断腸亭料理日記2006
今日は、昨日の続き。
昨日は、紅白を見終わって、神田まつやの、年越しそば、まで。
鳥越神社に、初詣に出掛ける。
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丹前から、着物に着替える。
何枚も持っているわけではないが、
今年は、紺のウールの、いわゆる、アンサンブル、というもの。
義父の形見を数年前に、貰った。
寒いが、初詣。羽織、マフラーだけで、妻とともに出かける。
この時点でも、かなりの酔っ払いで、ある。
下駄で氏神である、鳥越様へ。徒歩で、10分弱。
これも、毎年のことであるが、初詣は、けっこうな列、で、ある。
わざわざ、鳥越様へ来る人はさほどは、多くはあるまい。
基本的には皆、氏子町内、近所の人々、で、あろう。
各町の睦(むつみ)の役員の方々も、町内の名前の入った、
神社の半纏(ハンテン)を着、鳥越神社の名前入りの提灯を持って、
整理に出ている。
睦、とは、鳥越神社独特の組織と名前であると思われるが、
夏の、鳥越祭りでは、中心になる。
神社氏子の組織でもあるが、町内会の中の組織でもある。
鳥越祭りでは、町内神輿や、
本社(ホンシャ、または、ホンジャ)神輿の渡御(とぎょ)の
担ぎ手は、一応、町内会員か、睦の会員であること、が原則になっている。
(睦は、住んでいなくとも、会員になれる。
つまり、半纏を借りることができる、のである。
実際には、一人で何枚も借りられるし、又貸しもあり、
町内会や、睦に知り合いさえいれば、担ぎたい者は誰でも
担げる、という、仕組み、で、ある。)
脱線してしまった。
その、睦の役員さん達は、祭りでは、御幣(おんべい、ごへい。
白木の棒に、紙のヒラヒラが、ついたヤツ、で、ある。)
を持って指揮をする、神輿の先導やら、整理やら、
大活躍をする。
その、睦の役員さん達は、こうして、初詣の時期にも
神社の行事には、借り出される、のである。
神社揃いの半纏であるが、同時に永住、阿部川、七軒、三筋、等々
氏子町内十八ヶ町それぞれの、名前の入った半纏、
というところが、ポイント、で、ある。
文字通り、我々の代表、である、という印。
筆者夫婦などは、他所から移り住んだ上に、マンションの住人で、
町内会会員ではあるが、活動など、まったくしておらず、
祭りの半纏を借りているだけ。
それでも、こうした顔を知っている
役員さんたちの姿を見ると、ここが、自分達の住んでいる町であり、
鳥越様が、氏神様である、という意識は強く感じる。
さて、着物のことで、ある。
筆者、落語はする。落語をする時には、当然、着物を着るが、
これは、まあ、屋内である。
また、普段家にいる時にも、夏は浴衣、冬は丹前などを着るが
これも、屋内。
着物を着て、町をうろつく、ということは、しない。
例外は、夏の花火か、こうして、正月くらいである。
男の着物、と、いうものは、便利なもので、
両袖を抜き、両手を中に入れ、
いわゆる、懐手(ふところで)、ということができる。
これは、洋服で、ポケットに手を突っ込むよりも、
ずっと、温かいのである。
和服用のコート、と、いうものもあるが、羽織とマフラーだけでも
なんとか、しのげる。
しかし、そうはいっても、厳寒の真夜中に、列に並んで、小一時間。
酔っ払っているとはいえ、寒い。我慢の限界も近い。
列について一時間が過ぎた。
列はやっと、境内に入る。かがり火が灯され、
自慢の千貫神輿の倉庫も開けられている。
神輿の前、ここでも先に、拍手を打って、お参り。
そして、やっと、筆者らの番になり、お参り。
今年は、昨年の後厄も終わり、お参りはこれで終了。
ここ三年は、初詣とは別に、日を改めて、厄払いに来なければならなかった。
正直のところ、これで、名実ともに、厄年が終わったという、実感が沸く。
心底、今年はよい年にしたい、と、思う。
(まだまだ、いろいろ、あろうが、、。)
お神酒をいただき、毎年買っている、鳥越神社のカレンダーと、
干支(えと)の縁起物を買う。
カレンダーは、当然のように、祭りの写真。
おもしろいのは、1月から始まっているのではなく、
祭りのある、6月から。
つまり、買うのは今だが、実際に使い始めるのは、6月
祭りを中心に、1年が回っているカレンダーなのである。
そして、干支の置物。
犬、で、ある。犬の張子。
買ったのは、いくつかあるうちの、犬が篭(かご)、をかぶっているもの。
どこかで、見たことのあるようなものだと思い、
衝動的に買ってしまった。
箱に入っていた紙を読んでみると、どうもこれ、
干支の縁起物ではなく、子供の初宮参りの、縁起もののようである。
(ご存知の通り、犬は安産の象徴でも、ある。)
一応、「鳥越の犬張子」と、神社の名前が入っているが、
完全なオリジナルではなく、一般的なものではなかろうか。
なぜ、犬が、駕籠をかぶっているのか。
いかにも、不自然である。
説明を読んでみると、なんのことはない、洒落、であった。
犬の上に竹(の篭)で、「笑」という字、になる、という。
起源はよくわからぬが、カマワヌ、や、当たり屋の、ような、このセンスは、
おそらく江戸の洒落、であろう。
(それで、どこかで見たことがあったように思われたのかも知れぬ。)
その頃からあるものではなかろうか。
2時半頃、帰宅。
これも、毎年のことであるが、鳥越神社では、初詣に行くと、
境内の銀杏の実がもらえる。
ペンチで割り、フライパンで煎り、塩で、つまむ。
乙なもので、ある。
4時、就寝。
断腸亭の年越し、まだ続く。
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