断腸亭料理日記2006

浅草寿町・とんかつ・すぎ田

3月21日(火)春分の日 夜

今日は、妻がポークソテーが食べたいといい、寿のとんかつ屋、すぎ田。

久しぶり、で、あろうか。

前回、2005/7/16

この日記でも何回か書いている。筆者が葛飾の四つ木から引越し、
浅草に住むようになって6〜7年になるが、
もはや筆者にとって、とんかつといえば、この店
しかない、という存在になっている。

とんかつというメニューは、このあたり、上野、浅草が発祥であるという。
上野には、「双葉」「蓬莱屋」「ぽん多」「井泉」をはじめ、
いわゆる名店、老舗も多い。

以前に、この日記を読んでいる友人に、
「(前記のような)上野のとんかつ屋には、なんでいかないの?」
と、聞かれたことがある。
聞かれてみれば、確かに、そうなのである。
また、「双葉」だか「蓬莱屋」だか、池波先生御用達の店もあったと思う。
行かない、ということに、断固とした信念がある、わけではない。

すぎ田を含めて、このあたりのとんかつ屋は、
はっきりいって、安くない。とんかつだけで、2000円前後はかかる。
いかな、筆者でも、そう頻繁には、このクラスのとんかつ屋に
行こう、とは思わない。
とんかつは、筆者にとってはそこまでのメニューではない。
(鮨屋なら別だが、、。)
いずれにしても、そこそこ、心構えをし、今日はうまいとんかつを食うぞ!、
と、出掛けることになる。

その中で、上野まで行くよりも、近い、すぎ田。

あえていえば、すぎ田、が、近過ぎるのである。
自転車で5分かかるか、かからないか。

そして、すぎ田で、なんら不足がない。
味も雰囲気も、裏切られたことはない。
まあ、すぎ田で“間に合っている”と、いうことである。

祝日の夜。結構すいている。

カウンター。

カウンター脇の大きな花瓶に、満開の桜の花が生けられている。
開花宣言が出たばかり。自然のものではなかろう。

ビールをもらい、今日は、いまだ食べたことがなかった
エビフライを一本もらうことにする。
エビフライは、この店の名物でもあったのである。

それから、ロースと、妻は予定通り、ポークソテー。

エビフライは時価であるが、ご店主は「今日のは¥1900」と、いう。

まず、エビフライから、くる。


噂通り、これはすごい。
エビの種類は、大正海老、であるという。
直径3cm以上、長さは30cm近くもあろう。
こんなに大きな大正海老が、あるのであろうか、、、。

また、これのうまいこと、うまいこと。
プリプリとし、あまい身、なのである。

なるほど、値段だけのことはあるし、また、
むろんのこと、揚げ方もよいのであろう。

さて、とんかつロース。


これはもう、いつものうまさ。いうこともない。

油温の異なった二種の揚げ鍋で二度揚げした、とんかつ、で、ある。
厚さ3cmはあろうかという、ぶ厚く、気持ち、ピンク色の柔らかい肉。
ちょっとだけついた、脂身もまた、うまい。

妻のソテーも一口もらった。
こちらは、ブランデーであろうか、香りがよい。

店が立て込み、段取りが悪いと、ご店主の江戸弁の大きな声が聞こえる。
筆者、そんな店の雰囲気も、嫌いではない。
今日はお客も少なめで、ご店主、息子さん、女将さんと
わきあいあい。

基本的には、下町の、とんかつ屋、なのである。
よい店である。




すぎ田
TEL 03-3844-5529
〒111-0042 東京都台東区寿3丁目8−3 

地図




断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2006