断腸亭料理日記2004

ラーメン二郎・三田本店

9月25日(土)第二食
さてさて、断腸亭、東京ラーメン探訪第2回。

東京のラーメンを語る際に、どうしても外すことができないのが
「ラーメン二郎」らしい、、。

らしい、と、書いたのは、三田、慶応大学の正門前。
もともとは、どちらかというと、筆者、新宿がホームタウンであり、
せいぜい、世田谷、渋谷。その後は、葛飾、そして今は、浅草。
東京南部、三田というのは、筆者には、今一つ馴染みがなかった。

慶大生、慶大OBの方にはあたりまえの世界でもあったらしい。
15年以上前からあるようである。

経験としては、一度だけ、新宿歌舞伎町コマの裏で、食べたことはあった。
ここは、修行をしての、のれん分けではないらしく、
店によってかなり味が違うよう。

そして、ジロリスト、ジロリアンと呼ばれる、「ラーメン二郎」信者達が
崇拝するのは、三田本店以外、ない、、らしい。

朝飯(トースト1枚)も、そこそこに、車で三田、慶大正門前に向かう。

拙亭のある浅草からは、清洲橋通り、昭和通り、新橋から第1京浜、札の辻で
Uターン。1号線を左折し、慶大正門前まで、20分程度。
¥100パーキングに入れ、聖地、ラーメン二郎・三田本店へ。

さすがに、恐るべし。開店後間もない10:10でも3、4人の列。
事前の下調べ
もあり、とりあえず、列に付く。

家系などもそうであるが、有名ラーメン店には
独特のルールがある。
なかでも、この「二郎」は信者の男達がかたくなに守っている、
様々なルールと、経文(呪文。オーダーの仕方。)がある。

列の筆者の前は、いかにも、近所に住んでいると見える、
サンダル履きの慶大生。日経新聞を読んでいる。
体育会であろうか。
しばらくすると、筆者の後ろにもお客さんが並ぶ。
こちらは、近所であろうか、スクーターであらわれた
ロマンスグレーのおじさま。
慶大OBさんであろうか、、。

どきどきしながら、待つ。
文庫本(剣客商売)を持ってくるが、
店の中や、待ってる他の人が気になり、とても読む気にはならない。

前の人が入った。
やはり、店員の方から、なぞの質問を受け、すっと答え、店内に。

うお。筆者の番である。
まず、券売機で買っておく。
ラーメン豚入り。¥600。どうも初心者はこれらしい。

どきどき

きた。「次の方、麺の量は?」「小で。」
こう答える、、、らしい、、。よかった。第1関門終了。

お、一人帰った。

空いたところに座る、、らしい。

狭い場所のため、礼儀正しく「ごめんなさい。」と声をかけながら
壁際に座る。

食券をカウンター上に置く。向きがある、らしいが、初心者は
かまわず、置いても許されるようである。

とりあえず、第2関門通過。

待つ。文庫本を読もうと思うが、やはり、それどころではない。
カウンター下の棚に、置く。

どきどき
最後の関門。トッピングの声かけ。
ラーメンの上がる直前に、それぞれに、店員さんが聞いていく。
そして、それぞれ、経文を答える。

店「ハイ、だいだぶる!」
客『カラカラカラメヤサイドカモリニンニクアブラ。』

こんな感じ。

そもそも、「豚」とは、普通のラーメン屋ではチャーシュー・焼き豚、煮豚のこと
であるが、ご店主は、「うちのは、そんな、いいもんじゃないから、豚」
と、いうことらしい。

きた、筆者の番。

「にんにく入れます?」初心者用には、こう聞かれる。
初心者にも優しいのである。
「お願いします(笑顔)」

さて、ラーメンどんぶりが渡される。
これ、これである。
まず、既に、どんぶりが、脂でべとべと。

野菜、、、キャベツ、もやしの茹でだものと、豚4枚。
スープや、麺はほとんど見えない。

かろうじて見える、スープ面には1cmほどの脂(油?)。
割り箸を割って、野菜を掻き分けて麺。ほとんど、うどん。
ご店主が、この店の2階で手打ちされているらしい。

スープを啜ってみる。
脂っこいのはよいが、味も濃く、甘くもある。

食べ始めるが、後から後から、麺がどんぶりから、沸いてくる。
これで、普通盛。

「豚」。確かに、煮豚というほどのものでもない。
厚さ5mmほどの、味の付いた、豚肉。脂身もある。

無言で喰う。
満席のジロリスト達も、無言。

あ、あああああああ、、、これ、どう考えても、喰えない、、、、。

トーストなんか食べて来るんじゃなかった。
完全に、甘く見ていた。
悔やんでも悔やみきれない。

ここで、完食できないのは、お店に対しても、
周りのジロリスト達にも、冒涜というものであろう。

しかし、これ、もはや、ラーメン、ではない。
「二郎」という、なぞの食い物、である。

苦行のようである。汗、、、、どちらかというと、脂汗に近い。
少なくとも、麺だけでも、あるいは、「豚」だけでも、完食したい。

水は、生ぬるい水道水が出るのであるが、
店の前に自動販売機があり、ここで、お茶を買って入るのが
ジロリストの常識である、らしい。先の、筆者の前に入った体育会氏も
缶のウーロン茶を飲みながら、食されている。

水分で流し込みたい、、が、水も終わってしまった。
水のおかわりは、ルールブックには、なかった。

あ、あ、ああああ。

だめ。もう。

も、も、申し訳ございません、、、。だめです。

どんぶりをカウンターの上にあげ、
雑巾で、自分の食べた場所を拭き
「ごちそうさま!、、(小さい声で)すみません、、」
「(にこやかに)ありがとうございました」

逃げるように、退出。
足早に、店を離れる、、。

『了見を入れ替えて、出直して参ります!!。』
車に戻り、お茶で、一息。

あ、剣客商売、忘れた、、、。

住所 港区三田2−16−4

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