魚が続いた。
肉が食いたい。
目黒にあるとんかつ屋とんきへ行こう。
この店は、池波正太郎先生御用達の店でもあり、
「 きびきびした、若い従業員達の動きが気持ちいい」
と評された店でもある。
筆者は、目黒は縁が少なく、初めてである。
目黒・権之助坂へ着いたのが15:30。
店は16:00の開店であった。
時間調整。
10分前、店の前で待つ。
16:00丁度。シャッターが開き、開店。
にこやかな、若い店員が迎え入れてくれる。
幅の広い、白木のカウンターが広い店の奥へ続いている。
カウンターの中、ラードの揚げ鍋の前には、主人らしい白髪の爺さん。
(爺さんと呼ぶのは悪いくらい、60代であろうか、背も高くしっかりしている。)
もう一人、中年の親爺。顔、体つき、箸を待つ動作まで、
そっくりである。親子であろう。
先の若い店員が注文を聞きに来る。
これも、親爺、爺さんによく似ている。三代目であろうか。
ビール小と、ロースカツ定食を注文。
我々の後から、瞬く間に数組の客が入る。
一人で来た客には、新聞を勧めている。
待つ間、ビールを注文する人、酒にする人もいる。
確かに、店全体がきびきびと動いている。
無駄口は一切ない。
かと言って、頑固な店にありがちな、客を緊張させる雰囲気は、ない。
主人の爺さんをはじめ、従業員がみな、笑顔でなのである。
とんかつ、が運ばれる。
パン粉が少な目、切り方は食べやすく、横にも庖丁が入り一口大になっている。
肉は、ぶ厚い。これだけ厚いと、満足感は大きい。
ロースだが、脂身は少ない。
柔らかく、うまい。
キャベツが少なくなると、すぐさま、おかわり、を勧めに来る。
豚汁がまた、うまい。
夢中で、食べ終える。
「ロースと串カツ1本」なんという、頼み方をしている人もいる。
串カツも食べてみたい。
うまく、実に、気持ちのいい店である。
老舗のとんかつ屋では、\3000程度も取る店もある。
この品質で、\1650は、間違いなく、安い。
なんといっても、池波正太郎氏に、世に紹介されたのは、
2、30年以上前であると思う。
それから、ずっと、その内容、維持拡大してきたのである。
それも、親子、孫と家族中心。
家族といえば、甘えもある。
「ごちそうさま」と、店を出る、その後ろ姿に、
揚げ鍋の前で「ありがとうございます」と頭を下げる、
その主人の笑顔が、また、いい。
サービスとは、こうしたものである、と語っているような気がする。
こちらの、頭が下がる。。
※平均点 2.846 合計26人