断腸亭料理日記2006
5月22日(月)昼
さて、今日はまず写真から。
これがなんであるか、おわかりになろうか。
最近、この日記で、二度ほど登場している、
神楽坂の創業明治17年のそば屋、翁庵。
なかなか気の置けない店である。
今日は、昼、銀行へ行かねばならず、飯田橋に来ていた。
何を食おうか考え、ここのかつそば、に、行き着いたのである。
昼来るのは初めてである。
昼も、繁盛している。
相席でテーブル席に座り、「かつそば!」と、頼むと、
「冷たいのですか?」と、聞く。
え?!かつそばを冷やすのか?
いや、かつを冷やすのか?
それはびっくり、で、ある。
「冷たいのがあるんですか?」
と、思わず聞いてしまった。
ざるの上に載ってくる、ということはまさかあるまいが、
「冷かけ、みたいなものですか?」
「はい」
なるほど、あるのかぁ、、。
驚きである。
そもそも、かつそば自体が、珍しいメニューである。
その上、冷やし、で、ある。
これは頼んでみなくてはなるまい。
「じゃあ、それ、お願いします。」
と、いうことで、冒頭の写真のものが運ばれてきた。
冷かけであるから、つゆは見えない。
そば。これも、温かいかつそば同様麺は相当あり、
大盛のようである。
その上に薄く揚げられたかつ。
ほうれん草が載っている。
紛れもない、かつそばの、冷やし、で、ある。
まあ、冷やしたぬき、をはじめ、天ぷら系のそばであれば
冷やし、と、いうものも、今は普通にある。
それを考えれば、かつを冷やして食う、と、いうのも
まんざら、ヘンなことでもないのだろう。
かつの上から、つゆをかけてあるようで、
既に湿った感じにはなっているが、
それでも、つゆがよく染みた方がよいであろう。
そばを食い、つゆをつけながら、かつを食べる。
ここのつゆは、温かいそばでは、甘い、と、前に書いたが、
冷やしのつゆは、一般レベルであろう。
かつ自体は、もともと脂身なども少なく、薄く、柔らかめで
冷たくとも、問題はない。
冷やしたかつ、という言葉のイメージほどは、
ヘンな食い物では、ない。
しかし、温かいかつそばは、うまい、といえるレベルであるが、
冷やしはまあ、そこまでは、いかなかろう。
しかし、冷やしかつそば、とは、
おもしろいことを考えるものである。
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