断腸亭料理日記2011
7月6日(水)昼
午前中、築地。
いや〜、それにしても、暑い。
明石町あたりで、打ち合わせを終え、
昼飯。
同僚と3人連れ。
暑いし、蕎麦やにしましょうか、
と、いうことになる。
ここで、蕎麦やといえば、さらしなの里。
もともと、東京の老舗蕎麦やの会、木鉢会
のメンバーの店を、まわってみていて、
見つけた店である。
それ以来、この界隈にくると、たのしみにして、寄っている。
創業は神楽坂あたりで、明治32年という。
東京下町でも、蕎麦やというのは、意外に、
江戸時代から続いている、という店は、少ないような気もする。
藪系は、今残っている古い三軒。並木、神田、池の端の、
三つの藪も、明治の創業。
江戸までさかのぼれるのは、池の端の蓮玉庵、
の他、そう多くはない、のか。
例えば、これがうなぎや、になると、田原町のやっこが、寛政年間といい、江戸創業の
店は、少なくない。
いや、いや、そうでもないのか。
藪、ばかり、挙げたが、
更科、砂場系は、もっと古いのがあった。
永坂更科、虎の門の砂場、あたりであろうか。
明治以降、藪系が、伸びていった、ということ、
なのか。
ともあれ。
さらしなの里、で、あった。
12時半すぎ、明石町から、炎天下、
歩いてくると、汗だく、で、ある。
冷房の効いた、店に入ると、ほっとする。
ここは、かき揚げのバリエーションが
充実している。
季節ごと違った種の、かき揚げ、で、ある。
ランチの蕎麦もあり、これは、鱧(はも)の天ざる。
連れ二人はこれ。
私はというと、じゃこのかき揚げ天ざる、
に、する。
ここは、店名通りの、白い更科もあるが、
色の濃い、二八、十割の生粉打ちもあり、さらに、いろんな
ものを練り込んだ、変わり蕎麦もある。
が、普通に頼むと、更科ではなく、
二八、が出てくるの。ちょいと、不思議。
お客の好みか、店の好みか。
ともあれ。
そばも、かき揚げも、うまい。
そして、昼飯としても、いい、量。
しかし、なによりも、この節電で酷暑の中、
うまいざるそばと、うまいかき揚げ、
そして、それらが供される、この店の空間。
これらがなにより、冷房の涼しさ以上の
豊かな時間と“涼しさ”を心に与えてくれた。
ほっと、一息、で、ある。
ご馳走様でした。
おいしかったです。
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