断腸亭料理日記2005

板橋・中華・蜃気楼・前編

10月30日(土)夜

さて、今日は、友人の招待で、板橋へ。
旧中山道、ユニクロ裏、、、という表現で、いかがであろうか。

そんな場所である。

妻とともに、出かける。
拙亭からは、大江戸線で春日、乗り換え、三田線で、新板橋。

板橋というところ、正直にいうと、とてもつかみ所がない。
中仙道、江戸から一つ目の宿場。
もちろん、四宿のうちの一つ。縁切り榎、、、。近藤勇の斬首の場所。
昔は、そんなところであろうか、、。

さて、現代。
板橋区を通る、鉄道というと、なにがあるのであろうか。
JR埼京線(筆者などには、赤羽線という名称の方がぴったりくる。)
都営三田線。東武東上線。

仕事で、板橋本町にはよく来ていた。
町工場などもある、混み合った住宅地、、そんなイメージであろうか。

同じ四宿でも品川は、さすがに、東海道、というべきか、
わかりやすい。
JR品川駅は、駅前にホテルも林立、超高級住宅地を控え、
今は、新幹線も止まる。

奥州街道の(北)千住は、JR東北線、常磐線、東武伊勢崎線、
日比谷線、等々。隅田川にかかる千住大橋。イトーヨーカドー発祥の地、、
足立区の首府(?)、、いたって、わかりやすい。

甲州街道、新宿は、、、、。説明の必要もなかろう。

さて、板橋?。
板橋宿の中心であり、今は区役所もある、板橋仲宿は、
JRの板橋駅からは、はるか彼方。
まずは、これが、原因であろう。
板橋区には中心となる駅が、ない、のである。
(実は、これはなにも、板橋区に限ったことではない。
例えば、荒川区。鉄道はいくつも通っており、駅も、日暮里、南千住、
町屋、などあるが、やはり、象徴するような中心的な街が
ない、といえる。)

今日初めて、新板橋の駅を降りた。
そして、実のところ、初めて、旧中山道を歩いてみた。
東京に長年住んでいても、こんなものである。
用がなければ、こないものである。

新板橋駅は、中仙道(国道17号)にある。
今の中仙道は、首都高が上を走る、大きな道。
左に折れ、二本裏。これが旧中山道。
一目でわかった。存在感のある通りである。
ぎっしりときれいに並んだ、街並み。
なるほど、と唸らせるものがある。
やはり、街は、来てみて、歩いてみなければ、
わからないものである。

ユニクロがある。そのさらに一本裏。
この裏通りも旧中山道裏、という存在感がある。
そして、その、角に、蜃気楼、は、ある。

カウンター5〜6席に、奥に、小上がり。

店内には、骨董品が溢れている。古い一升徳利。
天井には、古いシャンデリア、東南アジアの魔除けの置物。
床屋のような、観音開きのガラスのドア。
その、入り口上には、三社祭の団扇と、和風の欄間の飾り彫り物、
の、ようなもの。

知らなければ、ここが、中華料理屋、とは、誰も思うまい。

カウンターの向こうには、恐い顔をしたご主人一人。
同年輩か、少し上であろうか。

奥の小上がりに上げてもらう。

ご想像の通り、座ると、妙に居心地がよくなる、空間。
そうなるような物が置かれているのに気付く。

まったく、統一の取れない、骨董といえば、聞こえはよいが、
ようは、どちらかというと、薄汚い古道具である。
シャンデリアも、電球が、いくつか切れているし、
よく見ると、ほこりもかかっている。
ご主人は、「あれ、掃除しないの?」という問いに、
「あのほこりが、つくのに、何年かかったと思ってるんだ?!」
といっていた、ということである。

なかなかの、確信犯である。
しかし、それがあざとく見えないのは、なぜであろうか、、、。
など、考えながら、メンバーが揃い、ヱビスビールで乾杯。

今日は、おまかせ、ということである。
まずは、小籠包が出てきた。

最初っから、小籠包、と、いうのは、いさかか、妙であるが、
腹も減っているので、たいして疑問にも思わない。
黒酢と、針生姜で、食べる。
スープたっぷりで、期待通りのうまさ、で、ある。


次、クラゲ。これがまた、ちょっとかわっている。
まるで、数の子のような食感である。
なんという、くらげなのであろうか、、。

越前くらげの大量発生が問題になっている、この時期。
生きている姿を想像したくない人もおり、
あまり深く話題にするのは、憚られた。

(この項、つづく。)


電話: 03-3964-6657
住所: 板橋区板橋1-33-1




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