断腸亭料理日記2008
4月22日(火)昼
仙台出張。
12時半頃、はやてこまちで、仙台駅着。
昼飯は、仙台駅で、と、決めていた。
前に一度だけきたことがあったが、駅構内にある
立ち喰いの鮨や。
駅構内には、仙台名物の牛タンと、鮨やが並んでいる一画がある。
鮨やは、座って食べる、普通の鮨やもあるが、なぜだか、
立ち喰い、というのに惹かれてしまう。
北辰鮨、という。
店に入り、カウンターの奥の方に立つ。
さて、なににしようか。
ガラスケースの中、壁にかけられている、ホワイトボードを
見ながら、、、
まずは、ノーマルに、まぐろと、いか。
一個ずつ。
いかは、マイカ。
腹が減っているので、どんどん食う。
かわはぎ肝のせ。
肝がねっとりし、うまい。
きんめ。
脂はあまりなく、さっぱり。
たこを、ちょっと甘辛く煮たもの。
ほっきの、小柱。
生げそと、〆鯖。
いかも、鯖も、新鮮なのであろう。
〆鯖とはいいながら、生に近い。
三陸は、鯖もうまい。
立ったカウンターのガラスケースの前にあったので
気になっていたもの。
たこの、子の、しょうゆ漬け。
見た目にはちょっと、気味が悪いのだが、頼んでみた。
プチプチとし、味は、形容がむずかしいのだが、
いかにも魚介の卵という味。
見た目以上に、うまい。
皮炙り、と、書いてあったもの。
(ちょっと、ピンボケで恐縮である。)
これは、鯛の皮、だという、
ちょっと甘めなのは、みりんであろうか、
しょうゆにみりんを合わせたものをぬって、
バーナーで炙ったもの、か。
うまい。
最後に手巻きで、鉄火と穴子巻き。
終了。
¥1500也。
十分に、うまかったし、楽しめた。
満足である。
と、ちょっと、考えてみた。
今日のそれぞれ、
煮たものや、炙った時につける味などが、
私の東京の味覚、好みからすると、
甘めに振れるということはあった。
しかし、全体として、握り鮨として、よく考えて、
新しい、また、この地独特のネタを使って、
独特の仕立て方をしているといえるものも、
少なからずあった。
ここで多用する、客の前で、バーナーを使う、
というのは、最初からそうであったが、
今でもいま一つ馴染めない。だが、それでも段々になのか、
うまく使われているようになってきているように思われ
慣れてもきた。
先月、太助寿司のところで、
現代の握り鮨、というのは、まだまだ未完成、
発展途上であるという観点を書いた。
握り鮨は発祥の地である、江戸・東京のやり方が
正統で正しい、という見方。
私もそのように考えてはいた、と思う。
しかし、もはや、いわゆる昔の、仕事をした、
という握り鮨は、実は穴子や小肌ぐらいしか、
一般には、東京の鮨やでも残っておらず、後は、生魚。
そして、その生魚を扱うようになったのは、
たかだか、30〜40年。それ以前の江戸前鮨が
培った歴史より圧倒的に短い。
だから、まだまだ、未完成。
と、すれば、いろんなアプローチ、
試みがあって、当然なのかもしれない。
江戸前の仕事という、呪縛がない、
東京以外の地方では、これはむしろ、より顕著であるのは
あたりまえのこと。
いや、もっと、目を世界に向けてみれば、
アボカド巻きやら、様々な鮨が、既に定着してもいる、
というのは、誰でも知っていること。
結局、どうすれば、うまい握り鮨になるのか。
これだけが、唯一の判断基準なのだろう。
握り鮨、というのは、もうそういう時代になっているのだろう。
今更ながら、今回、仙台の立ち喰い鮨で、そんなことを考えた。
北辰鮨/仙台駅3F立喰店
TEL:022-214-6180
住所:宮城県仙台市青葉区中央1丁目1−1−3F
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