断腸亭料理日記2005
12月11日(日)夜
今日も、昨日に引き続いて、朝から仕事、で、ある。
明後日の会議に向けての資料作り、で、ある。
妻は、昼前から、今週も外出。
朝昼兼用で、うどんを煮て、食べる。
そしてまた、仕事。
なかなか、終わらぬ、、。
18:00。妻が帰宅。
まだ終わらぬが、腹も減った、今日はあきらめて、飯を食いに行こう。
なにがよかろう。
ちょうど、つけていたTV、スカパーで、「剣客商売」をやっていた。
これは、藤田まこと版「剣客商売2」暗殺、で、ある。
原作は、剣客商売五「白い鬼」に入っている、「暗殺」で、ある。
三冬が、小兵衛の隠宅に、
「田沼の父が、先生がお好きなので、と、持たされました」
と、大きな、落ちハゼを、持ってくる。
小林綾子演じる、おはる、は、これを、しょうゆで炒りつける。
筋には、ほとんど関係ないが、こんなシーンで、あった。
(ちなみに、原作には、こんなシーンは、ない。
このシーン、よく考えると、ちょっと、ヘンな、気もする。
いくらなんでも、老中の田沼意次が、親しいとはいえ、
これはまだ、三冬と大治郎が夫婦になる前であり、
何か訳があればまだしも、なにもなくて、
一介の隠居剣術使いに、こんな気を使うことは、
いくらなんでも、なかろう。)
ともあれ、落ちハゼ。
そうである、落ちハゼ、の季節、である。
しょうゆ、で、炒りつけた、落ちハゼ、というのは、
どこで食べられるのか、わからぬが、
天ぷら屋であれば、ハゼは、あろう。
ハゼ天といえば、蔵前、伊勢屋、である。
近所でもある。日曜の夜もやっている。
妻と共に、自転車で出る。
寒い。
蔵前といいながら、ここは三筋、である。
新堀川通りと、春日通りの交差点から、春日通沿いに、西へいった
右側、角から、数軒目。
一階が、カウンター、二階が座敷、で、あるが、
なんと、一階は、満席。二階は、宴会。
さすがに、師走。忘年会シーズンである。
二階の宴会をしている片隅に、席を作ってもらい、座る。
この宴会は、なんであろう。
年配の方々で、ある。
今まで、ここでは、天丼か、天重で、あったが、
今日は、呑もうと、思ってきた。
とりあえず、燗で酒をもらう。
天ぷらは、定食にして、ハゼを入れてもらうことにする。
店は、てんてこ舞い、のようである。少し待たされたが、きた。
ここの天ぷらは、本当の江戸前仕事、で、ある。
浅草の北。日本堤、大門前の、土手の伊勢屋
の、暖簾分け。(兄弟、であるとも、いうが不詳。
ちなみに、こちら、蔵前は、平仮名、で、いせや、で、ある。)
江戸前の天ぷらは、まずは、色が違う。濃い。
また、今流行りの、天ぷらは、薄衣で、中は半生、
「塩で召し上がってください」、であるが、
もともとの江戸前は、熱をきちんと通してあり、色が濃い上に
衣も厚く、鳥の巣のような、チリチリとした飾りの衣までついている。
天つゆも、甘く、濃い。
今日は、天丼ではないので、そのまま、天ぷら自体を味わって食べる。
天丼でないと、思ったよりも、さっくりと、揚がっている
ことに気が付く。
そして、衣は、今、一般的な天ぷらよりも卵の量が多いのであろう、
卵の味がわかる。
そして、衣の色の濃さは、きちんと揚がっているのもあるが、
この、卵の量の多さ、によるもの、であろうことにも気付く。
(卵が多いとこげるのが早いのである。また、ごま油の色も
手伝っているのかもしれない。)
いや、今日は、少し、認識を改めた。
今、流行の天ぷらも、当然よいが、この、本当の江戸前も、
別のものとして、充分にうまい。
なにがうまいのか、と、いうと、衣がうまい、のである。
例の、衣と甘辛の天つゆと、おろし、この組み合わせ、で、ある。
これは、黄金の組み合わせ、で、ある。
さて、ハゼ。以前同様、左程大きくはない。
味は淡白で、うまい。
追加で、穴子と、めごち、いかかき揚げ。
どれも、きちんと、熱が通り、サクサクで味のある衣。
うまい、うまい。
ご飯と、しじみの味噌汁。
ここ、やはり、天丼屋にしてしまうのは、
もったいない。
天ぷら屋として、呑みながら、食べてもなんら問題ない。
うまかった。
(二人で¥7000程度。)
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