分厚くもならず、
そこそこの形になった。

15秒待って、ひっくり返す。

念のため、厚みのある部分に揚げ箸で熱が通りやすいように、
穴を開けておく。

後は、ひっくり返しながら、狐色まで揚げる。

同じように、四つ。

今日は、なかなか、よく揚がったのではなかろうか。

なんとなく、コントロールがきちんとできてうまく揚がった
というよりは、偶然にうまく揚がったような感じも、
しなくはないが、まあ、うまく揚がれば、文句はない。

今日は、かき揚げ丼ではなく、そのままでビール。
したがって、天つゆ。

天つゆはいつものように、桃屋のつゆ、ストレート。

そばつゆでも天つゆも、拙亭では、桃屋のつゆ。
つゆは桃屋しかあり得ない。

なにがといえば、しょうゆが立って、濃いから。

私の東京下町の濃いしょうゆの味覚に合っているのは
東京下町発祥の、桃屋なのである。

食べる。

火はむろん通っているし、半生だった前回よりは
断然よい。

ここから先は、欲目。

白魚というのは、淡泊なもの。

淡泊なだけ、もう少し、衣が軽くともよかったような気もする。

まあ、かき揚げなどそうそう頻繁に揚げるものではないので、
一歩進んで、二歩下がる、ようなことを繰り返している。

まあ、今日のところは、満足としようか。

 

 

 

 


断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 |

2009 12月 | 2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 |

2010 7月 | 2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2010 12月 |2011 1月 |

2011 2月 | 2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月

2011 9月 | 2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 |

2012 4月 | 2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 |

2012 11月 | 2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 |


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2013