断腸亭料理日記2011
6月25日(土)夜
引続き、土曜日。
夜は、内儀(かみ)さんが、やしま、に行こう、
と、いう。
やしまと、いうのは、拙亭から、
最も近い、5分もかからぬ小島町交番の隣にある、
うまいうなぎや。
ご主人とは、旧知、ではある。
7月の声を聞こうという今、
うなぎが食いたくなるのは、私も
同様、である。
5時半頃、クリーニングやへ、行っていた、
内儀さんが、帰宅し、大変だ!、という。
なにがと聞くと、やしまが、やっていない、と。
もともと、ここのご主人はうまいうなぎを
出すのだが、少し、商売っ気のないところがあり、
気まぐれに、休んだりすることもあった。
最近は、そんなこともなかったようだが、
ちょっと、珍しいか。
今年は、なんでもシラスウナギが不漁で、
値が上がっているという。
値が高いので休み?まさかね。
じゃあ、というので、久しぶりに、
雷門の色川。
あそこは、土曜もやっていた。
あの、祭り好きの親爺さんは、元気であろうか。
今年などは、三社をはじめ東京下町の主だった祭りは
中止になってしまったから、寂しい思いをされていよう。
内儀さんとともに、出て、タクシーを拾って
雷門方面へ。
雷門方面というのは、町名が雷門というだけで
雷門門前、いわゆる並木、ではない。
地図でいえば、雷門の門前、仲見世と直交している
雷門通りの南側で、浅草通りまでが、町名でいう雷門である。
色川は、浅草通りに近いところにある。
浅草通りで車を降りて、路地を入り、
色川の前までくると、、
あれ、、ま。
こちらも、休み。
ひょっとして、値が高いので、東京のうなぎやがみな、
組合で申し合わせて、揃って休みか?。
まさか、ね。
と、なると、小柳?。
昼と同様のいい加減な格好、
雪駄をピタピタと鳴らして歩く。
ちょっと、寒くなり、
雨も降ってきそうな天気になっている。
小柳は、オレンジ通りの一本仲見世寄りの路地。
店前までくると、よかった。
暖簾が出ている。
東京中のうなぎやが、休み、ということでは
なかった。
まさかね。
ガラス戸を開けて入る。
いつものように、にぎわっている。
あいているテーブルに、二人で座る。
まずは、ビール。
やはりスーパードライ。
スカイツリーの記念ラベル、で、ある。
池波先生の教えには反するが、
つまみ、つまみ。
〜池波先生は、うなぎやでは、つまみなど
頼むのは邪道で、お新香だけで、呑んで待つ。
これが、落語でも語られているが、
東京のうなぎやの、正しい、待ち方。〜
焼鳥。
そばやもそうだが、うなぎやも、焼鳥はうまい。
それから?
季節だし、鰹の刺身もいい、な。
内儀さんは、白滝の酢味噌。
なんであろうか。
まあ、いいか。
と、その、白滝からきた。
白滝の酢味噌。
そのまんま、で、ある。
味も、白滝に酢味噌をかけた、そのまんま、
なのではあるが、これがそれなりに、うまい。
こんなものを食べたのは、初めて、ではある。
内儀さんも、食べたことはないはずだが、
こういう料理があったのであろうか。
(少なくとも、私は知らなかったが。)
鰹。
土佐造り、というのか、たたきの鰹に、
にんにくの混じった、玉ねぎの薄切りに、ポン酢。
ややあって。
焼鳥。
ここのものは、なぜだか、とろみのある、
たれ。
焼鳥も、うまい。
最後は、お重に、肝吸い。
やっぱり、なにはなくとも、
うな重。
むろん、これを食べにきた、のである。
昔、今以上に、うなぎの蒲焼、というのは、
高価な贅沢品であった。
他のものを頼まずに、うなぎだけに集中したのは、
もしかしたら、そのあたりに関係があった、
の、かもしれない。
(大スター蒲焼には、他のものは必要なかったのかも。)
ともあれ。
うまかった、うまかった。
ご馳走様でした。
丑の日までに、もう一回くらいは、食べる、
のであろうか。
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