断腸亭料理日記2013

根岸・洋食・香味屋

4月14日(日)夜

引き続き、日曜日。

夜は根岸の洋食や、[香味屋]

[香味屋]は、カミヤ、と読む。

東京の洋食やの中では、老舗であるし、有名だと
思うのだが、実際には、どのくらいの方が
この店を知っているのであろうか。

創業は大正14年で、東京の洋食やでは、
紛う方なき、老舗といってよかろう。

ただ、存在感があるような、ないような、ポジションが
なんとなくはっきりしないように思えるのは、
根岸、という立地のせいであろうか。

大体において、根岸といって、どのへんなのか、
お分かりになる方すら少ないのではなかろうか。

最寄駅は、鶯谷。

ああ、ホテル街?。

なんて思われる方もおられようが、それは正解。

だが、それは今の根岸。

その昔、江戸の頃は、風雅な別荘地。

○○○○○ 根岸の里の 侘び住まい

なんといって、○○○○になにを入れても
俳句らしくなる、といった扱われ方もされる
根岸。

(例えば、

日が暮れて 根岸の里の 侘び住い

…まあ、普通か。

金魚鉢 根岸の里の 侘び住い

…ちょっと、雰囲気があるかな。

扇風機 根岸の里の 侘び住い

…意味が分からない、か。

洗面器 根岸の里の 侘び住い

…こっちの方がいいか。(皆さんもお試しを!)

閑話休題。

『剣客商売』では田沼意次の娘、佐々木三冬の住んでいた寮の
あったのが根岸。
(これは池波先生のむろん創作だが)

実際に、例えば、江戸琳派の酒井抱一なんという大名画家
が住んでいたり、、、。

また、明治になるが、俳人正岡子規の子規庵も根岸。

落語でも圓生師匠は「根岸お行の松、因果塚の由来でございました」
といってしめくくった『お若伊之助』。
または『茶の湯』なんという噺は根岸が舞台。

今のホテル街からは想像すらできないが、
鶯谷という駅名は、本当に、鶯の声が聞こえる谷、という
意味だったのである。

そんな根岸がなぜ、ホテル街になったのかは、
以前にも書いているので↓このあたりをご参考に。

講座

さて。

[香味屋]であった。

ここはとにかく、デミグラスソースがうまい。

上野藪で蕎麦を食ったので、予約したのは、19時。

元浅草の拙亭からタクシーで向かう。

日曜日の夜もやっているのはありがたい。
これはやはり、下町の食いものやだから、で、あろう。

根岸の、ちょっとわかりずらいところだが、
柳通りという通り沿いにある。

頼んだのは、内儀(かみ)さんは、言っていた通り、
ポークソテー。

私は、デミグラスソースを堪能したいので、ビーフシチュー。

さらに、内儀さんの希望でマカロニグラタン。

ビーフシチュー


マカロニグラタン


ポークソテー


内儀さんがポークソテーを食べたかったのは、

実は、近所、浅草寿のとんかつや、[すぎ田]
へ行こうと思っていたから。しかし[すぎ田]へ電話をすると、
臨時休業とのことで、今日は急遽、根岸の[香味屋]になった。

[すぎ田]のものはブランデーの香りをつけた、
バターしょうゆ味。

が、上の写真通り、この店ではお得意の、デミグラスソース。

内儀さんとしては、多少残念であったか?。

ともあれ。

ビーフシチューのデミグラスソースは絶品。

ご飯に合うデミグラスソース。

私の方は、大満足。


帰路は徒歩。

酔っぱらいの足で、30分ほど。




台東区根岸3-18-18
03-3873-2111


 

 

 

 


断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 |

2009 12月 | 2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 |

2010 7月 | 2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2010 12月 |2011 1月 |

2011 2月 | 2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月

2011 9月 | 2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 |

2012 4月 | 2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 |

2012 11月 | 2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 |


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2013