深夜、妻の希望によりそば、である。
「冷たい方がいい」という。
今日は好物の鴨肉はないが、鶏を「つけじる」で煮て、
鴨せいろ風の「鶏せいろ」という手もあるかな。
しかし、山芋がある。つけとろにしよう。
実のところ、筆者はアレルギーの気があり子供の時分から
山芋は苦手な食べ物であった。
山かけにしろなんにしろ味としては好きなのだが、
身体が受け付けない、というやつである。
名古屋で単身生活をするようになり、なんという決心があったというわけではない。
なんとはなしに食べるようになり、食べられるようになった。
慣れ、というものだろうか。
しかし、今でも、食べれば、口の中、まわりはかゆくなってしまう。
そんなわけもあり、山芋系の食物は見ないようにしてきた。
もちろん、この、つけとろも一度も口にしたことはなかった。
作る。
山芋をおろす。
同時に湯を沸かす。そばは乾麺。
そばを投入。
そばのざるを用意。
そば猪口、つゆを用意。前にも登場しだがつゆは「桃屋」。
つけとろにはねぎはいらぬであろう。わさび。
そばを揚げ、水洗い数回。
ざるに並べる。
そば猪口に、つゆ、(ほとんど水は割らない)すり下ろした山芋を入れ、
猪口の縁にわさび(チューブ)を置き、完成。
食す。
「うまい。」
そばつゆと、とろろがここまで合うとは思わなかった。
そばとともに、とろろを吸い上げてくる感覚。
なんともいえなく、うまい。
いままで、こんなにうまいものを食べなかったのは
なんということであろうか。