断腸亭料理日記2010
4月29日(木)昼
大型連休が始まった。
緑の日、旧天皇誕生日。
世間では、10連休、といっているが、
私は休みは取らず、暦通りで明日は出勤する。
昨日、一昨日と、会社では弔事があり、疲れた。
昼、焼鳥が食べたくなった。
焼鳥で、呑もうか。
拙亭には、焼鳥のたれ、がある。
焼鳥のたれ、というのは、むずかしい。
最近は市販されているものもあるが、これはだめ。
とろみを出すため、増粘剤というようなものが
入っており、どうしても不自然な感じ。
毎度書いているが、鮨やでいう、ツメ。
穴子の煮汁を煮詰めたものを長年作っている。
これも、ちゃんとしたものを作れるようになるのには、
随分と苦労をした。
甘辛の煮汁を煮詰めるのだが、この加減がなかなか
わからなかったのである。
砂糖の入った液体を煮詰めると水あめ状のとろみが
出てくるはず、なのであるが、どのくらいの濃度で
どのくらい煮詰めればよいのか、なのである。
普通に煮詰めても、なかなか、とろみは出てこない。
水あめなども加えて煮詰めても、いつまでたっても、
液体のまま。
鮨やの板さんに聞いて、それらしいものが
できるようになったのであるが、結局、コツはない。
プロも、時間をかけて、煮詰めるだけ。
これがわかり、煮汁に砂糖を加え、
焦げ付かぬようにじっくり、気長に、煮詰める。
これで、とろみのある、たれができるようになったのである。
穴子のたれ、ができれば、焼鳥のたれも、同様に
できるようになった。
鶏皮などがあれば、これを煮た汁を煮詰め、とろみのある
状態にすれば、焼鳥のたれになる。
以前に、自分で焼鳥を焼いても、なかなか焼鳥らしきものは、
できなかった。しょうゆの甘辛の“つゆ”程度のものを塗って、
付け焼きにしても、色が付くことはないのである。
とろみのある状態のたれを塗って、つけ焼きにすることで、
初めてよい色の焼鳥ができる。
結局、このとろみのある甘辛いたれ、の状態は、
水分が完全になくなる寸前の状態、なのであろう。
それで、軽くあぶるだけで、色が付く。
冷凍庫から、ストックのもも肉一枚を出し、レンジで解凍する。
次に、冷蔵庫からストックの、焼鳥のたれ、を入れた、
瓶を取り出し、レンジをかけて、ゆるめ、からめやすいように、
鍋にあけて、少し加熱しておく。
鶏肉は、切って、ガスのレンジで焼く。
皮から焼き始め、裏面も焼く。
両面焼けたら、たれを両面からめ、もう一度ガスレンジへ。
軽く、焦げ目を付けて、完成。
なかなか、それらしい焼鳥ができた。
七味をふる。
酒は菊正宗。
直接、菊正宗から買った生元を冷で。
充実、で、ある。
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