断腸亭料理日記2025

断腸亭イタリアへ行く その30 ミラノ13

4759号

引き続き、ミラノ。

今回のイタリア旅行最後の晩でもある。

夜は、スカラ座裏あたりにある[Bauscia]というところを
予約をした。
一応、googleの星も見て、4.4。大丈夫であろう。
メニューは、リゾットだったりミラノ料理を揃えており、
やはり観光客向けといった感じ。
価格はそこそこ。

地図。

(範囲が広いので拡大してご覧ください。)

19時の予約。歩いて向かう。

歩いていて気が付いた。ちょっと裏通りだが、Mandarin Oriental/
マンダリンオリエンタルを見つけた。
前の通りに黒塗りの車が並んでいる。
マンダリンオリエンタルは、ご存知の通り五つ星ホテルだが、
え?、誰かVIPでも来ている?。
そうである。明日(2/25)から、ミラノファッションウイークが
始まるのであった。それかもしれぬ。

ともあれ。[Bauscia]に着いた。
入って、名乗り、奥のテーブルに案内される。
やぱり、一番乗り。
(段々に客は入り、そこそこ埋まっていた。)

飲み物は、ビール。

やはりミラノの定番料理の入ったテイスティング
メニューがあり、60〜70ユーロ。
これで行こう。

パンと水とビール。

ビールはMenabrea/メナブレア。
これは西隣のピエモンテ州ビエッラという町のメーカーで、
創業170年、イタリア最古のビールメーカーとのこと。
これは、ペールラガーで、比較的ノーマル。

水はDolomia/ドロミア。
これは、ヴァネチアの北東、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州/
Regione Autonoma Friuli-Venezia Giuliaのアルプスの山の中。

やはり、イタリアというところ、地域性が強い。

前菜、あつかいのもの、3種。

メニューをとりあえず和訳すると、右から
ミラノ風カツレツ 柑橘系ソース添え
ミラノ風モンデギーリ フォアグラとストラッキーノチーズ添え
仔牛のすね軟骨のサラダ。

どれもミラノ、ロンバルディア地方の料理。

まず右のミラノ風カツレツ。もう既に2回食べているが、これは
ミニサイズで棒に刺さっている。
薄く、パリパリに揚がっているのが、うまいのだが、
普通ミラノ風カツレツは、ソースなしでレモンが添えられている
だけ。これはちょっとマヨネーズに似た酸味のあるソースで
柑橘系。もちろん、うまい。

真ん中のモンテギーリ。メニュー原文を書き出すと、Mondeghili
Milanesiv gratinati con foie gras e stracchino。

モンテギーリ/Mondeghiliは、やはりミラノ料理で牛挽肉の団子。
これはパン粉の衣を付けて揚げたものだが、必ずしもこの状態だけ
でなく、素揚げ、トマトソースなどで煮たものなどもモンテギーリと
いうらしい。つまり広く牛挽肉団子がモンテギーリになろうか。
挽肉を衣で揚げたものというとメンチカツを思い出すが、玉ねぎは
入らないので肉感が強い。

ストラッキーノ/stracchinoはチーズの名前だが、ロンバルディア
など北部のアルプス山麓で育てられた濃厚なミルクを出す牛のもの、
という。下がストラッキーノで、その上の赤い部分がフォアグラの
ソースか。

問題はgratinati/グラティナティだが、これはフランス語のgratin/
グラタンでよいよう。フランス語は日本語のグラタンではなく、
オーブンで焼いたもののはずなので、揚げたモンテギーリに
ストラッキーノをのせて焼き、さらにソースを掛けているのか。
フォアグラのソースはチーズとともに濃厚。

左、メニューの表記は、Insalata di nervetti di vitello。
直訳すると、vitelloが仔牛肉、nervettiは神経らしい、そのサラダ。
実際にはすねの軟骨とのこと。柔らかく煮て薄く切り玉ねぎなどと
酢、オリーブオイルなどでマリネしたもの。
和食で、氷頭(ひず)なますというのをご存知であろうか。
鮭の頭の軟骨を甘酢に漬けたもの。ほぼ味はなく食感だけのものだが
甘くはないがあれに近いだろう。

つぎ、カッスーラ。

ミラノ風ソーセージとキャベツの煮込み。
メニュー上は、Salsiccette e verze in cassoeula alla Milanese

Salsiccetteが腸詰、verzeがキャベツ、cassoeula/カッスーラ
自体も、この料理のことを指すよう。
ちょっと意味が分からない感じだが、どうもキャベツと豚の
スペアリブ、豚足、皮など、出汁が出そうな軟骨質のものと
キャベツ(ちりめんキャベツ、らしい。)を煮込んだものが、
どうもカッスーラで、ここにソーセージを一緒に入れて煮込んだ
もの。かしこまらない庶民料理であろうが、これもミラノの冬の
定番らしい。

次は、これ。

まわりは黄色は、先日、内儀(かみ)さんが食べた、ミラノ風
リゾット。そして、中央が、オッソブーコ/ossobuco。

食べたことがある方もあるかもしれぬし、日本のTVなど
でミラノの食い物が取り上げられれば、例のミラノ風カツレツ
の次に出てくるだろう。私も、視たことはあった。

骨髄料理、というとちょっと妙な感じになってしまうが、
仔牛のすねを骨ごと輪切りにして、柔らかく煮こんだもの。
まわりの肉もさることながら、やはり、輪切りなので、
骨の中、骨髄も柔らかくなって、これがこの料理の大ポイント。
トロットロ。

そして、この肉というか骨髄の出汁でミラノ風リゾットは
煮ているのではなかろうか。
ミラノ風リゾットはこれだけでも出されるが、こうして、
オッソブーコの付け合わせとしてもよく合わされる。

うまいし、押しも押されぬ、ミラノ名物といってよろしかろう。

デザート。

ミラノ風リンゴとヘーゼルナッツのケーキ
マスカルポーネクリーム添え/Torta meneghina alle mele e
nocciole con crema al mascarpone。

まあ、見た通りのもの、なのだが、どこがミラノ風なのか、
調べたのだが、よくわからなかった。

ここまで。うまかった。ご馳走様でした。

 

Bauscia

 

つづく

 

 

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