断腸亭料理日記2005
11月18日(金)夜
今日は、以前から計画の通り、友人を伴って、
合羽橋の太助寿司、で、ある。
先週、一度、予約をしに、一人で来ていた。
以前にも、誰かを連れてきたことはあったが、
ここまで、念を入れるのは、初めて、である。
20時と、太助寿司にしては、少し遅い時間のスタート。
つまみは、
平目(館山)、佐島のたこ。
これは、塩で。
平目は、いつものように、甘く、絶妙な食感。
番茶で茹でた、佐島のたこもうまい。
江戸前の技である。
〆鯖。淡路。
これは、ちょっと、びっくり。
〆具合は浅いが、とても上品な脂で、鯖らしい旨みも充分。
今までにない、ものである。
青柳、中トロ、甘海老。
あらかじめ、あれこれと、相談したわけではないが、
こちらの、気持ちが伝わっているのであろう、
なにか、今日は、親方の気合が、違う。
あらかじめわかっていれば、仕入れのこともあろうし、
仕込みも違おう。
ここで、蒸し物。
山芋と百合根で、丸く饅頭のような形に作ってある。
くず餡が掛かり、上に、毛蟹の身と、ミソがちょこんと載っている。
饅頭には、詰め物がしてあり、甘めの味が付いた、
鶏挽肉の二度挽き、で、あるという。
餡は、濃厚な出汁で、うまい。
こんなのも、初めて、で、ある。
いつになく、手が込んでいる。
海苔で巻いた、べったら漬け。
やはり、季節であろう。
わさびと、ゆずがまぶされており、さっぱりとして
うまい。
べったら漬け、というのも、東京のものといってよかろう。
(毎年、10月19、20日には馬喰町で、
べったら漬けだけを売る市が立つ。)
さて、にぎり。
お!。
いきなり、鮭児。
先日、わざわざ、拙亭にまで、届けていただいた、
と、いうようなこともあった。
まったくクセのない、鮭の味と、脂。
にぎりでも、もちろん、うまい。
みる貝。
これは、いつものもの。
柔らかく、瑞々しく、甘い。
うに。
北海道の紫うに。これもいつもの。
軍艦巻きではなく、酢飯に直接載せられ、塩で食べる。
さすがに、夏の利尻の馬糞うに、と、まではいかないが、
十二分に、くせがなく、とろけるようでうまい。
しんいか。
すみいかの子供、で、ある。
すみいか、も、うまいが、より薄く、
甘味と、柔らかさが違う。
途中でしじみの味噌汁が出る。
これ自体はいつものことである。
味噌は赤味噌が主体だそうだが、合わせ味噌で、あろう。
そしてさらに、あらかじめ、味噌に鰹節を入れて、寝かしてある、という。
こんなに何回も通っていても、今日初めて聞いた。
日本食の技、なのであろう。
さて、次は、光物。いわし。
江戸前、で、ある、と、いう。
東京湾でも、これほどの、いわしがあるのかと、いうほど。
もっとも、拵えも違うのであろう。
生臭みなどとは無縁で、さっぱりとし、ほどよい脂。
いわしの旨みも充分。
穴子。
これは、もう、太助の定番。
安心して、食べられるし、人にも勧められる。
厚みがあり、柔らかく煮られたものを
熊笹ではさんで、炙って、にぎる。
まだまだ、脂がのっている。
まさに、口の中で、溶けていく。
白子。
これも、びっくり。
太助では、始めて、である。
生の、たら、の、白子。
軍艦巻き、で、ある。
実は、筆者、白子はちょっと苦手、である。
ちょっとでも古いものは、湯通ししても、生臭い。
この独特の生臭さが、ダメ、であった。
しかし、これは、まったく、もの、が違う。
さっぱりと、とろけていく。
最後に、梅キュウ巻き。
案内した友人にも、満足してもらえた、と、思われる。
毎度通っていると、日常化してしまっている、のであろう。
今日は、いろいろな意味で、新鮮、で、あった。
また、今日のように、前もって伝えておき、
「頼むよ!」と、いっておくと、仕入れから、仕込みから、
まったく違う。
まあ、当然、で、あろう。
技があっても、準備もなしではここまでは、
急に、できようはずもない。
これから年末年始と、そこそこ、混み合うかと思われるが、
こうして前もって、予約を入れていくと、よいかも知れない。
予算は、呑む量にもよろうが、おまかせで、10k〜15K。
これも、相談してみると、よい、と、思われる。
きっと、飛び切りうまい魚と鮨を、食べさせてもらえる。
ともあれ、今日の太助寿司は、今までになく、すごかった。
通い慣れたところも、
たまさかに、こんなイベントを作るのも、よいかも知れない。
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