断腸亭料理日記2006
1月15日(日)夜
午後、田原町の床屋へ行く。
ついでに、晩飯の買出し、毎度お馴染みの赤札堂、で、ある。
なぜか、今日は、マグロが充実している。
本マグロ、キハダマグロ、バチマグロ。
3種類もある。
キハダ、バチは、さく、で¥4〜500と安い。
なかなか、脂もあって、うまそうである。
少し、迷っていると、かたわらの、アラ、に、目が留まった。
マグロのアラ、で、ある。
キハダのアラで、1パック、¥200。
よし!これで、ねぎま鍋にしよう。
このアラといっても、いわゆる血合ではなく、
切り落としが主で、脂は多そうである。
2パック購入。
それから、ねぎ。
これだけでは、さびしいので、いんげん。
ごま和えにしよう。
帰宅。
まず、ごま和え。
いんげんを茹でる。
比較的堅め。
茹で上がったら、すぐに、冷水で冷やす。
先と、へたの部分を落とし、さらに半分にする。
黒ごまは、すりごまがあったので、これを使う。
すりごまに、砂糖、しょうゆ、酒。
毎度のごとく、甘辛の濃い目を目指す。
レンジをかけ、酒を飛ばす。
和えて、完成。
ねぎま鍋は、用意などは、いらない。
マグロとねぎを、切るだけ。
まぐろは一口大に。ねぎは、ざくざく。
パックに入っている時には気が付かなかったが、
大皿に、山盛り、で、ある。
2パックなど、いらなかった。
加熱処理用、と書いてあるが、これも、ほぼ刺身で
食べられそうである。
今日は、土鍋にしてみる。
酒としょうゆを土鍋に直に入れ、
煮立ったところに、ねぎとマグロを入れる。
すき焼きの、砂糖抜き、といった感じである。
脂もあるので、火を通し過ぎぬ方が、よかろう。
表面の色が変わったら、OK。
小皿に取って、ねぎまには、山椒である。
これはもう、うまい、なんというものではない。
予想通り、脂があって、格別、である。
さんざん、しょうゆについて書いたが、
酒と濃い口しょうゆのみの味付け。そして山椒。
かなり、品のない食い物であるが、これぞ江戸庶民の味覚である。
そして、ねぎがまた、うまい。
大きめに切ると、充分に甘みが出る。
しょうゆの味と相まっていくらでも食べられる。
ねぎま、は、落語にも出てくる。
「ねぎまの殿様」というもの。
ストーリーは「目黒の秋刀魚」、と同工異曲。
殿様が冬、雪の日、家来を連れて居酒屋に入り
七輪で土鍋。ふつふつと煮え立った、ねぎまを喰う。
これは、うまい!、それだけの噺である。
ご存知の通り、赤い色のマグロは昔は下魚とされ、
ことに、脂の多いトロなどは、魚屋からただでもらえた
ほどであったという。今から考えると、まったく
嘘のような話である。
当然、酒は、辛口の菊正がよいが、
今日は、ちょっと暖かいのでビール。
煮詰まるので、時折、水をさす。
かなりの量であったが、妻と二人で食べ切った。
なかなか、まぐろのよいアラも今はない。
本マグロのほほ肉などはよいのだが、
けっこうな値段を取ったりする。
今日は、めっけもの、であった。
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