断腸亭料理日記2011

浅草・むぎとろ

5月1日(日)夜

さて。

今日は、休みだが、朝から家で仕事。

仕事を片付けて、夜。

なぜだか、麦とろが、食べたくなった。

麦とろというのは、ご存知の通り、麦飯に
とろろの汁をかけて食べるもの、で、ある。

浅草には、その名も、むぎとろ、という店がある。
まあ、有名なところなので、ご存知の方も
多かろう。

ここの創業は、昭和初期、と、いう。
もともとは、とろろ飯を看板にした、飯や、から
始まったようだが、今は、立派な料亭。

麦とろ、というのは、うまいもの、で、ある。

静岡の旧鞠子宿のとろろ汁は、江戸時代からの
名代であるが、麦飯にとろろをかけて食べるものなので、
多少の違いはあろうが、おそらく、農山村を中心に、昔から、
日本中にあった食いものなのであろう。

5時半、一応予約を入れ、内儀(かみ)さんと、出る。

また、ポツポツと雨。

春日通りまで出て、タクシーを拾い、
駒形橋西詰交差点を渡ったところで、降りる。

横断歩道を渡り、店に駆け込む。

(靴を脱ぐわけではないが)
店の印半纏を着た、下足のお爺さんが
傘を預かってくれる。

名前を言って、二階へ、というので
石の階段をあがる。

ここが改装をしたのはいつであったか。
1〜2年前か。

改装してからは初めてである。

随分と明るい印象。

二階は大きなガラスの窓で、
隣の駒形堂と、隅田川も見える。

瓶ビールをもらって、どうしようか。

むろん、むぎとろを食べるのだが、
ここは、懐石のような、コースもある。

これではなく、煮魚とむぎとろ、刺身とむぎとろ、
なんというのもある。

煮魚は、きんめ、と、いうので、これと、
料理を他に、2〜3品もらおう。

メニューを見て、桜海老かき揚げと、茄子の煮びたし。

お通しの山芋の揚げたもの。


茄子の煮びたし。


味が染みて、うまい。

20分ほどかかりますが、などといっていたが、
そこまでかからず、きた。


ドデーンと、立派なきんめ、で、ある。

甘辛の濃い味。
紛れもない、東京の料理屋の味、で、ある。

うまい、うまい。

桜海老かき揚げ。


と、いったところで、むぎとろ。


赤だしとお新香。

赤だしの実は、岩海苔か。
お新香の、梅酢で漬けた山芋もうまい。

が、なんといっても、むぎとろが、うまい。

これはもう、だめ、で、ある。
いくらでも食べてしまう。

麦飯はお代わりできますよ、と、お姐さんが
いっていったが、さすがに、それはやめよう。

まったくもって、腹一杯。

うまかった。

ご馳走様でした。

階下(した)で会計。

下足のお爺さんが傘を渡してくれる。

雨はまだ降っている。

傘をさして、店前の道に出て、車を拾おうとする。

と、驚いた。

車、止めましょうか、と、
お爺さんが出てきた。
こんなことを、してくれるのか、と、びっくり。

軒下に戻り、待つ、、ほどのこともなく、
すぐにつかまり、乗る。

なかなか、どうも、行き届いたもの、で、ある。





浅草むぎとろ

03-3842-1066
台東区雷門2-2-4




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