断腸亭料理日記2007
11月19日(火)夜
なにか、また、急に寒くなってきた。
秋が短く、一気に冬に向かっているのか。
会社にくるのも、今日からコートを着ている。
20時前、牛込市谷のオフィスを出て、牛込神楽坂の駅に向かう。
今日は大根鍋、で、ある。
これは池波レシピ。
池波先生の作品には、よく出てくる。
先生自身が、好きであったのだろう。
やはり、寒くなってくると、大根、で、ある。
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「ま一つ、こんなものでもよければ、いっしょに箸を入れながら、
話し合いましょう」
畳に部厚い桜材の板を置き、その上の焜炉(こんろ)に
土鍋が懸かっている。
ぶつ切りにした大根と油揚げの細切り。それに鶏の皮と脂身を、
これも細切りにし、薄目の出汁をたっぷり張った鍋で煮ながら食べる。
池波正太郎著 「仕掛人・藤枝梅安 梅安針供養〜あかつきの闇」講談社文庫から
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これは、今は、目黒の碑文谷村に古女房と二人で引っ込み、
野菜などを作っている、元香具師の元締め萱野の亀右衛門が
頼みごとがあって、梅安宅を訪れた場面、で、ある。
用意をしているのは、梅安先生。
鶏と大根以外にも、池波レシピの「大根の鍋」には
いろいろなバリエーションがある。
浅利と大根の千六本。
これも、うまい。
(これは昨年、NHKのウイークエンドジャパノロジーの取材で作ってもいた。)
ともあれ。
普通、大きく切った大根は煮えるのに時間がかかるが、
時間がない場合、千六本に切れば、すぐにできる、
と、いうのが、いい。
また、千六本は、大きく切った場合とは、大根の味まで違う。
これもおもしろい。
今日は、鶏手羽先と油揚げ、大根は千六本でいってみよう。
帰り道、スーパーで手羽先と油揚げ、大根半分を買って帰宅。
まずは、中サイズの土鍋に水を張り、手羽先を二つほど入れ、
よく煮出す。これは出汁になるので、初めにしなくてはならない。
(これはガスコンロで。)
同時に炭を熾し、火鉢に移す。
大根の千六本。
皮をむき、繊維にそって縦に2mm程度の厚みに切り、
これを重ねたまま、細く切っていく。
油揚げも短冊に切っておく。
土鍋の手羽先は出汁が出るまで、弱火。
その間に、この日記書きなど。
お燗用に、鉄瓶も熱くする。
手羽先もだいぶ柔らかくなった。
出汁もだいぶでたであろう。
薄く、しょうゆと、酒を入れる。
ガスコンロのまま、大根と油揚げを入れる。
最初はやはり、ガスの方が速い。
燗もつける。
大根はすぐに煮える。
火鉢に移動。
先週作ってあった、大根の葉をきざんで塩でもんだものも、出す。
(これは、炊きたての飯に混ぜ込めば、菜飯、に、なる。)
手羽先の薄味の出汁に、大根の千六本と、油揚げ。
まったくなんでもないものだが、これがべらぼうに、うまい。
大根がいくらでも食べられてしまう、のである。
食べては入れ、入れては食べる。
土鍋が煮立つくらいの火力が必要なので、今日は炭を足す。
途中、内儀(かみ)さんも帰宅し、
大根半分全部を平らげる。
やはり、これからの季節、大根鍋、で、ある。
今度は、浅利むき身でもやろうか。
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