断腸亭料理日記2008
4月19日(土)夕
歌舞伎座をあきらめ、帰り道は、都営浅草線で、蔵前まで。
蔵前駅で降りて、歩く。
新堀通りの角、白鴎高校付属中学校の前にある、
安売りの八百屋。
のぞいてみると、珍しいものがあった。
亀戸大根。
5〜6本あって、¥100。
ちょっとしなびかけているが、安いので仕方がない。
亀戸大根を買ってみるのは、初めてかもしれな。
よく考えると、写真では見たことはあるが、
これが亀戸大根です、と、実物を見るのも
初めてかもしれない。
こんな感じのものである。
長さは、人参ほど。
太さは、人参よりは細いだろう。
亀戸、というくらいで、東京、江東区の亀戸。
江戸野菜、ということであろう。
以前は作られていたというが、理由はよくわからないが、
ほとんど消滅していたのを、最近作られるようになった
ようである。
今日買ったものは、群馬産と書いてある。
江戸野菜といえば、ご存じの小松菜。
これはもうナショナルブランドであろう。
それから、名前だけ挙げれば、金町小かぶ、
滝野川ごぼう。
この二つは、今、東京などで普通に出回っている
小かぶとごぼうが、名前はなくなってしまったが、
それぞれがベースで改良されたもののようである。
それから、江戸とはいえぬかもしれないが
白い独活。
あるいは、練馬大根。
練馬大根は、たくあん用で、昔は練馬区で
大量に作られていたが、繊維が多く、煮ものなどには向かず、
ほぼ、今は消滅しているようである。
伝統野菜は今、京野菜から始まって、注目されているが、
土のよい京阪神に比べると、関東ローム層、
赤土の江戸をはじめ、周辺地域は、野菜となると、
分が悪い。
そのおかげ、なのか、副作用なのか、
濃口しょうゆ文化になったわけである。
まあ、良し悪しや、優劣ではなく、
私など、親から受け継いだ味覚であるから
これで、胸を張るしかない。
ともあれ。
亀戸大根である。
特徴は、柔らかいこと。
煮ても味が染み込みやすい。
葉っぱも柔らかいので、
生でも、あるいは、浅漬け。そんなものが
よいようである。
まずは、三本ほど、浅漬けというのか、
塩もみにしてみよう。
大根は、薄く切って、葉っぱは細かく切って、
それぞれ別々に、ボールで塩もみ。
しばらく置いておく。
もう3三本は、金山寺味噌をつけてみようか。
皮をむき、細く、野菜スティックのように切ってみる。
湯通しでもした方がよさそうかと思ったが、
かなり柔らかい。このままでよさそう、である。
しばらく水に漬け、揚げて、冷蔵庫に入れておく。
夜、食べてみる。
不思議であるが、浅漬けの方が、大根らしい。
大根らしいというのは、辛みがある、ということである。
スティックの方が、水にさらしたせいだろうか、
淡白というのか、さっぱりしている。
このさっぱりと、柔らかさは、むしろ新鮮かもしれない。
伝統野菜というと、アクが強そうだが、逆。
大根など、おろしでもなければ、そのままは
ほとんど食べられないが、これはよい。
サラダでいける。
しかし、大根の味と香りは、ちゃんと存在している。
今風かもしれない、
亀戸大根、で、ある。
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