断腸亭料理日記2010

すきやばし次郎・日本橋高島屋

7月26日(月)夜

相変わらず、夏風邪で体調イマイチ。

呉服橋付近で5時すぎ、仕事終了。

そのまま帰ることにする。

なんという、あてがあったわけではないが、
ぶらぶらと、外濠通りを渡り、外濠通り側、東京駅寄り、二本目の
路地を入り、日本橋側へ入る。

真っ直ぐ歩いて、中央通りへ出る。

向かい側、高島屋へ入ってみる。

あまり食欲もないのだが、なにか食べようか。
考えていたのだが、、高島屋の店内案内を
ぼんやりと見てみる。

日本橋高島屋の新館特別食堂には、
ご存知、池波レシピのうなぎの、麻布野田岩
が入っているが、うなぎは、昨日浅草の小柳で食べたところ。
今日は、丑の日。まさか、いくら野田岩とはいえ、
毎日はないだろう。

ん?

そうである。
すきやばし次郎。

特別食堂と同じ四階。
連絡通路の途中左側にあったっけ。

食欲のない時には鮨などはちょうどよい。

いってみようか。

すきやばし次郎、というのは、まあ、この文章を
読んでいただいている方で、ご存知のない方は
おそらくいない、であろう。

いわずと知れた、ミシュランで初めて三つ星をもらった
東京の鮨や。
と、いうことは、東京一の鮨や。
いや、東京一の鮨や、と、いうことは、
世界一の鮨や、と、いってもよいのだろう。

あるいは、最も有名な鮨や、と、いう言い方も
できようか。

ご主人の小野二郎氏は1925年(大正14年)静岡県の生まれ。
当年とって、85歳。
京橋の与志乃寿司で修業し、1965年(昭和40年)すきやばし
次郎の暖簾をあげている。

ちなみに、京橋与志乃寿司は池波先生御用達、でもある。
与志乃寿司からは、この、すきやばし次郎以外にも
浅草松波、銀座水谷、同青木など今の東京の鮨やを
代表する人気の店が出ている。

私はというと、ご近所のよしみで、松波
以外には、これらの系統に入ったことは、ない。
むろん、すきやばし次郎も、で、ある。
(このすきやばし次郎以外で、
東京で鮨やといえば、久兵衛あたりであろうか。)

が、まあ、すきやばし次郎とはいっても、
デパートに入っている支店でもあるし、
二郎氏に、にぎってもらわなければ、
本店でも、イマイチ、という噂も聞こえている。
そんなことも、割り引きつつ、どんなものか、
いってみてもよいだろうと、考えた、のである。

エスカレーターで四階まで、上る。

店に入ってみると、
こんな時間だからであろうか、
他にお客は、なし。

テーブル席に座る。

体調もいま一つ、ビールはなし、
むろん、お好みではなく、一人前、特選にぎり、3150円也を、
頼む。

きた。


中トロ、白身、赤身、うに、海老、鯵、穴子、
玉子、かっぱ巻き。

まず気が付くのは、にぎりの形。
全体として、長め。そして、酢飯が
同様に、長い。

例の私のにぎりを評価する際の“酢飯と種の割合理論(?)”、
これでみると、酢飯が大き目の部類に
入るであろう。

ただ、これだけ長い、というのは、珍しいのでは
なかろうか。本店もこうであろうか。

うに、は、むらさきうにか。
上等なもの、ではあろう。

中トロ、赤身、まぐろもうまい。

ばくばくと、食ってしまう。

別段、すきやばし次郎の支店と、いうことを
考慮に入れず、公平にみて、3150円、
一人前の味と値段として、まっとう、
で、あろう。

うまかった。

勘定をして、出る。

もう、小野二郎氏もご高齢。
やはり、早いところ、一度、いってみなければ
なかろう。




日本橋高島屋
本館4階 すきやばし 次郎



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