断腸亭料理日記2007
11月10日(土)夜
今日は昨日の続き。
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『 梅安は、のろのろと鍋を強火にかけ、生醤油(きじょうゆ)に
少々の酒を加え、これで沙魚をさっと煮つけておいて、
「ふむ、ふむ・・・」
ひくひくと鼻をうごめかしながら、居間へはこび、冷酒を茶わんに
くみ、炬燵(こたつ)へ入ってすぐさま食べはじめた。
(中略)
梅安は行燈(あんどん)にあかりを入れ、またしても箸を把(と)って、
残りの沙魚を平らげてしまった。頭も骨も残さぬ。』
池波正太郎著・仕掛人・藤枝梅安(一)「殺しの四人」より「おんなごろし」
講談社文庫
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沙魚を買って帰り、冷蔵庫にひとまず突っ込み、
予約をした、すぐ近所の歯医者へいく。
診てもらうと、ブリッジを入れた歯ではなく、
頭が重いのは、風邪か、鼻炎ではないか、ということ。
筆者、子供の頃から、アレルギー体質で、鼻炎もある。
歯ぐきのすぐ上に副鼻腔、サイナスと呼ばれる空洞があり、
そこで炎症が起き、歯ぐきが痛いように感じる。
そういうことのようであった。
実をいうと、このような痛みは、いつもではないが、
やはり子供の頃から、あったのである。
肩こりのように感じたり、偏頭痛のようにも思っていたのだが
しばらくすると、直っていたので、特段、通院することもなく、
痛み止めなんぞを飲んで、済ませていた。
それが今回、歯をいじったので、一応、診てもらったら
長年の懸案がわかった、ということであった。
ともあれ、抗菌剤と痛み止めをもらって帰る。
薬を飲み、さっそく、沙魚で呑もう、で、ある。
薬を飲みながら、呑もう、といいうのもどうかと思うが、
まあ、これがとめられようか、というものである。
さて、そこで、冒頭の「梅安」。
これは、は昨日引用させていただいた部分に続くところである。
生醤油と少々の酒で、さっと煮つける、で、ある。
これは、火鉢。
実は、そろそろ寒くなってきたので、先週から
火鉢に火を入れる日が、出てきていたのである。
火熾しに炭を入れ、ガスレンジで火を熾し、火鉢へ。
沙魚は、ボールにあけ、ぬめりがあるので、
塩を入れて、もみ洗いをしてみる。
量が多いのもあり、たいした効果もないので、
てきとうにやめる。
ステンレスの小鍋を用意し少量の水に、しょうゆと酒。
煮立て、火鉢へ。
沙魚を大皿に入れ、お膳へ。
(位置関係としてはお膳が目の前にあり、筆者はその前に座り、
左側に、陶器の大きめの火鉢。)
酒は、梅安先生にならって、冷酒。
酒(今日は菊正宗ピン)も脇に置き、一合の白いお銚子に
入れ替える。いつも使っている白い猪口も用意。
それから、取り皿と、箸。
座る。
これですべての準備完了。
炭を少し吹いて、火を強くする。
鍋に沙魚を三匹ほど入れ、ふたをする。
沙魚は、すぐに火が通り食べられる。
頭から食うのは、やはり、なんとなく、気が引ける。
尻尾から。
身は天ぷらにするだけあり、基本的には、淡白だが、
同じ天ぷらにする、めごち、などにくらべて、
うまみが濃い、ように思われる。
問題の、はらわた。
まだ、早いのであろう、だいぶ大きいが、
真子、白子とわかるまで大きくなってはいない。
脂はあるが、いわゆるはらわたの苦味も
だいぶんに、感じられる。
頭は骨が多く、さすがに梅案先生のようには、
全部は食べられない。
しかし、コラーゲンもあり、うまいので、きれいにしゃぶる。
冷酒を呑みながら、10匹ほどであろうか、
煮ては食い、煮ては食う。
うまいのだが、ちょっと早かったか。
真子、白子が、もっと大きくなる、年明けにもう一度、であろうか。
まだ、半分残っている。
明日、天ぷらにしようか。
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