断腸亭料理日記2006
8月9日(水)夜
このところ、呑み過ぎ、で、ある。
今日は、なにか作ろう。
さて、なにがよかろうか。
今日は台風で雨模様だが、こう暑いと、なにを食べよう、と、
いうのもなかなか、思い当たらない。
こんな時には、去年の今頃、なにを食べていたのか
読み返してみる。
去年、一昨年、と、やはり、外食も多く、
あまり作ってもいない、のだが、
一つだけ、あった。
一昨年のもので、焼きなすの煮びたし。
これならよい。冷たくして、うまそうである。
帰り道、スーパーを覗く。
なすもいくつかあるが、長なすにする。
あとは、魚でも焼こう。
鯵の三枚におろしたもの。フライ用と書かれている。
これをフライパンで焼こう。
帰宅。
まずは、出汁を取る。
鍋に水を張り、昆布を入れ、加熱。
沸騰直前に、火を止め、しばらく置く。
このまま、ここに、鰹節も入れてしまおう。
二つかみほど入れ、もう一度、火を入れる。
沸き上がるのを待ち、沸き上がったらすぐ火を止め、そのまま、置く。
さて、なす、3本。
縦に長く、1/4に切り、ガスのグリルで表裏を軽く焼く。
身側に焦げ目がつくかつかぬか、程度。
3本分、2回に分けて焼く。これには15分ほどかかった。
ここで出汁の鍋の様子をみる。
鰹のよい香りがしている。
別の鍋に出汁を漉しながら入れる。
酒、しょうゆを入れ、火をつけ、焼いたなすを入れる。
これはだしがポイント、筆者には珍しく、しょうゆは薄め。
煮立ったところで弱火にし、煮込む。
なすは、浮いてくるので、均等に出汁を含ませるために
木製の落し蓋をする。
出汁が染み込んだかどうか、見た目ではわかりずらいが、
一昨年の日記によれば、そこそこ染み込みやすいようだ。
煮上がったら冷す工程もある。10分弱で煮込みは終える。
鍋ごと、今日は、流しの洗い桶に入れ冷す。
水に加えて、蓄冷剤なども入れ、置く。
この間に、鯵を焼く。
三枚におろしたもの、4枚。
さっぱりと、胡椒すらなし。塩のみでいこう。
鉄のフライパンで、オリーブオイルを敷き、焼く。
やはりむずかしいものである。
ボロボロにはならなかったが、皮が気持ちくっついてしまった。
また、当然パリッともしていない。
やはり、魚は最大の難関である。
今日の主役はなすであるから、鯵は食えればよし、とする。
また、別の機会に稽古をしよう。
さて、なす。冷たく冷えればよいだろう。
盛り付け、冷酒(ひやざけ)を湯呑みに汲む。
うむ、うむ、よく出汁は染みている。
なかなかよい。
食べながら気が付いたのだが、この料理は、やはりなすの皮を
むいた方が、よりよいかもしれぬ。
プロは、皮をむいて使う。
当然ながら、皮側の方が、出汁が染み込みにくいし、
また、出汁の染み込んだ身の、とろけるような食感と、
堅い皮の食感が、アンバランスである。
素人料簡(しろうとりょうけん)では、
皮をむいてしまうのはもったいない、と感じる。
また、家庭の料理としてはそこまでしなくともよいのだろうが
料理としての完成度を考えるのならば、皮をむくべきだろう。
★★夏休みのお知らせ★★
さて、今年も、明日8/11より、筆者、恒例の夏休みに入ります。
当「断腸亭料理日記」は来週一杯お休みをいただき、
8/20(日)配信分より再開の予定です。
ちなみに、今年も昨年に続いて、メキシコへ出かけます。
(昨年は太平洋側のロスカボスでしたが、今年は、メキシコ湾側の
カンクン方面へダイビングに行ってきます。
昨年は、しつこく一週間も書いてしまいましたが、
なんといっても、メキシコは飯がうまい。このことです。)
夏休みを取られる方も、お仕事の方も、残暑厳しき折、
ご自愛いただけますよう、お願い申し上げます。
断腸亭
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