断腸亭料理日記2006

ぬた

4月23日(日)夜

先日、読者の方から、わけぎで、ぬた、を作った、
というようなメールをいただき、
(もちろん、内容はそれだけではないが。)
どうも、ぬた、が食いたくなっていた。

ぬたというものも、冬にはあまり食べたいと思うようなものでもない。
こうして暖かくなってくると、うまそうな感じがするものである。

ぬた、の定義は、ねぎ、または、わけぎ、と魚介類の酢味噌和え。
膾(なます)の一種、と、いうことになるらしい。
(それにしても、ヌタ、とは、妙な音(おん)である。なんだろうか。)

一緒に入れるのはなにがよかろう。
いわしの刺身、が、思い浮かんだ。

夕方、御徒町の吉池へ出かける。

今日は第一食は、浅草馬道にで新しくできた、極太麺のラーメン屋
ハッスルラーメン。落語の稽古がてら徒歩で行ってきた。
拙亭から、ぶつぶついいながら、馬道あたりまで歩くと20分程度である。
稽古にはちょうどよい距離。

ラーメンはかなり量があったので、腹が減らぬ。
結局、夜が第二食、ということになった。

さて、吉池についてみると、いわしはもとより、
刺身にできそうな青魚は、ない。
(今日はやけに品数が少ないように思われた。)

あさりむきみ(千葉産)、が、少し安くなっている。
これでよいか。

わけぎは佐竹商店街のみかわや、というスーパー。
(ここは、筆者が以前住んでいた、葛飾区の四つ木が
本店という、ちっちゃな、ちっちゃな、下町のスーパーである。
もちろん、安い。)

“こねぎ”というブランド名の付いている
千葉産のもの。¥100。これは安い。

わけぎ、として、ちゃんとしたものを買ってしまうと、
大量にある。少量でよいのである。
これは水耕栽培らしく、量も少なめでよいかもしれない。
ついでに、谷中も。

と、見ていると、開いた生の穴子が四本も入って¥300弱、
なんというものが目に入った。これは安い。煮よう。

帰宅。

ぬた。

まずは味噌。

白味噌と赤味噌(八丁味噌)を合わせる。
白味噌だけの方が上品なのだろうが、筆者はこちらの方が好み。
酢、砂糖を合わせておく。

穴子を煮る。
水から、砂糖、しょうゆ酒で、煮る。
10分弱。

煮上がった穴子は上げておき、残ったつゆは、
煮詰め、ストックしてある、例のツメ(鮨屋の甘いタレである。)
と合わせ、さらに煮詰めておく。

煮穴子は、きゅうりをツマにする。
皮をかつらむきにし、千切り。
水に晒しておく。

ぬた。
いつも難しいとおもうのだが、ねぎの湯通し。
今日は、湯に入れるのでなく、湯をかけるだけにしてみよう。
水が出てしまった、ねぎほどまずいものはない。

ねぎを切り、一応、熱の通りを考えて、太い部分と
細い部分を分け、別々に、湯をかける。
しんなりする程度。湯をかけた後は、冷水をかけておく。

ついでに、浅利も湯通し。

準備完了。

盛り付け。

ビールを抜いて、食べる。

ぬた。

いつも難しいとおもうのだが、ねぎの湯通し。
やはり、湯をかけるだけで十分である。
大成功。このくらいの、硬めがよい。
あさりも、赤味噌の方がうまいように、思う。

煮穴子。

もちろん、口の中でとろけるような、などという、
鮨屋のものとは雲泥の差があるが、
こんなもんでも十分にうまい。
安かったが、千葉産で、いたって普通の穴子であった。

なんということもないが、
ちょっと、江戸前っぽい、つまみ、で、満足である。




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