断腸亭料理日記2012

チキンライス

2月18日(土)第一食

さて。

土曜日。
(やっと、リアルタイムに近づいてきた。)

今朝は、冷蔵庫に冷飯があったので、
チキンライスを作ることにした。

チキンライスというのは、いうまでもなく、
鶏肉の入ったケチャップライス。

好物である。

ちなみに、池波先生も好物であった。
外の洋食やでも、ご家庭でも、かなりの頻度で
食べていたようである。
鶏が入らなければ、ハムだったり(これは池波日記には
ハムライス、と、書かれている。)豚だったり。

子供の頃、お子様ランチに旗が立って型抜きしたものが
のっていたっけ。

してみると、子供の味覚、なのかも知れぬ。

だが、好きなものは仕方がない。

私が外で食べるとすると、地元浅草のヨシカミ

ここにくれば、必ず頼む。
ヨシカミは私には、他の選択肢はなく、
洋食やではなく、うまいチキンライスを食べさせる店
に、なっている。
濃い味よい。

他の洋食やでは、昨年だと、日本橋のたいめいけん
(ヨシカミよりは、あっさりめ。)

そして『講座』でもいったが、銀座の資生堂パーラー

どちらも池波レシピで、落とせない。

おそらく、一皿のチキンライスとすれば、
銀座の資生堂パーラーは、東京一、お高いものではあろう。

その値段に鑑みて、適正かどうかの議論は置いておくとして、
味は、むろん、十二分にうまい。

チキンライスといえば、玉子で包めば、オムライス。
世の中一般、特に女性ではこちらの方が、人気は高かろう。

同じ浅草だが、グリルグランドなどは、私はフライものがお勧めだが、
オムライスの方が有名かもしれない。

だが、私は、オムライスよりもチキンライスの方が、好き。
オムレツは、むろん嫌いではないが、
さほど好物でもないというのが理由にはなろう。

ともあれ。

チキンライスを作る。

鶏肉はももが冷凍庫にあるので、1枚レンジで解凍。
全部は使わない。
半分ほど、1cm角のさいころに切る。

それから玉ねぎ。
半分をみじん切りにして用意。

さて。
ご飯。

これは、先日のチャーハンで、
温かいご飯を使う、というのを、やってた。

効果があるのかどうか、この時はよくわからなかったが、
また、やってみるか。

ホーロー鍋で、例によって、堅めに炊いたもの。
ボールに移し、レンジで温めておく。

テフロンのフライパンを用意。
熱して、油を敷き、玉ねぎ、鶏肉を炒める。

概(おおむ)ね炒まったら、ブランデーを投入。
フンランベ。(ブランデーに火をつけ、アルコールを
飛ばす。)
煮詰める。

塩胡椒。

ブランデーを入れるのは、味が濃くなり、香りもよいから。
ヨシカミでもフランベをしていることから、真似をしている。
(ヨシカミはウイスキーかも知れぬ。)

ここで一度火を止め、レンジで温めたご飯を投入。
ヘラでほぐす。

大方ほぐれたら、点火。

よく混ぜながら炒める。

ふむふむ、チャーハンの時には明確には感じられなかったが
今回は、普通の冷飯よりもほぐれやすいのが、わかる。

目からうろこ。

温かい飯の方が、粘りやすく、ほぐれにくいのでは、
と、今まで思ってきたが、逆、ではないか。

フライパンを振ると、パラパラまではいかないが、
そこそこ、米粒が踊る。

ある程度炒まったら、ケチャップを投入。

よく混ぜて、出来上がり。

盛り付け。


ふむふむ。

普通にうまいチキンライスができた。

しかし、よくよく考えてみると、
ケチャップを入れた後は、パラパラ感はあまり
関係なくなる。
従って、出来上がりが、大幅に違うのかといえば、
チャーハンのようには違わない。
なんだか、無駄な努力をしたような気もしなくはない。

あえて、違いを見出せば、炒めるときの、炒めやすさ。
ケチャップを入れて混ぜる場合も、よくほぐれているので
混ぜやすく、手早くできる、ということは、ある。

それにしても、温かい飯の方が、ほぐれやすい、というのは
どういうことなのであろうか。
誰か科学的にメカニズムを説明できるひとがいるのだろうか。
文系の頭ではどう考えても、逆のように思うのだが。

しかし、浅草のヨシカミのカウンターに座って、
チキンライスを炒めているのを見ていると、
フライパンからはるか高く、それこそ、料理人の
目の高さまで米粒が上がっている。
あれは恐るべき技、で、ある。

ともあれ。

チキンライス、いつ食べても、うまいもの、で、ある。





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