断腸亭料理日記2006
12月17日(日)夜
このところ、なんだかんだで、出前は何回か頼んではいたのだが、
これなかった合羽橋、太助寿司。
先日の、第二回断腸亭落語会、以来である。
昼、内儀(かみ)さんに電話をさせておく。
18:30、二人で自転車で向かう。
さすがに12月である。
カウンターは、ほぼ満席。
賑わっている。なによりのことである。
落語会のお礼などいって、カウンターに座る。
さて、今日は寒いので、筆者はお酒をもらう。
内儀さんは、がんこにビール。
まずは、お通し。
親方自慢の北海道、余市のアンキモ。
筆者、アンキモは自作をしたりもするが、
まあ、町で売っている鮟鱇(あんこう)の肝は、中国産。
それでも、ひとかたまり、¥7〜800はするのだが
ずいぶんとなまぐさい。
国産は鮮度から違うのであろう。
なかでも、今、余市産は最高級、と、いう。
さて、次、刺身。
もうすっかり、冬の魚である。
白身は、平目。
千葉、東京湾。
たこは、佐島(さじま)。
柔らかく、あまみがある。
いかは、葉山のあおりいか。
赤貝。
まぐろは、冬は、大間(おおま)。
先日の落語会でも、親方は出してくださった。
(本当のところ、筆者の落語なんぞよりも、これだけで、
コストパフォーマンスを考えれば、断然お得であったのですよ。
来ていただいた方だけの、特権!)
春から出ていた壱岐のものと比べると、より、まぐろらしい、
と、いうのだろうか。
壱岐のものは、ふんわりとあまく、とろける。
大間のものは、もっとインパクトが強い。
次に、蒸し物、が、出た。
ゆり根のまんじゅう。
太助では、冬になると出てきたような気がする。
上には、「生け」といっていたが、たらばがに。
そして、出汁のくず餡がかかっている。
まんじゅうの中には、鶏ひき肉。
このひき肉は、二度挽きであるそうだが、
きめが細かく、薄い甘辛味がついているが、
絶妙に、うまい。
意外と、などというと、親方に失礼だが、こうした
オーソドックスな和食の料理も、どうしてどうして、
実に、太助はうまいのである。
引き続き、料理。
揚げ物。
白子、で、ある。
親方に、「ちゃんと書いといてよ」と、いわれたが、
上にのっている葉っぱは、金時草、きんじそう、というらしい。
なんでも、金沢のもの。加賀野菜とのこと。ちょっとヌメリがある。
白子は、いわずもがなに、うまい。
筆者、本当のところ、白子はなまぐさく、珍しく苦手なのであるが
まったくもって、この白子は、別物である。
鮮度も、むろん違うのであろう。
クリーミーであまく、するすると食べられてしまう。
筆者、気軽に食べ、こうして簡単に書いているが、
アンキモから始まり、どれも一級品。
ここまでのところだけでも、たいへんなものである。
銀座や六本木などで食べれば、何倍も取られてしまうこと
必定、で、ある。
さて、わさびとゆずが塗された、べったら漬けがでて、
ここから握り。
うに。
酢飯の上に、たっぷりと、のった、うに。
今日は、お客さんにもらった、というキャビアが
うにの上にさらに、のってきた。
噴火湾。
冬のものでは最高である。
小柱。
小柱といえば、江戸前が決まりだが、これは
北海道であるという。
大粒で、プリプリ。
まったくもって、小柱好きには、たまらない。
続いて、貝、みる貝。
むろん、本みる。これは江戸前(富津)。
蝦蛄。
三河湾。
蝦蛄も、江戸前の代表格のようなものであった。
最近は、三河湾産。
親方もいっていたが、これはもう、かにのよう。
甘いたれなど塗らずに、そのままで、
十分に、あまい。
〆鯖。
前回もそうであったが、今日も表面を炙ってある。
今年は鯖がうまい。
北寄。
これも炙って塩で。
なにか、今日は、貝類が多いように思う。
これも、絶品。
穴子。
ここは、熊笹ではさんで、焼いたものを握る。
ホッコホコで、ふんわり、あぶらも十分。
語るべきことばもない、穴子、で、ある。
最後に小肌。
やっぱり、江戸前はこれに止(とど)めを指す。
きれいな、うろこ目。
さっぱりとし、柔らかい小肌らしい香り。
うまいものである。
以上。
今日は、忘年会、年末特別バージョン、という感じであった。
何度も書いているが、これだけでも、一万5千円と、今日は、ちょい。
(二人で、3万円ちょい)
東京広しといえども、これだけ一級のねたを使って、
これだけ、きちんと手をかけ、この価格を付けている鮨屋は
そうはないと思われる。
筆者はお世話になっているが、これは、お世辞ではない。
客観的にみて、東京でも稀有な鮨屋である。
筆者など、もったいないことであるが、完全に慣れてしまっている。
しかし、初めて経験すれば、一級の魚の世界を堪能させてくれ、
感動させてもらえることを、請け合う。
まだ、太助寿司を訪れたことがない方、
便利なところではないが、浅草・合羽橋まで、
うまい魚を食いに、是非。
今年一年間、いや、ここに通い始めて10年ほど、
そして、この日記を書き始めて、2年半、
様々なことがあり、様々な方々が、この合羽橋太助寿司に
きていただいた。
そして、今年は、筆者にとっては、初めての不特定多数の読者の方々向けの
落語会を開くことができ、そして、その第二回を
ここ太助寿司で、開催することができた。
来年は、この太助寿司をキーに何か他にしてもよいかもしれない。
あるいは、もっと大きく、、元浅草やら、松が谷やら、
寿、小島、三筋、、(浅草中心部ではなく、このあたり。)
我々の住んでいるこの街で、なにか、なのか、、。
そんなことも考えた夜であった。
合羽橋・太助寿司
電話番号:03-3841-4811
住所: 東京都台東区松が谷2丁目26−6
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