断腸亭料理日記2007

雷門松喜の、すき焼き、と、白滝

12月2日(日)夜

さて、日曜日。

午前中から、この日記書き。
太助寿司と合羽橋、松が谷界隈のことを書いていたのだが、
(12/2配信分〜)太助寿司のすぐそばにある海禅寺のことが気になり、
ちょっと、見てくることにする。

昼下がり、自転車で出る。

元浅草を含めて、この界隈は寺の多い町なのだが、
寺めぐりや、有名人の墓めぐりにさほどの興味がない。
いや、むしろ、寺はともかく、墓めぐりは、
筆者は嫌いなのかもしれない。
このため、どの寺も入ったことは皆無、で、ある。

海禅寺の境内を見ておこうと思い、きてみた。

合羽橋本通りから、北へ参道があり、少し奥まったところに
境内がある。参道といっても、両脇には家が建っているので
それらの家屋の人の通路にもなっている。

日曜日で静かである。
境内では、落ち葉焚きをしている。

今年は急に寒くなったので、東京の木々も一気に紅葉し
もう既に、落ち始めている。

用もないのに、うろうろしているのは、いけないであろう。
すぐに、境内を出てくる。

小腹が減った。そばでも食おう。

どこがよかろうかと考える。
合羽橋本通りを国際通りの方に走り、おざわ
半端な時間のため、予想通りやっていない。

長浦、でもよいのだが、寿司屋通りの、十和田。
久しぶりに入ってみる。

お酒一本と、なんでも、漫画「おいしんぼ」に載っている、
岩手、遠野の辛味のある蕪をおろしたもので、食うそば。
これを食べてみた。
これは辛味大根に蕪の香りを加えたようなものであった。

夜はなにを食おうかと考えて、雷門の肉や、松喜
(喜の字は、例の、七、三つを書く略字)。
すき焼きにしよう。

前に、松喜の肉で、すき焼きをしたことを、書いたことがあった。
松喜はむろん知ってはいたが、松喜の肉を食うのは
このときが始めてであった。
と、ご近所にお住まいの読者の方から、メールをいただき、

「断腸亭さん、松喜初体験だったんですか??ダメじゃん!」

と、お叱りを受けてしまった。

浅草界隈に住んでいて、面目次第もございません、
なのだが、ここの、肉もよいのだが、白滝と、割り下も
試すべきだ、ということを教えられた。
白滝は、なんでも宮内庁御用達、らしい。

十和田から、雷門、松喜に回る。

店の前の列に付いて、肉は、土日特売の¥180/gのこま切れを
400gと、いわれた、割り下と、白滝を購入。

帰りに新堀通りの八百屋で、ねぎと、椎茸、春菊。

夜、準備をはじめる。

この紙で包んだ、というのも今では珍しい。



これが、その白滝と、割り下。

白滝は、パッケージを見てみると、製造場所が台東区台東で、
松喜オリジナル、というわけでもないのかも知れない。


ちょっと、白滝は、写真ではわかりずらいが、
かなり、一本が細い。

そういえば、神田須田町のいせ源のあんこう鍋に入っている
白滝が、このくらいの細さ、ではなかっただろうか、
などと、思い出す。

野菜以外に、麩も水につけて一度ふやかせ、用意。

すき焼きは、やはり、火力がいるので、
火鉢ではなく、カセットコンロ。
鉄鍋。

脂身を先に溶かし、肉、野菜を入れ、白滝、
割り下をまわし入れる。

煮えるそばから、食う。

教えてくれた読者の方も書かれていたが、
この白滝、細いのだが、シコシコ。

実をいうと、内儀(かみ)さんが、どうしたわけか、
白滝が大好物、だったのである。

その内儀さんいわく、普通の白滝は、煮ると、柔らかくなるが、
これは、腰がなくならない、という。
ただものではない、白滝。
そんな感じである。

肉を食い、白滝をすする。

味が染みた白滝を、玉子に絡めて、すする、というのが、
また、たまらなく、うまい。
これは、やはり、この腰あってのものだろう。

しかし、それにしても、この白滝、一袋だが、随分と量がある。
残ってしまったのだが、脂身と割り下で煮しめて、
とっておくことにする。
明日になってもうまいだろう。

ともあれ、うまかった、うまかった。

それにして、松喜(で、売ってる)の白滝、
白滝好き(?)の方には、是非、おすすめ。

こうして、甘辛く煮るものもよいだろうし、
水炊きのような、鍋でも、わるくはないかもしれない。
ちょっと、そんじょそこらにはない、白滝である。


松喜
TEL : 03-3841-2983
住所 : 〒111-0034 東京都台東区雷門2丁目17−8



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