断腸亭料理日記2006
さて、今日は昨日の続き。
麻布の野田岩、地理不案内の東麻布をうろうろし、
やっとたどりついた。
ここで一度、地図を見ておこう。
おさらいをすると、筆者は今の麻布十番駅、一ノ橋交差点から、
古川沿い、首都高速環状線に沿った通りを東、赤羽橋方向に歩き、
中ノ橋あたりで、通りを渡り、東麻布一丁目に入ったのだが、
この東麻布一丁目内をうろうろしていたのである。
野田岩があるのは旧町名では飯倉四〜五丁目。大通り沿い。
この大通りは、江戸時代とかわっていない。今の名前は桜田通り。
赤羽橋の交差点から野田岩方向はゆるめの坂になっており、
通りをはさんだ、右側の高台には東京タワーがそびえている。
桜田通りは、麻布台を経て、神谷町、虎ノ門に出る。
坂の下、赤羽橋の向こう側は芝公園の緑。今は東京プリンスの
パークタワーがあり、北側に増上寺。
古川の南側は、昔は、九州筑後久留米二十一万石、有馬家屋敷。
ここからもう、三田になる。昔の専売病院。
(専売公社という名前も、もう忘れられているかもしれない。)
都立三田高校などがあり、さらに、その南は、慶応大学。
古川は一ノ橋で直角に南に曲がり、二ノ橋、三ノ橋、古川橋、で
再び東に向きを変え、四ノ橋、天現寺、
さらに、渋谷川になり、渋谷に至る。
一ノ橋の東南側が、麻布十番。
今は、味のある商店街。
山手の下町、などと妙ないい方をされることもある。
「十番」といういい方は、古くから使われていた地域名であったようだが、
町名としては、江戸の頃から新網町、網代町などの複数の町に分かれ、
麻布十番町になったのは戦後、昭和三十年代以降のようである。
このあたりを広く概観してしまった。
永坂などなど、まだまだ、あるのだが、ひとまず、
今日筆者が歩いたあたりを中心にみてみた。
やっと、これで、筆者も、地図が頭に入った、という状態になった。
さて、野田岩。
重い民芸調のドアが自動で開くと、階段。
席は、二階に上がるようである。
静かである。ちょっと、恐る恐る、階段を上がる。
また、自動ドア。
入ると、客席。テーブル席である。
店内も、太い木の梁など、民芸調。
昼間であるが、比較的アンダーな照明。
「一人です。」といい、案内され、座る。
柔らかい応対である。
さほど値段が変わらないコースなどもあるが、
うな重の菊、を頼む。
早くもなく、かといって、遅くもない時間で運ばれる。
ちょっと感心したのだが、最初に運ばれたお茶は緑茶。
お重とともに運ばれたお茶が、番茶。
筆者は特に番茶が好きなわけではなく、
他にもこうしたことをする店はあるが、
心遣いを感じさせる、といったところであろう。
うな重と、肝吸い、お新香。
そして「箸休めの、大根おろしでございます。」
と、大根おろしがついてきた。
さて、お重のふたを開け、山椒をふる。
何度も書いているが、この食べる前の瞬間は、
なにものにもかえがたい、この世の幸せ、で、ある。
味。
野田岩のうな重は、日本橋高島屋の特別食堂で、何度も食べている。
あまり細かいことをいっても意味がなかろう。
基本的には、同じだと思われる。
蒲焼は比較的薄味で香ばしく焼かれ、
ご飯に染みたタレは濃く、合わせて食べて
ちょうどよい、完成された味になる。
これが野田岩の味、なのだろう。
充実。満足。うまかった。
勘定をして、出る。
帰りも、丁寧な、応対。
店を出て、桜田通りに出る。
と、「あれ、また、野田岩?」
そうなのである。
野田岩の本店は、冒頭にも書いたが、桜田通り沿い。
軒行灯に「うなぎ野田岩」は同じだが、大きな額の看板。
これが麻布野田岩本店であった。
筆者が入ったのは、別館、というのであろうか、本店ではなかった。
東麻布一丁目をうろうろ歩いているうちに、
先にぶつかったのが、本店からは、少し路地を入ったところにある、
別館だったのである。
野田岩蒲焼店
電話番号:03-3583-7852
住所: 東京都港区東麻布1丁目5−4
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