断腸亭料理日記2006

京橋・焼きそば・雲樓

5月10日(水)昼

久しぶりに、食べたくなった。
京橋の中華・雲樓、の、焼きそば、で、ある。

あまりこの近所に来る機会がなくなった、というのもある。

一回目

二回目

特に、有名、というわけではないと思う。
知る人ぞ知る、というのであろうか、焼きそばのうまい店。
場所は、京橋の中央通りと、昭和通りの間の路地。

店の入り口は一階だが、二階に上がる。
12時少し前。まだまだ空席はあるが、瞬く間に近所の
老若ビジネスマンの男女で一杯になる。
そうなのである、ここは女性も来る。
60近そうな高齢の方もいらっしゃる。
このあたりが、ポイントであろう。
これぞ、東京のサラリーマンの正しい昼飯、と、いうことである。

焼きそばといっても、いわゆるかたやき、ではなく、
麺は焦げ目付きの、柔らか麺。
そして、あんかけ。
これが、東京人の好む、正しい焼きそばではなかろうか。
もちろん、ポピュラーなメニューであるから、日本中、
世界中の中華料理店にあり、だれでも知っている。
しかし、東京人はどうも、この焼そばを昔から好んでいた。
池波先生なども、銀座アスター、揚子江菜館などなどで、
よく、上海焼きそば、という名前で、書かれている。

ここは、焼きそばだけで、4〜5種類であろうか、
随分ある。
以前には、モツの入った五目焼きそば、牛肉焼きそば、
など食べていた。
量が多い、というのもここの特徴であろう。
なかなかの、インパクトである。

今日は、どれにしよう。
三絲炒麺というもの、メニューには豚、鶏、ハムの焼きそば、
としてある。
これにしてみよう。


鶏肉、豚肉、ハム、椎茸、ほうれん草、きくらげ、など。
酢を掛け回し、テーブルに置かれている豆板醤であろうか、
辛味を皿の縁に取り、食べる。

ここのものは、かなり油っこい。酢は必須である。
また、普通は、芥子が置かれているが、ここはこの唐辛子の
辛味である。
麺にはなかなかワイルドに焦げ目が付いている。

ふと疑問に思ったのだが、あんかけ焼きそばの麺に付けられるこの
焦げ目、いったい、なんであろう。
中華では、このあんかけ焼きそばには、
麺の一部分にだけ、焦げ目を付ける、ことになっている。
なぜ、一部分なのであろうか。
これは自作もする。どうするのかというと、
蒸し麺を、中華鍋に薄く丸く広げ、
そのまま鍋を回しながら表裏を焼く。
焦げ目は、鍋肌に接しているところだけに、強く付く。
つまり、全体に均等に付ける、というのではない。
全体に均等に付けようと思えば、強火で混ぜ炒めてしまう、
という方が、よいような気もする。
あえて、一部分にだけ付けている、ということであろう。
麺についた焦げ目は、香ばしく、また、食感もよくなる。
全体に、均等に付けてもよいと思うのだが。単なる習慣、
と、いうことであろうか。

ともあれ、三絲炒麺、で、ある。
先にも書いたが、ここの味付けは油っこく、濃い。
そこがうまいところなのだが、今日の体調のせいだろうか、
この三絲炒麺に限った味付けであろうか、
以前の記憶ほど、ヘビーには感じられない。
しかし、むろんのこと、これでも十分に、うまい。
鶏もうまく、また、豚肉には、片栗であろうか、薄衣が
付いている。
唐辛子の味噌を舐めながら、バクバクと、食らう。

いやいや、うまかった、うまかった。

値段は、¥1200と、お昼の焼きそばとしてはちょっと高目であるが、
それだけの価値はあろう。
東京のサラリーマンとしては、たまには、食べにこなければいけない。
京橋、雲樓、の、焼きそばである。


地図



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